キリスト教史学会から11月に開かれる研究大会での発表の受理通知をいただきました。マレー人とキリスト教の関わりについて、1930年代の極秘資料を中心とした植民地時代の状況を分析する予定です。
結局のところ、ムスリムが心配するような事例はほとんどありませんが、私の関心事は、キリスト教宣教の推移について、中東やインドやインドネシアなどの事例を視野に入れつつも、マラヤに限定した場合の特徴を浮き彫りにすることです。もちろん、聖書翻訳の事業とも関わります。
3月に関西学院の梅田キャンパスで発表させていただいた内容の補足発展という位置づけですが(参照:2009年3月9日付「ユーリの部屋」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090309))、発表後、「どこかに投稿してみる?」と尋ねられて、文章化を試みたところ、資料が次々に出てきて、大変な作業となりました。ちょっと疲れたので休息していたら、学会発表してもよろしい、というご連絡をいただいたわけです。
数年前、1880年代末に発行が始まり、中には今日まで続いているアメリカとイギリスの宣教ジャーナル数種を、京都大学、民博、同志社大学の書庫から出していただき、1ページずつ読むという地道な作業をした成果でもあります。宣教方針の変遷がある程度把握できてこそ、マレーシアに集中できるのではないかと考えました。また、現在を基軸として、宗教間対話の会合に招かれて感じたことが問題意識となっているので、意義があるかと言われれば、大いにあると思います。
答えが即座に出せるようなテーマではありませんが、神学関係の先生方からも是非、ご助言、ご教示いただければ幸いです。
60周年という記念すべき年にICUで開催される学会なので、今からとても楽しみにしています。
近いうちに、南メソディスト大学パーキンス神学部のロバート・ハント先生が送ってくださった論考で、ダラスでのムスリム・クリスチャン関係と対話会合の状況についても、どこかでご紹介できればと思います。アメリカという国は、本当におもしろい所です。また、ハント先生も、さすがはシェラベア博士の現代版後継者を自認するだけあってか、ハートフォード神学校の路線に沿いつつ、ご自身のお仕事をされているようです。私にとっても、ハートフォードと関わりを持たせていただけたことを感謝しています。