ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

聖書翻訳

いつの日か....

いつの日か、今年前半期を振り返ることがあったとしたら、何と感じるでしょうか。 意外な展開を伴い、とても不思議な時期だったけれども、私にとっては、関西に来てから、特に気になっていた部分でもあったので、事の核心がある程度はっきり識別できるように…

意味を求める

以前にも書きましたが(参照:2011年4月8日付「ユーリの部屋」)、この3月に私達が、宮城県沖で発生した巨大地震とその余波に驚愕し、狼狽し、沈鬱な気分に陥りながらも、気力を奮い起こして「できることをしよう」と努力していたちょうど同じ頃、マレーシア…

商売の手際について

先月から、思い出すと不愉快になることが一つあります。一言で言えば、「商売」つまり「ビジネス」の原則をどのように理解しているかという点です。 以前、インドネシアからヘブライ語とインドネシア語での二言語表記の旧約聖書を注文しようとして、どうにも…

「クリスチャンであってよかった」

ツィッター(http://twitter.com/itunalily65)に書いたパスカルの『パンセ』。私が読んだのは、前田陽一・由木康(訳)の中公文庫版(1973年初版/1993年17版)です。表紙の背面には、次のようにあります。 「近代科学史に不滅の業績をあげた不世出の天才パ…

いじめられているキリスト教?

本日付の英語版ブログ“Lily's Room”(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20101115)には、OICに連なるムスリム諸国が、国連制度を通してイスラームやムスリムに対する否定的言説を禁じていることの問題点を鋭く指摘した文書を掲載いたしました。ムスリム諸国…

‘Brown Sahib’

昨日付ツィッターに一言だけ載せた‘Brown Sahib'について、少し補足説明を。 ナイポールの作品に対する批評は、賛否に分かれているようです。その理由は、重複になりますが、トリニダードというカリブ海で生まれ育ったいわゆる「第三世界」出身のインド系三…

ハヤトロギアに向かって

昨日は、久しぶりに神戸へ行き、水垣渉先生から「聖書におけるヘブライズムとヘレニズム」と題するご講義を伺いました。例によって、興味深く感じたご発言を箇条書きしますと..... ・ハヤトロギアもオントロギアも、聖書に関しては、いつも他の言語とその言…

マレーシアの「神」語彙論争

昨日と今日付の英語版ブログ“Lily's Room”(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20100702)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20100703)をお読みください。伍錦栄博士(ユーリ注:ケンブリッジ大学博士号)からのご連絡で、ムスリム議論に対する新しい論駁…

手間暇がかかる作業

昨日も、夢中になって調べごとをしていたら、時間がかなり経過してしまいました。2800字にまとめるだけなのに、どうしてこれほど手間暇がかかるのか.....。 作業をしながら、思い出したことがあります。 2007年の2月頃だったかと思いますが、ある会合で、東…

1800年代の復刻ジャーナルから

昨夕、帰宅してみると、学会からご連絡が入っていました。9月に仙台で開かれる学会で発表を希望する人は、今から準備しておくように、という指示でした。これについては、まだ完全ではありませんが、冬からちょっとしたアイデアが湧き、箱に資料を取り分けて…

コーヒー・カンタータを聴く

マレーシアの教会放火問題がエスカレートして、今までのところ、計11教会が被害に遭っているそうです(参照:“Lily's Room”(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20100118)。地域は国中どこでもターゲットになっている模様。その他に、シーク寺院一つとモス…

こんな日本にしたのは....

「はじめに」 大学は学問の府であり、研究と教育を使命とするものであることは、いうまでもありません。しかし、研究と教育を行うのは教員であり、学生はもっぱら教育を受ける受動的なものと考えるのは正しくないと思います。研究と教育とは真理の探求という…

とりとめもなく

おととい、アメリカから中古本が一冊届きました。 William A.Smalley, "Translation as Mission: Bible Translation in the Mondern Missionary Movement", Mercer University Press, 1991. ざっと目を通しましたが、ちょうど10年前に真剣に悩んで一生懸命調…

ミーンズ夫妻の生涯

今日は、5.15事件を思い起こす日だったのでした。これもそれも、犬養道子氏の著作に触れていなければ、全く忘れ去ってしまっていたことでしょう。 さて、先程、マレーシアから激励メールが届きました。昨日書いた本について、著者の義母つまり主人公に当たる…

新しい「マレー語訳聖書」の内実

昨日書いたマレー語訳聖書の件ですが、大凡の状況がつかめてきました。 マレーシア聖書協会からも、お返事をいただき、「これは、インドネシア聖書協会もマレーシア聖書協会も出版していない版ですから、ここから販売に出すことはありません」とのこと。 で…

新たなマレー語訳聖書の動き?

