ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

今後に備えるべき日本

昨年は一度も風邪を引かなかったので、疲れがたまっていたのだろうか。冷えと重なり、今日も咳が止まらない。
だが、自家製生姜湯を何度も飲んで、家で安静にして、今日一日温かくしてゆっくり休めば、明日から元気回復するだろう。
というわけで、今日のブログはどこまで書けるかわからないが、雑感めいた簡易報告でお許しいただければと思う。
親日派」という言葉を、私は全く信用していない(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130911)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160410)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160803)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160811)。むしろ「知日派」を好む。外国人が日本を好きかどうかは、突き詰めれば、私には関係がないのだ。要するに、我々が正確に知るべきは、相手が自分および日本に対して敵意を有しているかどうかということ、そして、何の目的で自分および日本に近づき、どの程度の日本理解があるかである。
それさえ明確になれば、後は自然と道は整うであろう。
その意味で、平成時代の日本社会および現代日本人は、概して甘っちょろい。危なっかしくて見ていられない。よろず、脇が甘過ぎるのだ。
メディアと大学の責任は、極めて重大である。
日高先生の場合は(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170123)、アメリカが好きというよりも、日米関係を基軸に、軍事面を中心とした安全保障というテーマに忠実でいらしたご経歴だと拝察する。従って、大変に失礼ながらも、あの英語と安心感を与える風貌で、どこにでもグイグイと食い込み、米国の共和党を主体とした要人と堂々と渡り合い、サシでストレートな面談を行い、情報を取り込んで、活発な文筆活動によって、微温湯にどっぷり浸かった戦後日本の我々を叱咤激励されてきたのだろうと思う。
多作ではあるが、全ての記述が現実化したわけではないことは、古い本を何冊か読めばすぐにわかる。特に近年では、米国大統領候補の見極めが人材不足のために難しくなったせいか、当初はジェブ・ブッシュ氏を支持されたり、その前の選挙ではミット・ロムニー氏寄りだったかと思われる。
ただ、私はそのことを責めているのではない。いずれも共和党支持という筋は通されている。後は、米国民が投票権を有する以上、決めるのは我々ではないのだ。
本当の責任は、日本のメディアや大学の知識層が、「自分はエリートで知識階級だから、英語なら当然『ニューヨーク・タイムズ』等を情報筋として信頼する」という態度で、リベラル派の真の意図を見抜かずに、日本人読者をミスリードしてきた経緯にあると私は考えている。
1月21日夕方の談話会で、日高先生がはっきりおっしゃっていたのが、「日本のメディアで、朝日が信用を落としたのは当然としても、馬鹿なのは読売だ」と断言。私もフェイスブックで偶然に流れてきたので知っていたが、『ヒラリー大統領』と題した本を、結果が出る前に早々と製本して販売を始めたらしい。選挙結果が出た時、もう一度アマゾンをクリックしたが、既に画面は閉鎖されていた。
誰が執筆者だったのか、メモを取るのも忘れていたぐらい、馬鹿馬鹿しい話だった。
私のような素人でも、ヒラリー・クリントン氏がいかにアメリカ人全般に嫌われているかを知っていたし、第一、歴代の民主党大統領が日本に対して冷たかったことは明らかではなかったか?
クリントン大統領の時代には、「ジャパン・バッシング」がひどかった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20140209)。だが、日本外務省は「ヒラリーなら夫の時代のノウハウがあるので、対処可能だ」という考えだったらしい(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160517)。
何をか況や、である(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090604)。
こんな偉そうなことが書けるのも、2012年1月13日に、突然のようにダニエル・パイプス先生が私のブログを引用されて以来(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120114)、私の生活時間配分が大きく変更を余儀なくされ、従来、どこかで常に違和感を覚えつつも、曖昧模糊としていた政治思想や人生哲学のようなものに、一本の明快な指針を与えられたからである。
