ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

秋の学会発表(2)

今年はブログが不定期です。その間、乱読風に手当たり次第、さまざまな分野の本を読んだり気が赴くままに調べごとをしたりしています。仕事としては何もしていない癖に、このところ何だか自分のテーマが煮詰まってしまったという感触があったので、その打開策として、のんびりと関心を広げてみました。
もっとも、なすべき作業やまとめなければならない課題は山積みなのですが、どうにも鬱屈して気が乗らない、という...。「そこをがんばるのがプロ」なのでしょう。ただ一つ申し開きをさせていただけるならば、自分のテーマに関しては、同じ話がグルグルと何度も繰り返し出てきて、膨大な資料を見ている割には平板でたいした話じゃないなあ、という事情もあります。発想が固定化してしまうので、文中の語彙まで固まってくるという弊害が大きかったのです。
というわけで、気候も涼しくなり、ようやく「満腹」したというところで、少し乗り気になってきました。
やる気に火がついたのは、昨日送られてきた秋の学会のプログラムです。もちろん私も発表させていただきますが、うれしかったのは、今回は学会にとっての記念の年に相当するためか、例年よりも発表者が多く、しかも、業績の多いベテランの先生方も何人か、ご一緒に発表されることです。
昨今は、とかく、若手の業績作りと見なされがちな学会発表ですが、この学会のいいところは、ご定年を迎えて所属を持たなくなられた先生も発表されることです。これは、言うは易く行うは難しで、相当の気力と意志がなければ続けられないことではないかとも思います。また、継続して毎回発表される会員が一定数存在するので、その方のご研究の進展がうかがえ、こちらとしても励みになります。
以前も書きましたが、「毎年発表するな!」と面と向かって私に怒ってきた人が、マレーシア関係でいらっしゃいました(参照:2008年3月10日付「ユーリの部屋」)。他分野の人達に話すと、誰でも笑うのですが、言われた身としては少しショックでもありました。ただ、その人の所属する学会や研究会ではそういう人がゼロであったとしても、必ず毎年発表する研究者が何人もいる学会もあるのです。ある専門で抜きん出て、学歴や経歴を誇って他者を威圧するのではなく、常識として視野はできる限り広く持たなければ、と自戒の念を込めて思います。
ただし、先日の内村鑑三氏の「デンマルク国の話」にもあったように(参照:2009年9月1日付「ユーリの部屋」)、外に拡大するよりは、内に力を蓄えていくことが肝心なのでしょう。同じテーマについて、場所を変えてあちらこちらで自己宣伝のように繰り返しても、聞く側も同様に平行移動しているならば、あまり意味はないかとも思います。
私としては、この歳になって焦ってみても仕方がなく、同時に、若い人にはないものもあるはずなので、「継続は力なり」を基盤にやっていくしかありません。とはいえ、先も書いたように、広い世の中、上には上がいらっしゃるのです。さまざまな刺激を受けながら、準備に励みたいと思います。