ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

ただ今、人生の第二楽章?

昨日は、近所の図書館を経由して、聖書翻訳をめぐる来歴について書かれた数種類の本を借りました。そのうちの一冊は、特に大変おもしろい本で、夢中になってしまいそうです。聖書関連であっても、必ずしもキリスト教の宣伝ではなく、極めて慎重に、公平な批判的論述が展開されているため、説得力があるのでしょう。それに、その本にはマレー語聖書に関する論述も含まれていて、我ながら借りた意義を確認できました。
・『聖書の歴史図鑑』(“The Book: A History of the Bible”)クリストファー・ド・ハメル(著)/ 朝倉文市(監訳)東洋書林2004年

その他に、英訳聖書に関する本とグーテンベルク聖書についての本を、二冊ずつ借りました。英訳の方は、著者が予め信仰告白をされている点が、学術研究書としてはやや欠点でもある一方、教会に連なる人々にとっては立場がはっきりしているので長所でもあり、といったところでしょうか。もう一冊の方は、やや懐かしいような感のある、英語英文学の立場からの研究のように思われます。かつて、私の学生時代には、英文科で学ぶなら、この程度は必須教養だと聞いたことがありますが、今でもそうあってほしいものです。この対照性が、私にとってはいずれも重要で、復習も兼ねて、改めて勉強になります。
・『聖書翻訳の歴史―英訳聖書を中心に―浜島敏(著)国学院研究叢書No.3 創言社2003年
・『英語の聖書寺沢芳雄・船戸英夫・早乙女忠・都留信夫(著)冨山房1969年

グーテンベルクに関しては、著者が同一ですが、ご研究の変遷と環境変化がうかがえ、これまた楽しい本です。丸善の古書部勤務の方だそうですが、世界中の収集家が注目している貴重な聖書をめぐって、大変失礼ながらも、趣味と実益を兼ねたテーマを一貫して続けてこられた点、実に幸せな人生でいらっしゃることと思います。丸善だったからこそできたことで、経済が上向きだった時代ならではの幸遇でもありましょう。

・『グーテンベルク聖書の行方富田修二(著)ビブリオフィル叢書・図書出版社1992年
・『さまよえるグーテンベルク聖書富田修二(著)慶応義塾大学出版会2002年

名古屋丸善の洋書部には一種独特の高雅な雰囲気が漂っていたことを、繰り返しになりますが、本当に懐かしく想起しています。レジ係であれ、万年筆売り場であれ、名刺受注であれ、誰もがキリッとプロフェッショナルに徹していたあの時代を、です。今なら、私もご多分にもれず、何でもアマゾンでパソコン購入です。いわゆる敷居や地域格差がなくなり、やる気と少々のお金さえあれば、いくらでも勉強ができる恵まれた時代になった反面、そこに行って初めて触れられる個性だとか雰囲気といったものが欠けてきたようにも思われます。町の本屋さんが次々と店じまいし、回転寿司のような大型書店が目立つ時代です。どちらも一長一短あり、何とも言えませんが、ちょうど変わり目に若い時期を過ごすことができたことが、せめてもの恵みでしょうか。

来年1月には、ヒラリー・ハーン庄司紗矢香さんのヴァイオリン・リサイタルに行きます。チケットが届きました。同じ週に二回も演奏会となると、今年の5月から6月にかけてのように忙しくなりますが、すばらしい時が過ごせることを期待できる今を、とても幸せだと思っています。