ブログなどでは上澄みしか書けないが、たった一文を公表するには、本当に自分が経験したことを通して、借り物や真似事ではなく実際に自分で考える以上に、ある程度の読書を通して知識を積み重ね、自分なりに思考を鍛えておかなければならない。その作業があって初めて、文章が書けるようになるのだと思う。
その意味で、まだ私は道半ばであり、試行錯誤の中途であり、これから先を楽しみにしているところである。
だが、これからは迷うことは格段に少なくなるだろう。というのは、遅ればせながらではあるが、これで道筋がはっきりしてきたからだ。
とにかく日高先生は、トランプ大統領共和党から選出されたことを、日本にとっての真の自立の契機だと捉える立脚点をお持ちだった。また、安倍総理は「いいとこのお坊っちゃん」で、「もし最近の真珠湾訪問が、アメリカ人の本音(我々の恥辱であるパール・ハーバーに触れてくれるな)を知った上でのことであるとすれば、相当な政治家だ」ともおっしゃっていた。そして、「オバマアメリカ人ではない、社会主義者だ」とも何度か明言されていた。
安倍総理真珠湾訪問に対する真意を除く話は、私にとっては何ら新たなことではなかった。パイプス先生のツィッターを見ているだけで、大体予想がついたからである。
前置きがすっかり長くなってしまったが、「仲間ハウス」という名称の駐車場の隣にある小さな部屋の懇親会で、真っ先に挙手した私の問いを、ここで記録しておこう。
受付でいただいた資料には地図もあったのだが、私一人ならば、恐らくは方向を間違えて迷っていたことだろう。34番目の最後尾にご著書にサインをいただいた私が、「懇親会の会場はどこですか」と受付係の女性に尋ねたところ、「では、この人をご案内して」と言われた男性が一人いた。そこで、二人で寒空の下をテクテク歩いて到着したのだった。私よりも若い方なのかもしれないが、わざわざ東京から講演のために来阪されたそうで、難波に宿泊予定とのことだった。また、「日高先生の本は全部揃えています」とご熱心だった。
つまり、懇親会に出向く層は、相当な日高ファンであることが予想された。だが、私は鞄の中に、レーガン政権のリチャード・パイプス補佐官の自伝“Vixi”(ハードカバー版)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=Vixi)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/archive?word=Vixi)をビニール袋に包んで持っていたので、何も緊張することはなかった。
ここでいささか脱線するが、私はまず、ペーパーバック版で“Vixi”を入手し、表紙に自分で作ったビニールのカバーをつけて、付箋をあちこちに貼り、鉛筆の書き込みも多数含み、関連資料のコピーを挟み込んでいる。だが、本棚が混雑しているので、いつの間にか、表紙の角が少し折れてしまったのだ。残念に思い、ハードカバー版を改めて入手した。こちらは絶対に書き込みを入れず、同じくビニール袋に包んで大切にしている。
このように、kindleやPDF媒体では味わえない経験を、紙媒体は提供してくれるのだ。
また、あまりに無骨なので時々私を笑わせるダニエル先生の文体よりも、リチャード先生の文体の方が陰影に富み、柔軟性とバランス感覚が抜群なので、私は好きだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)。内容ならダニエル先生の方が親しみがあるが、文章としての読みやすさは、リチャード先生に軍配が上がる。というのは、思考の基盤がドイツ語とポーランド語という、生粋の英語ネイティブではないからだ。そして、ジャーナリスティック文体ではなく、学術文体だからだ。
外国人には、その方が読みやすいと私は思う。
リチャード先生は、ビデオを拝見していると(http://itunalily.jp/wordpress/)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141125)、常に非常に早口で、一瞬一秒も惜しいという表情が顔に表れているが、それほどまでに、インタビュアの意図を見抜くのが敏いということと、語る内容が充溢しているということの示唆だと私は考えている。そして、無駄口は一切叩かない。キビキビして、要領を得ていて、すっきりと筋が通っている。その意味で、信頼感に溢れていらして、とても理解しやすい。
ただ、日高先生も皆の前でおっしゃったように、政治家でもいらっしゃるので、無防備丸出しに、ノコノコと無邪気に出ていく愚は控えた方が良さそうである。
だから、一般人の私などは、最初から腹を括っている。原則はこうだ。

