虎の威を借る狐の巻
なかなか鹿児島・霧島の旅日記が書けずにいるが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150209)、タイミングを狙って、急遽、話題変更。
以下に例によってフェイスブックから部分引用させていただく池内恵先生(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C3%D3%C6%E2%B7%C3)に関しては、過去ブログの「コメント欄」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150211)を参照のこと。
(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi)
・「例の元外交官の佐藤優さんが中東について書くときの一般的な問題について書いてしまいましたが、なんと私の古巣の偉い人の記事を参照されていたことに気づきましたので、別人ですので削除します。」
・「一方森羅万象を語る佐藤優さんは、中東については極端にイスラエル寄りに書くので、注意が必要です。クリスチャンであることと、裁判をめぐって名誉回復の意図もあり、イスラエル情報がいかに重要かを強調しているのだと推測できますが、ご本人が書いているように、情報は出し手の意図を読み、ディスインフォメーションに気をつける必要があります。」
(部分引用終)
←元外交官の佐藤優氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BA%B4%C6%A3%CD%A5)の論拠については、実は私も感じている点があり、その旨、『みるとす』誌(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A4%DF%A4%EB%A4%C8%A4%B9)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%DF%A5%EB%A5%C8%A5%B9)にも、2014年12月9日に読者葉書で「超多忙なのは承知しているが、あまりにもメディア記事の引用が多過ぎるように思い、最近は不足を感じる」とお伝えした。その他に追加点を。
(1)元ロシア担当だったからなのか、その筋の引用に依拠されることがあるが、果たして信頼に足る情報なのかどうか。
(2)キリスト教神学の知識があるということが、日本社会では有利に働くと見込んでの執筆活動かもしれないが、同志社神学部の動向を熟知した上でなければ、かえって世間は戸惑うのではないか(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C6%B1%BB%D6%BC%D2%BF%C0%B3%D8%C9%F4)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C6%B1%BB%D6%BC%D2%C2%E7%B3%D8%BF%C0%B3%D8%C9%F4)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140610)。
(3)「元外務省主任分析官」という肩書きは、世間的には一種の権威の保証になるのかもしれないが、私自身の狭く限られた経験では、元外交官といっても、さまざまな立場や能力や性格の人がいらっしゃる。例えば、私の大学の「先輩」のような事例もあれば(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110128)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110301)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110406)、高校の同窓生で、外交官になってヨルダン勤務をしていた人もいる(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090724)。その他、マレーシア勤務時代に面識のあった大使や書記官(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110407)および、当時のマレーシア公使で、確か「趣味で小説を書いている」などと紹介されていたが、小泉政権のイラク戦争の頃から、何やら外野席に回って論説をぶっているN・A氏など。だから、そのようなクッションを置いて、私は見てきたつもりである。
(4)「イスラエル寄り」つまり、親イスラエルについては、私も同路線ではあるが、れっきとした理由がある。
(a)イスラエルは聖書の土地であるということ。
(b)クラシック音楽を通して、イスラエル・フィル(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%A4%A5%B9%A5%E9%A5%A8%A5%EB%A1%A6%A5%D5%A5%A3%A5%EB)に敬意と親しみがあること。
(c)長年の変わり映えのしないマレーシアの勉強で手詰まりを感じていた頃、イスラエルの新聞や論文を読んで、鮮やかでストレートな論調に魅了されたこと。
(d)親イスラエル派の立場で長年、論陣を張ってきたダニエル・パイプス先生から依頼された(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120330)日本語訳者であるという責任感があること。(但し、そのパイプス先生にしたところで、イスラエルに対して、批判すべき点は臆せず強烈な批判を展開されているし(http://www.danielpipes.org/13835/)、アラブ・ムスリムやトルコ情報に関しても、適宜、必要な場合には依拠されてもいる点に留意。)
(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi)
・「リアルタイムの情報はやっぱり野口さんのブログがいいでしょうね。元イエメン大使もなさっていたと思いますが。元大使の言っていることがいつも正しいわけではなく、イラン・シリア・レバノン・キューバ等の「反米」的要素が多い国大使を最後に退職された方々は、しばしば外務省の主流派=親米派への恨みつらみと分析をごっちゃにした議論を展開して、それがメディアに取り上げられるので、ディスインフォメーションの塊になる。野口さんは本当に誠実かつ自由な方だと思う。親米派への恨みで生きている人は、実際には自分も親米派になって権力を揮いたかっただけじゃないのかな?」
