ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

豪州のビショップ外務大臣

オーストラリアのアボット政権のビショップ外務大臣が来日され、早速、日本記者クラブで会見されました(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=Ms.+Julie+Bishop)。
実はダニエル・パイプス先生がアボット政権の中でも特に彼女のファンだそうで、二ヶ月前のオーストラリア滞在中に尋ねられ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130828)、そのように答えられていました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130910)。私も好感を持っています。テキパキして、筋を通し毅然としていて、巧まざるユーモアがあり、知的美人の典型だと思います。気のせいか、ビショップ大臣が登場されると、最近は和やかムード蔓延の会場がピシっとしまり、私にとっては非常に気持ちのいいものでした。
申し訳ありませんが、英国も欧州も豪州も、労働党社会民主党系などの左派政党が中心になってくると、かっこよさが半減しますし、政治も社会も乱れ、決定が遅れるように思います。どうでもいい問題をことさらに大きく取り上げて、さも重要なことのように騒ぎ立てます。やはり、長い伝統を重視した保守系政党が落ち着きます。政治家の質がいいからです。
ただ、いつも感じるのは通訳の問題。逐語通訳も時間が半減されて面倒ですが、同時通訳がうるさくて仕方がありません(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130115)。音声調整を試みてみましたが、どうしても二つの言語が耳に入ってしまい、思考が妨げられます。それに、通訳は内容重視のためか、英語も日本語も、話し方に癖があって聞き取りにくいのです。サイマルの通訳者は優秀ですが、聴く側との相性があるようで、なかなか難しいところです(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120314)。
ビショップ氏も、そこは早々とあきらめて、とにかく意思を伝えることに専念されているかのようでした。通訳機はできる限り耳から外し、時間の節約に努め、自分の役割をきっちりと果たすことに集中している姿が印象的でした。

さて、パイプス先生。一週間ほど前に新たな用件を頼まれました。一年半前から予想はしていたことでしたが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120606)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121026)、私なりに情勢をあらゆる角度から判断し、慎重に慎重を期して、データ数値を具体的に挙げて、「私の分析はかくかくしかじかです」「ですので、その件はその頃に考えさせていただけませんでしょうか」と提案してみました。すると、イスラエル滞在中でご多忙だったこともあってか、別件ではお返事がすぐにあったものの、その件は数日、ペンディング。あきらめられたのかな、と思いきや、何とまた具体的に逐一回答が届いたのです。実にまめ。ご自身からの提案や依頼は絶対にあきらめない、したたかな粘り強さがあります。
一つ一つのデータに関しては、ご自分で確認された後、「そうだ」「それは正しい」「しかり」「同意する」と続いた後に、肝心の点については「だけど、その議論は今していることに反するのではないかね?」「その論法でいくと、これはどうなるのかね?」と、小さな矛盾を突く手法。いえ、私にとっては矛盾ではなくて、用心に用心を重ねた上で、あらゆる(最悪の)シナリオを想定した上で、今すぐ結論を出すのではなく、もうしばらく様子を見てから、とお答えしているつもりなのですが...。それに、何事も安請負しない毅然とした態度を示すためでもあります。
そこで、私も書きました。「最も心配しているのは、これこれのことなんです。お忙しい中をあれこれ質問して、先生をイライラさせていないかと懸念していますが、あらかじめ予想される不必要なトラブルを事前に回避することが、私の望みです」。その後、一応はご提案を前向きに受け留める方向性を示し、「もしそれが負担軽減につながるのであれば、喜んで応じます」と書き添えました。すると、どんなお返事だったか。「いや、別に負担軽減にはならない。ちょっと作業が増えるだけだ。その他は従来と全く変わらない。同じだよ」。その上、私が受諾する方針を示したために、「ま、最初にこっちが示唆したよりは仕事が多いけどね」。
来ました、来ました。これですよ、これ。私も初めから、いえ、昨年の春から(いつかはそうなるだろう)と承知していたこともあって、すべては折り込み済みだったのです。最初の提案は実に控え目で、本当はある程度の時間がかかる作業であることは、注意深く伏せられているのです。実はその点、主人は読み違えていて、「いや、あんまり細かい修正ミスとか具体的な質問メールが頻繁に来るから、『こっちは忙しくて応対できない。もう自分でやりなさい、任せるよ』と信頼してくれたんじゃないか?一つ日本に投資してみるか、という意味では?」と言っていたのですが、実はそうではなく、「あなたからの質問は、これまでもそうだったように、何でもいつでも大歓迎だよ」「新たな作業がちょっと増えるだけで、何もかもこれまでと同じ」でした。
ちょうど、そういうメール往復が三回続いた間に、パソコンが何とか復旧したので、作業行程としては実によいタイミング。現在、米国外にいらっしゃるパイプス先生のご予定ともぴったり合いました。そこで最後にお褒めの言葉を。
これで全部クリアになったよね。実に有益なアプローチをしてくれたねぇ、ありがとう」。