(1)訳文のご依頼は、ダニエル先生からのものであること。
(2)中東の専門家ではないので、受けて立つ以上は、素人なりに最善を尽くすことが礼儀であること
(3)少しでも良い訳文を作るために、猛烈に勉強をしなければならないと自覚していること
(4)ダニエル先生の文章と思想を理解するためには、ご両親のお仕事や人となりを知る必要があること
(5)手に余るという表現が的確ではあるが、せっかくの身に余る光栄を無下にはできないこと

幸いなことに、ダニエル先生とは2014年春以降、毎年のように場所を変えてお会いして(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140508)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150511)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161007)、共に一時を過ごしている。支援者や賛同者とも一緒に旅行をして見聞を広げ、深めることができた。全ては、ひとえに訳文作成のためだ。機械翻訳とは違うのだから、まずは人を知る努力をしなければならない。
日高先生の懇親会に参加した意図は、勿論、上記の原則に沿ったものである。
まずは、私の質問から始めよう。ここ二十年ぐらいの恒例として、このような集まりでは「女性優先」が常識である。それを見込んで真っ先に挙手した。
「では、どうぞ。そちらの女性から」と、女性司会者からご指名があったので、“Vixi”をビニール袋に入れたまま手にとって、表紙のお顔を日高先生の方へ見せながら、私は立ち上がった。

「ありがとうございます。先生の古いご本を拝見しておりましたら、レーガン政権期にホワイト・ハウスでリチャード・パイプス補佐官が『次は“平和”宣伝攻戦を掛けてきますよ』と先生におっしゃり、『果たしてその通りになった』という一文がありました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170123)。今、私はリチャード・パイプス教授の息子さんの翻訳をしております。ハーヴァードを出られた中東専門家で、中東フォーラムを主宰しています。もしアメリカに来たら、ご両親が会ってくださるとおっしゃっています。そこでお尋ねいたしますが、今後の日露関係のために、今でも、ロシア史とボルシェビキの専門家だったリチャード・パイプス教授の著作は有効でしょうか。もしそうならば、どのようにパイプス教授の本を勉強すればよろしいのでしょうか、お尋ねいたします」。

言い終わって椅子に座るや否や、日高先生は即座に、以下のようにお答えになった。

「世界は狭いなぁ。日本の女性がリチャード・パイプスさんを知っているなんて、びっくりしちゃうけど。あの人は、ワシントンでは特別だった。怖いぐらいの人。偉い学者で政治家。息子さんのことは知らないけど、すごく仲良くされていた。ブッシュ政権にも影響力があった。でも、忘れちゃったなぁ〜」。

