ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

勝手な思い込みは捨てて

やはり、昨日のような厳しい率直な意見は(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150513)、日本ではまだ抵抗があるようだ。当初からそれを予想して、池内恵先生(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C3%D3%C6%E2%B7%C3)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C3%D3%C6%E2%B7%C3&of=50)のウェブ上の一連の訓示(例えば、「日本は厳然とド田舎」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150422))などを、出発前のしばらくの期間、本ブログに部分引用させていただいたのである。そもそも、人気取りを狙ってのことではない。その辺りは、最初から承知済みである。

単なるお楽しみの気晴らし観光旅行ならともかく、少しでもインテリジェンス能力を高め、世界情勢に通じることが、今および今後の日本の一般国民の課題と常識ならば、やはり普段から厳しく自己を鍛えていかなければならない。ぬるま湯に浸かって安穏としている暇はないのだ。
ともかく、今回の正味二週間の中東の旅によって、さまざまな意味で、圧倒的な情報力や民族活力の差違を感じたが、そこを自分なりに観察することが当初の目的でもあったのだから、仕方がない。
今日も早速、旅行メンバーの二人から、メーリングリストで新たな写真投稿の貢献や提案事項があった。私のみならず、皆さん、帰国直後の興奮を少しずつ冷ましながら、恐らく5月末の締め切りにかけて、思い出を相互共有していくのだろう。私はまだだが、明日あさって辺りに、(パイピシュ先生以外)皆様への初のお礼状となりそうだ。
このウェブ上の写真交換会については、実は私が密かに「日本人の旅行グループでは」と、食事の時にお隣に座られたパイピシュ先生に話しかけたところ、文字通り「うんうん」と真面目に耳を傾けられたことから、実現した一つの提案でもあった。(もちろん、他の人の提案と重複していたのかもしれないし、最初から企画に織り込み済みだったのかもしれない。)パイピシュ先生は、私の話を本当に真剣によく聞いてくださるのである。理由の一つは、異なった文化圏出身者の新たな物の見方や考え方を取り入れて刺激を加えたい、という姿勢の表れかもしれない。
ともかく、意義深い人生の一コマを共に作り上げた旅であったことは事実である。小さなハプニングはあったものの、全体として非常によい旅団であり、目的が明確で意識の高い、よくまとまったグループだったと思う。そこは、心から感謝している。
何が日本国内の学界の議論やメディア情報と異なるか、といえば、やはり一人一人の参加者の実人生と密着した旅程だったということである。
今も、新たに届いたメールを読んだが、ウズベキスタン生まれだと「告白」されたオーストラリアのおじ様がいらした。他にも、アメリカ国籍だが、出身はウクライナだとか、シカゴ在住だが、夫がイスラエルのテクニオンで講義をしていたなどという杖をついたご婦人もいらした。ニューヨーク市在住だが、自宅ではイーディッシュ語を話していた、というご年配の女性もいた。パイプス先生との旅程10日をはさんで、その前後にもイスラエルに滞在し、体力と相談しながら、時々ホテルで休みの日をつくりつつ、各大学を回ったり、知り合いと会ったり、過去の思い出を再訪したりされていた方もいらした。
つまり、パイピシュ先生の大量のブログおよび論考文やメディア発言は、全て勝手な思い込みではなく、ご両親から受け継いだ血筋によって彼が属する、世界各国のユダヤ共同体の個々の人生体験と具体的に結びついているのである。行動を共にしながら、自己の人生と重ね合わせ、思い出を膨らませ、考察を深めながらの道程だったわけである。
とすれば、共同体を代表して、彼が責任を持って発言し、執筆している活動に対して、勝手に日本の立場だけで非難するという行為そのものが、彼のみならず、実は背後の共同体全体を傷つけていることにもなる。そこは、日本人として、充分留意しておいたほうがいいと思う。
日本でも、ユダヤ系の諸機関が世界各地の情報に敏感で、何かが発生するとすぐに反応することを否定的に解釈する人がいないわけでもないが、そのからくりというのか、背景事情や道理がわかれば、実は何でもないことである。
最初のイスラエル訪問が2007年3月(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070725)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070919)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080409)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120309)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120321)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121117)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141123)http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150511)。あれから8年、週に二、三回送られてくる日本語のダイジェスト版のメーリングリストで、イスラエル国内の各種新聞の重要ニュースをまとめた記事をずっと読んできたし、パイプス訳文を始めた3年前からは、イスラエルアメリカの英語によるメーリングリストを、一日十件以上、毎日のように読んできた。その他に、パイピシュ先生のお仲間学者の著書や論文も極力入手して読むように心がけてきた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140306)。
恐らく、「英語はパーフェクト」とパイピシュ先生が言ってくださったのは(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150511)、語学力そのものというよりは、内容理解と行動が鍵なのだろうと思われる。つまり、言葉屋さんでは、やはりダメなのだ。また、自分の人生に勝手に引き寄せて都合よく情緒的に理解するような態度では、不正確で失礼なのだ。ましてや、のこのこと出かけて行って仲介役を買って出るなど、身の程知らずもいいところである。
それにしても、大変なメール量である。どうやって処理し、整理をつけていくかが鍵だが、この出会いは本当に貴重である。