・「退職して大学の先生になってからも、こうして毎日欠かさず現地メディアのまとめの手作業をされているのって、本当にすばらしい。キャリア官僚はある時期からこういう手作業をやらなくなるし、やれなくなる。でも自分でやっていないと下から上がってくる情報をうまく読み取れなくなる。そして、義務がなくなっても、日課として営々とやり続けておられるその姿勢が、きっと学生にとって素晴らしいお手本となっておられることと思います。」
・「イエメン大使やチュニジア大使を歴任した野口雅昭さんのブログの、イエメンの項目。連続して読むと、具体的な事実の積み重ねで全体像がわかります。私の最近のポストの内容も全て先に載せられていた。まあそれは予想していたが、私は私の基準で発信している。野口さんは最有力メディアに絞り込み、朝の定時観測を欠かさない。頭が下がります。」
(部分引用終)
←その野口雅昭氏のブログだが、『ユーリの部屋』(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130911)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=abu_mustafa)で部分引用させていただいている。また、『ユーリの部屋』(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150204)の「コメント」欄にも書いたように、『外務省の掟』(ビジネス社 2001年)を冒頭の鹿児島旅行中の2月6日に読了。野口氏は「自らを律するのが大使の役目」(pp.47-62)で執筆されているが、「節度」という言葉を彷彿とさせるような文章だった。会津若松のご出身だということ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140519)、確かお父様が陸軍参謀でいらしたこと、奥様がエジプト生まれの方だったこと、などを考慮する必要性があろうかと思う。
私が野口氏のブログを見ていたのは、もちろん、ダニエル・パイプス先生の訳文作業の関係からである。大変申し訳ないが、時間の関係で、毎日チェックしているわけではないし、見ていたと言っても、当然のことながら、イスラエル以外行ったこともない中東について、充分理解できているはずもない。『メムリ』(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%E1%A5%E0%A5%EA&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%E1%A5%E0%A5%EA)のみならず、日本のアラビスト外交官がどのように中東を分析されているか、知る必要があると考えたためである。
(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi)
・「まあこのNHKの「イスラーム国」を今後「IS=イスラミックステート」と呼ぶことにしたという話だけどさ、日本の事情からやむを得ないとは思うが、言葉狩りをしてもなくなる問題ではない。長期的には問題の所在の認識を妨げてしまうのではないかな。短期的に勘違いする人たちを予防するために仕方がないとは言えるが。しかし、低次元の解決策に落ち着いたと言わざるを得ない。」
・「なお、政府・自民党のISILは明らかに米政府への追随です。米系メディアはISISとすることが多い。アラビア語の各国のメディアは『ダーイシュ』とすることが大多数になっている。これは明確に敵対姿勢を示した用語であり、『イスラーム国』側・共鳴者は『ダーイシュ』と呼ばれると怒る。」
・「『イスラーム国』『IS』『ISIL』『ISIS』『ダーイシュ』のそれぞれの由来と、それぞれを用いる場合の政治的意味は、『イスラーム国の衝撃』の67−69頁に詳述してあります。」
(部分引用終)
←本件に関しては、パイプス訳文(http://www.danielpipes.org/15396/)も、ご参考までにどうぞ。実は、原文は2014年9月12日付であるが、拙訳提出日は2015年1月17日掲載と、かなり遅れた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150118)。10月から11月まで、パイプス先生とメール交信を続けながらも、下訳だけ積み上げて、訳業は秋休みを取っていたことが理由。もう一つの理由としては、パイプス先生の『大シリア』を読んでいたとはいえ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120929)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121020)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130516)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150113)、やはり専門ではない分野を訳出するには、時間を置いた方がよいと判断したため。但し、原文を受け取ってすぐに、下訳だけは、その日のうちに済ませた。パイプス先生の方も、その後、画像を差し替えたりして手を入れたので、それで正解だったと思う。
(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi)
・「古代ギリシアの『無知の知』すなわち、無知であることを知ることがいかに重要か。」
・「SNSの時代になって、無知のまま発言する人々の登場頻度は飛躍的に高まった。ちょっとよく考えればいいことを、私のブログのコメント欄にコメントをつけてくる。ちょっと先を考えられずに、『自分は物を知っている』と思いたいがゆえに、浅ーい情報に基づいて偉そーなコメントをつけてくる。」
(部分引用終)
←池内恵氏は、やはり「先生」なんですよ。ちょっと説教垂れ気味の饒舌傾向?でも、おっしゃりたいことはわかる。今日も、このように長々と部分引用の上、コメントさせていただいたのも、実は心当たりがあるから。いえ、無名の私に対して寄せられた直接のコメントじゃないですよ。
そうではなく、「自分も池内恵東大准教授と考えが同じだ」「野口雅昭氏のブログを、私もずっと見てきた」みたいなことを我田引水されている虎の威を借る狐のような人を知っているから。その人が私を引用しないのは、私に引用価値がないから、という以上に、引用したらご自分の価値が下がるからでしょう。
でも、見事に重複した書き方をされていることに、私は気づいている。