恐らくは、その場の雰囲気を察しての社交辞令ではあろう。
2012年春から繰り返し、このブログでもくどいほど書いてきたように、びっくりしているのは、当の本人の私の方なのだ。
第一、エリート校どころか、普通の学校しか出ていない。父の世代までは、学歴上は恵まれていた親族が双系にいたのかもしれないが、私の時代には大衆教育だ。周囲からも次々とお金を取り上げられ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160221)、長らく疎遠にされてきた私(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170114)。近所の図書館でも、走って本を返却に行く度に、カウンターでクスクス目配ばせ笑いをされていた私(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170119)。「毎回、研究発表をするな」と、東大出身の研究会の主催者に注意された私(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141204)。夫は十数年間、進行性難病と戦いつつ、いつまで働けるかという状態(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070708)。従って、戦略思考以前に、自分がどのように生きていけばよいのかで頭が満杯の人生。
一言で言えば、環境が悪過ぎて、最初から終わっている人生なのだ。
(私でもいいのかしら)と毎日のように思っているのだが、今でもダニエル先生が喜んで訳文の依頼をされ、しかもご両親や娘さんにも私のことをよく話していらっしゃるらしい(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140510)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141029)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141101)。だから、政治的含みや戦略的意図やエスポジト(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%A8%A5%B9%A5%DD%A5%B8%A5%C8)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/archive?word=Esposito)対策の意味合いがあることを充分に踏まえた上で、これも自分の務めだと覚悟しているのだ。生粋の大和撫子としては、無い知恵を振り絞って、受けて立たなければならない。
トランプ大統領については、米国内の問題はともかく、今後の外交政策が未知数だと私は思っている。日本語のブログでは、「アメリカ第一ならば、日本だって日本第一で行くべし。安倍首相は何をやっているのか」などと気勢を上げているものを見かけたが、これはいくら何でも歴史知らずの素人発想で、低レベルに過ぎる。第一、曖昧で感情的過ぎて、ブログ主が何を怒っているのか、よくわからない。
日高先生は、以前から「アメリカがいつまでも日本を防衛すると思うな」と警告を発して来られた。それは当然のことで、日米安保同盟とは、そもそも日本のためではなく、アメリカのためにあるからだ。そんなことは、小学生でも知っているはずの事実なのに、日本はメディアも大学も、何か甘い飴をなめるような話を垂れ流してきた。安住し過ぎてきたのである。
その意味において、トランプ氏は相当に頭のいい人で、嫌われてもいるが「滅茶苦茶に頭のいい人だ」ということを、日高先生は強調されていた。
リチャード・パイプスさんより、トランプの方が頭がいい」とまで、おっしゃっていた。
これは、一番に質問した私の特権で、トランプ大統領の特徴や本質を反映した発言だと思われる。つまり、私の問いが、日高先生のその言葉を引き出したのだ。実は、それは私の計算の中にあった。
要するに、「イデオロギーのある人は変わりにくい」が、トランプはイデオロギーがなく、損得勘定だけで動くビジネス志向のため、自由自在だという意味である。それを「頭がいい」と日高先生は表現されているのだ。
安倍総理と一緒にハドソン研究所を回ったことがあるが、「東条英機は凄い」と賞賛するような右翼ばかりを周囲に集めていたと、日高先生はおっしゃった。それ故に「実利志向で損得計算の素早いトランプ大統領政権」と対峙するためには、日本側は、従来の甘ったれ依存志向ではダメだ、ということなのではないかと私は理解した。
パイプスさんにも憲法のことでインタビューしたことがあるけど、『日本国憲法を変えさせないことがアメリカの対日政策』との返答で、それを日本はずっと守ってきた」と日高先生はおっしゃった。
だから、安倍首相を叩いている場合じゃないのだ。

以前、上智大学の関係者だったか、アーミテージ氏とジョセフ・ナイ教授とのインタビュー形式の本を出版して、いかにもアメリカが親日的であるかのような演出をしていた国際関係の専門家がいた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131219)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131222)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140228)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160330)。私も一時はそれを読んで安心したものの、あまり信用ならないと思い、忘れてしまっていた。実は、日高先生は明快に「アルミテージは二流官僚で、自分の中間利得のために日本向きの話をしていた。アメリカの上部層は、日本に無関心だった」とおっしゃったのだ。
このことは、後に示すことになるであろうダニエル先生のメール回答にも表れている。その意味で、彼は私にとっては正直に語る人だと言える。
つまり、相手が親日かどうかは、我々にとって関係はないのだ。問題は、その人が正直に本当のことを語っているかどうか、である。国際関係においては、それしかない。マレーシアに関して長らくリサーチを続けてきた私が得た教訓でもある。
日高先生の予測としては、「今後、日米安保は大きく変わる。日本にとっての責任も重くなる」。
だからチャンスだ、とおっしゃるのだが、ここまで低落してしまった日本の大学環境や研究体制を思うと、私には不安要因が大きい。
最後に、全員で集合写真を撮って会合は終了。お車に乗られる前に、日高先生の所へ近づいて、私はもう一度、お礼を申し上げた。すると日高先生は、さすがにやはり日高先生でいらした。

