ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

レーニン『帝国主義』を持参

実は、今回の約二週間の中東の旅で、飛行機の中や一人になった時や待ち時間などに読む本を持参していたのだが、その一冊が、レーニン(著)・宇高基輔(訳)『帝国主義岩波文庫白134-1(1956年/1989年 第39刷)だった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150313)。
もちろん、パイプス先生にお会いすることがわかっていた旅なので、お父様のお話が出たら、早速対処できるようにという算段もあった。
ところが、何としたことか、旅団の高齢の方々から、私が尋ねられる側に回ってしまったのだった。
「リチャード・パイプス先生は今もご健在ですか?」
はい、もちろん。「昨年も、ポーランドのラジオでインタビューを受けられていましたよ、ウクライナの問題で」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141101)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141102)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141125)と、なぜか私の方が堂々と答える側に立ってしまっていた。
もちろん、ご高齢なので、念のため、ご子息先生にも確認してみた。すると、「元気だよ」。
何よりである。
私の学生時代には、レーニン以上にスターリンの方が、大学でも目にする読み物でも目立ったので(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140919)、実はレーニン全集なども読んだことがなかったのだが、冷戦期が終わった今となっては、(なぁんだ、こういう内容だったのか)と拍子抜けするほど。確かに、植民地支配の罪悪面を指摘した結果、第二次世界大戦後、雨後の筍のように第三世界の独立を促した功績はあったのであろうが、この本の中で、西洋諸国に混じって、規模は一回り以上小さいものの、れっきとして「日本」が批判雑言の対象にされていることがわかると(pp.12,18,100,109,133,134,156, 158, 164, 169, 192, 195, 197, 202, 215, 221)、ある意味で、理論的には怖い物なし。
しかし、こうしてみると、確かに日本っておもしろいなぁ。なぜ、東洋の一国なのに、広大な中国を抜いて、小国の島国日本が、西洋列強に肩を並べようと必死になっていたのか、という...。しかも、お隣の誇り高い中国が西洋列強との関連で失敗続きだったのに、しっかりと出島(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120729)経由で諜報活動を継続し、世界情勢の分析と動向を探り、薩摩島津の殿様の采配で、薩英戦争も何とかクリア(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150209)。
だからこそ、今の失われた二十年の日本は本来の日本ではない、と言えるのだ。
実際には、行きの飛行機の中で大半を読んでしまい、旅の道程では、毎日が充実していて、部屋に戻ると、旅用の化粧落としコットンで顔を拭き取り、そのままバタンキュー。実に健康的な日々だった。