今日は、民博図書室へ出かけ、借りていた博士論文5冊などを、とりあえず返却しました。とりあえず、というのは、全部読み切れなかったからですが、いずれ要りようになることは必須なので、まずは返却日にきちんと義務を果たし、また折を見て借りようという魂…

シェラベア訳の聖書について

昨晩は、なぜか夢中になって、シェラベア訳の聖書に関する短い報告二本を和訳してみました。もっとも、数年前から入手してあり、参考文献表にも何度か入れ、もちろん読んでいました。が、和訳してみると、また新たな驚きがあります。我ながら意義を感じて、…

クンデラの続きとレクイエムなど

先週の今頃は、懇親会で楽しく過ごしていたのでした。 「みのもんた」先生が、「論文なんて、ご飯食べずに集中すれば、3日で書ける」と豪語されていたので、思わず、「いえ、3日では書けません!」と反論しました。分野にもよるのでしょうが、私は、だめです…

マレー語の神の名をめぐる裁判(1)

いつの間にか、日本語版ブログでは、日誌風の生活記録もどき、英語版ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2)では、研究テーマ関連のメディア・レポートの複写集成、という体裁になってしまいました。表現したいことはたくさんあるのですが、ネット上だ…

憂鬱なクリスマス 世界情勢編

スシロ先生から、長い長いクリスマスのご挨拶が届きました。最近、ご長男が同郷の美しい女性と結婚されたそうです。写真で見る限り、結婚式の様子は、ほとんど我々日本人と異なりません。私どもの結婚式では、和洋折衷式でフランス料理、という形式にしまし…

失われた時を求めて

関西に住むようになってから10年以上過ぎます。日本文化の原型の現場ですし、図書館利用の便宜上、東京ではなく関西でよかったと思うことが多いのですが(東京の大学は、自分が頂点に立っているかのようにふるまいますが、いえいえ、経験の蓄積や資料や人材…

よかったね...

最近、ロンドンで牧師をしている広東系マレーシア人の友人からメールが届き、「この頃の神学書よりも、20年ぐらい前のものの方がよかった」「今、C.S.ルイスの再評価が始まっている」などと書かれてありました。私が、「あの聖書学者(注:ルイスではありま…

お知恵拝借!

調べ物のため、3か月ぶりかで、民族学博物館図書室へ行ってきました。早めに出て行って、まとめて資料複写を済ませようと考えていたのに、結局のところ、書庫に並べてあった1800年代からの製本ジャーナルに夢中になってしまい、予定を達成できませんでした。…

この頃の勉強

今日は、銀座の聖書図書館から、依頼しておいた昨年発行の英文の文献コピーが届きました。アラブでのイスラームの発生とアラビア語への聖書翻訳の関係性について言及されていること、初のドイツ語訳聖書は、マルティン・ルターによるものではないなど、なか…

ただ今、人生の第二楽章?

昨日は、近所の図書館を経由して、聖書翻訳をめぐる来歴について書かれた数種類の本を借りました。そのうちの一冊は、特に大変おもしろい本で、夢中になってしまいそうです。聖書関連であっても、必ずしもキリスト教の宣伝ではなく、極めて慎重に、公平な批…

なぜおもしろくないのか

昨日は、翻訳問題について愚考を書きました。反応は恐らくさまざまなのだろうと思いますが、今年3月の聖書翻訳ワークショップで聞いた話として、「聖書翻訳に文学者も加えることを検討してみては」というコメントがあったことを申し添えておきます。 文学者…

オランダ語訳聖書の話など

昨日は、ジャワで翻訳されたマレー語聖書との絡みで、オランダ語やデンマーク語などの聖書翻訳史について、少し調べてみました。なぜならば、最初に訳された1629年版のマレー語福音書は、オランダ東インド会社の社員が訳したオランダ語との二言語だったから…

英語訳聖書史のお話を聞く

昨日は、久しぶりに神戸バイブルハウスを訪れました。日本聖書協会の聖書図書館主事でいらっしゃる高橋祐子さんが、英語訳聖書の歴史をお話しくださるとのことで、早速、駆けつけました。 聖書図書館には、1998年ぐらいから度々お世話になっています。マレー…

63回目の終戦・敗戦記念日

今日は8月15日。63回目の終戦・敗戦記念日です。 この日には毎年、過去の経験を風化させないための催しが執り行われますが、この日ばかりでなく、普段からも、折に触れて思い出し、心に留めたいものです。 特にアジア各国にとっては、この日こそが解放…

世の中広しといえども...

先程、ロンドン在住の広東系マレーシア人女性から連絡をいただきました。いつも文章を書くのはご主人の役目だとばかり思っていたので、とても珍しく思いました。 もっとびっくりしたのは、彼女が大家族の出身だと書かれてあったことです。知り合って17年にも…