「リチャード・パイプスさんとは親しくしていて、何度かインタンビューした。思想的にしっかりしている。共産主義が大っ嫌いな人。ブッシュ政権にも影響力があった。日露関係で、パイプスさんの著作は今も有効。翻訳やっているなら、頑張って」。

つまり、パイプス親子を知らなさそうな皆さんの前では遠慮して、話題をトランプ中心に据えたわけだ。だが、話の筋において、底流で冒頭のリチャード・パイプス先生をさり気なく立てていらっしゃる。そこが、心憎いばかりの配慮だと私は思った。
...と感じることができたのも、2012年以降、訳文を作りながら、自分の思考の整理と勉強のためにブログを書き続け、自分なりに理解を深めようと心してきたからだ。
これで、ダニエル先生が「ネバー・トランプ陣営」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160718)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160723)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20160804)を張っていたことの背景が了解できるであろう。また、リチャード先生がイデオロギー強固であればこそ、大学の研究者としてのみならず、政治家としてもポーランドの市民権を復権されるほどまでの業績を上げられたのだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161113)。
もし、単にビジネス感覚で利得に走っていたならば、損得の利益は有り得ても、学者としての敬意は得られなかったのではないか?レーガン政権後にブッシュ父子の共和党政権も三期続いたのに、トランプ新政権になった今もなお、「パイプス著作は有効」だとはっきりおっしゃった日高先生である。
我々に投げかけられた課題は、相当に重い。
テッド・クルーズ氏を大統領候補に押しつつ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%C6%A5%C3%A5%C9%A1%A6%A5%AF%A5%EB%A1%BC%A5%BA)、「ネバー・トランプ」陣営に身を置き、共和党員を辞めてまで共和党指導部に対する抵抗運動を展開してきたパイプス先生が、今後のトランプ観察に対処するために早速作った著述リストを、以下に。

http://www.danielpipes.org/blog/2017/01/bibliography-my-writings-on-donald-trump

大統領として誰が当選するかを予見することは、学者やジャーナリストの本来の仕事ではない。今後の日米関係や国際情勢は、ますます不確実である。
従って、メディア情報を鵜呑みにせず、さりとて、自分勝手な素人予断を振り回さないためにも、一つの立場としてのパイプス著述に目を通しておくのもよいのではないだろうか。日高先生がさり気なく示唆されたように、彼は自他共に認める父親譲りの強固なイデオロギー精神を持ち、それがために、友人を失ったり、キャリアを棒に振ったり、悔しい思いを度々経験されてきた(http://ja.danielpipes.org/article/14025)。後学のためにも、どうぞ。

最後に、日高氏の「アメリカの上部層は、日本に無関心だった」という上記発言の裏付けを支持するメールを、ダニエル先生から頂戴しているので、ここに披露することで締めとしたい。
2017年1月22日早朝に受信したメールである。

「日高氏は、大半のアメリカ人は日本人よりも中国人の方が好きで、日本人に恐れを感じているとおっしゃいました。それは本当だと思われますか」。

その返答。

That was the case. That was due partly to the memory of World War II and a romance about China, but mostly because of "Japan. Inc." In contrast, the last quarter-century has seen Japan virtually disappear from the American consciousness, replaced by a "China, Inc." that is seen as even more worrisome because of its size and its Communist regime. So, I do not think that it's true anymore. Japan is forgotten, China we hear about incessantly.


(拙訳:それはそうだった。部分的には第二次世界大戦の記憶のためであり、中国に関する夢想のためだった。だが、多くは「日本株式会社」のためだった。反対に、過去の25年は日本が実質的にアメリカ人の意識から消え、代わりに「中国株式会社」に置換したのを見てきた。それは中国の大きさと共産党政権のために、さらにもっと厄介だと見られている。だから、それ(日高氏の言)はもはや真ではないと、僕は思う。日本は忘れられ、中国のことはひっきりなしに聞いている。)

(引用終)