ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

2009-01-01から1年間の記事一覧

帰国しました!

9月30日から10月13日まで正味二週間に及ぶシンガポール・マレーシアでのリサーチ旅行から、無事帰って参りました。 今回は、3年ぶりの現地訪問です。予定がぎっしりと詰まった強行スケジュールでしたが、かれこれ19年間に及ぶマレーシアとの接触の中で、こん…

もうすぐ出発

今日は夢中になってシンガポール・マレーシア訪問の準備をしました。これが、私にとっての「矢内原効果」です。この度の本読み作業のおかげで、私なりの指針が定まりました。無知は不安と混乱を招きますから、やはり遠回りのようでも、一つ一つ読みこなさな…

矢内原忠雄全集などから

今日は、マレーシア・シンガポールへのリサーチ旅行の準備をまとめておこう、と決心していたのに、結局のところ、スーツケースを出してとりあえず必要なものを放り込み、主人との連絡用にミニ・パソコンの接続作業をしてもらって終わりになってしまいました…

矢内原忠雄氏の土曜学校講義(2)

というわけで、マレーシア・シンガポール旅行前だというのに、昨年暮れ、あしながおじさまから大量に送られてきた蔵書の中から(参照:2008年12月24日付「ユーリの部屋」)、しばらく三谷隆正氏と矢内原忠雄氏の著作集に熱中してしまいました。 私見に過ぎま…

矢内原忠雄氏の土曜学校講義(1)

昨晩は、矢内原忠雄氏の『土曜学校講義』の数巻から、部分的にアウグスティヌスとミルトンに関する箇所を夢中になって読んでいました。 それにしても、熱心なよい先生がいらしてくださって、感謝の限りです。専門外ということもあり、自分一人ではアウグステ…

碩学のことばから (5)

このところ、碩学のお一人として、三谷隆正氏の著作から印象に残った文、私にとって必要だと思われる文を書き抜いて、ご紹介しています。実は、気分転換したい時や、ちょっとした合間に、ワードに作っておいたものを複写しているのです。 昨晩は、矢内原忠雄…

碩学のことばから (4)

『三谷隆正全集 第四巻 世界観・人生観・神の国と地の国』岩波書店(1965年) ・本を余り沢山読むな、少数の良書を丹念に読め、さうして何よりも実験による自分自身の研究に精を出せ、といふ趣旨のものである。本をいくつか読んで、その読んだ結果をつぎ合せ…

碩学のことばから (3)

『三谷隆正全集 第四巻 世界観・人生観・神の国と地の国』岩波書店(1965年)について。こちらも、五巻に負けず劣らず、大変おもしろく、ためになるエッセイ集です。この時代の先生方は、単なる学者のみならず、真に教育者であられたなあと、遠き良き日を懐…

碩学のことばから (2)

古い本を読む時、(こんなことをやっていないで、もっと緊急の問題に関わる方が得策ではないか。ここに書いてある知識や情報は古くなっているのだし)という些かの心配がよぎることもありますが、やはり、私にとっては必要な経験です。書かれている内容が、…

碩学のことばから (1)

『三谷隆正全集 第五巻 信仰と生活・書簡・英文・年譜』岩波書店(1966年)から ・その世界観に於て自分には反対な傾向の書物でも、反対の世界観についての独自な判断を下す為には矢張り読まなければならない。(「ヒルティの読書論」『聖書講義』昭和十六年…

世の中はうつりにけりないたづらに

来月上旬、2週間ほどマレーシアとシンガポールへ行くことになり、ここしばらく、その準備にかかっています。 3年ぶりなので、さぞかし風景も変わっていることとは思いますが、気がついたら、19年ものお付き合いになってしまったので、慣れからくる気安さと同…

1977年 カイロでの調査報告 (2)

すっかりご無沙汰となってしまいましたが、以前ご紹介した「1977年 カイロでの調査報告」(参照:2009年6月20日付「ユーリの部屋」)の後半部です。(7)(キリスト教では「宣教」努力と呼ぶものだが、アラビア語では通常‘da’wa’ の用語が使われ「招待する」「…

ハマーショルドの愛読書

1953年から1961年9月18日まで国連事務総長を務めたスウェーデン出身のダグ・ハマーショルドは、就任に際して、一冊の書物にこう記したそうです。 「事務総長として、私に託された任務の全般に、忠誠、分別、良心を以てあたりたい…ただ国連精神にのっとっての…

秋の学会発表(2)

今年はブログが不定期です。その間、乱読風に手当たり次第、さまざまな分野の本を読んだり気が赴くままに調べごとをしたりしています。仕事としては何もしていない癖に、このところ何だか自分のテーマが煮詰まってしまったという感触があったので、その打開…

パレスチナ問題への勧告

「メムリ」(http://memri.jp)Special Dispatch Series No 2513 Sep/3/2009 パレスチナにとって最悪の敵はパレスチナ人自身 ―アラブの知識人がみる紛争長期化の根源― アラブのリベラル派知識人で研究者のファンディ博士(Dr. Mamoun Fandy)が、ロンドン発…

信仰と植樹の話

昨日のマレーシアの独立記念日は、主流メディアによれば、例年よりも小さなスケールで祝祭行事が執り行われたそうです。確かに、東マレーシアとかつて称されたサバ州・サラワク州の人々にとっては、年月がずれていると感じられますし、今では半島に流入して…

『後世への最大遺物』の妙味

総選挙は、予想通り、少しおもしろい結果となりました。「少し」というのは、動向が不透明だからです。ただし、評判も印象も芳しくないなあと思っていた大臣経験者や大物政治家が、この度、次々と落選したのは、ようやく世論の裁きが力を得たといったところ…

いわさきちひろの美術館と本

今月中旬には、穂高へ一泊二日の小旅行へ出かけました。こういう休暇には、新幹線など使わず、とろとろと鈍行のJRを使って、途中下車したり、本を読んだり、居眠りしたり、おしゃべりしたり、と気儘に過ごすのが私流です。安曇野では、ホテルが上等で食事も…

CDの小話

昨日借りたCDには、ギドン・クレーメルによる含蓄に富む文章が添えられていました。 「未遂の試み 音楽は、語り手も演奏者も実際にはかなわない非常に多くの解釈をそれ自体に内包している。我々演奏家はこの「無限」の王国への案内人として活動しているに過…

生涯に何の益があったであろうか

もう9月に入ったのではないかと思われるほど涼しい日が続いています。私にとってはうれしい限り...。 実はこの時期、本来ならばドイツ旅行をしていたかもしれなかったのです。ルターゆかりの修道院にも宿泊させていただけるという貴重なお誘いでした。ところ…

大掃除と読書リストと

昨日、今日と、からりとした晴天をいいことに、家の窓ふき、カーテン洗い、そして部屋の大掃除をしました。残暑とはいえ、さすがにまだ夏なので、顔中汗まみれになって、何度も洗顔しながら、遠く近く聞こえてくるいろいろな蝉の鳴き声に励まされつつ、せっ…

パレスチナ問題について

「メムリ」(http://memri.jp)よりSpecial Dispatch Series No 2483 Aug/18/2009 パレスチナ難民に再定着の機会を与えよ―Al-Arabiya TV副局長の呼びかけ― ロンドン発行アラブ紙Al-HayatのコラムニストでAl-Arabiya TVの副局長シリヤン(Daoud Al-Shriyan)…

この夏の近況報告

ご無沙汰しております。今年の夏は、比較的涼しく、クーラーなしで過ごすことができます。私にとってはありがたいのですが、お米の出来具合が心配です。 また、地震や洪水が各地で発生し、これも環境汚染の影響なのか、と気になります。 終戦/敗戦記念日が過…

秋の学会発表(1)

キリスト教史学会から11月に開かれる研究大会での発表の受理通知をいただきました。マレー人とキリスト教の関わりについて、1930年代の極秘資料を中心とした植民地時代の状況を分析する予定です。 結局のところ、ムスリムが心配するような事例はほとんどあり…

「アンネの日記」を見終わって

英国版ドラマ化「アンネの日記」が昨夕で終わりました。その後、インターネットの英語版でいろいろと調べてみると、少女期に日本語の本で読んだだけではうかがいしれなかったような、複雑な背景が少しずつわかってきました。なぜ、危険を冒してでも隠れ家の…

アジアの貢献は自らへの挑戦

今日の朝日新聞夕刊に、すかっとするような興味深いコラムが掲載されていました。 「アジアの人権観」と題する「窓−論説委員室から」です。 今月初めに東京で開かれた第2回アジア国際法学会公開フォーラムで、「アジアの挑戦−多極化世界の法と価値」というテ…

「アンネの日記」のドラマ化

今日は久しぶりに、テレビでドラマ化された「アンネの日記」を見ました。よくもまあ、ここまでそっくりの俳優さん達を探し当てたものだ、あるいは化粧を施したものだ、とびっくりするぐらいでした。 大学3年の春休みに、オランダのロッテルダム近郊に住むペ…

コラソン・アキノさんのご逝去

コラソン・アキノさんのご逝去の報に際し、学生時代に文通していたフィリピンのペンパルのことを思い出しました。 「ピープルズ・パワー」の頃には、便箋4枚ぐらいにびっしりと英語で状況が綴られていました。切手はなぜか封筒の裏に何枚も重ねて貼る癖のあ…

子供を武力闘争に使うこと

「メムリ」(http://memri.jp)Special Dispatch Series No 2455 Jul/25/2009 テロ作戦に使われる子供達「さまざまな(テロ)組織が、アフガニスタンからパキスタン、そしてイラクからパレスチナに至る地域で、少年達(15歳未満の子供もいる)をリクルートし…

うれしい贈り物と美術館の話 

私にはどうも悪い悲観癖があり、少しでもお返事が来なかったり遅れたりすると、自分に非があるのでは、何か失礼なことをしたのではないか、とグルグル考えて収拾がつかなくなることがあります。多くの場合、それは杞憂に過ぎないことが後で判明し、無駄な時…