米国議会の諮問のやり取りを聴いていると(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=john+kerry)(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=chuck+hagel)、大体、共和党の保守タカ派と呼ばれる人々の論法や議論の進め方が把握できるようになってきます。とにかく、自分の意思を最初から常に明確にし、紙に書いて備えておくこと。そして相手方の論法や思考や情報を最大限集めて、矛盾を突いて動揺させたり、本音を引き出す質問を考えること。しかも、遠慮会釈なく、ストレートに「イエスかノーで簡潔に答えてください」とぶつける。だから、共和党は論旨が一貫していてわかりやすい反面、(しかし、この場合はどうするのか?)(グレーゾーンに対してはどう対処すべきなのか?)が問答不要となってしまいがちです。想定外の事態が発生した場合については、最初から問われもしないようなのです。
例えば、イラク開戦前に戦争の是非や当否を問うた場合、「サッダーム・フセインは危険なのだ」と国民世論を説得する方向ばかりにエネルギーが注がれていたように記憶していますが、「もし開戦後、『結局のところ、大量破壊兵器は見つからなかった』という意見が出てきたとしたら、どのように応対しますか?」という質問は、熱狂に消されてなのか、少なくとも当時、日本の私の耳には聞こえてこなかったように思います(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120811)。
実際には、イスラエルを短期訪問し、ベテラン・ガイドさんの一言を聞くだけで(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070725)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071209)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071213)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071225)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080227)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090404)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101104)、当時のイラク問題の核心に触れることができましたし、アラブ関連の英語三部作(拙抄訳)『アラビストのロマンス』『アラブ民族史』『閉じたサークル:アラブ人を巡る一解釈』を読めば(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131004)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131011)、イラクの危険性やサッダーム・フセインの背景や恐ろしさがわかるようになり、だからあの路線で話が進んでいったのだ、と認識できるようにはなります。しかし事前に、反戦思想運動家の論法を反駁できるだけの議論が充分にあったのかどうかについては、疑問なしとはしません。それに日本では、中東専門家が「なぜ、イラクから学ぼうとしないのか」と、一般国民を叱咤する逆行現象が起きている始末(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130820)。違うでしょう?中東専門家がしっかりと情報を出さないから、国民が判断に困っていたのに....。
私は、パイプス先生の代表的な著作数冊には目を通してありますし(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120113)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120114)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120124)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120524)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120627)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120929)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121020)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130331)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130508)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130516)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130630)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/archive?word=%22Daniel+Pipes%22)、映像はほぼ全部を見ました(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=Daniel+Pipes)(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=oslo+accords)。お父様の自叙伝やインタビューも読んだり聞いたりして(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120124)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120131)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120507)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120626)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121003)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121007)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121026)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121113)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130105)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130116)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130117)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130203)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130312)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130625)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130629)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130630)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130712)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20121231)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130103)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130104)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/archive?word=%22Richard+Pipes%22)(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=Richard+Pipes)(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=%D0%A0%D0%98%D0%A7%D0%90%D0%A0%D0%94+%D0%9F%D0%90%D0%99%D0%9F%D0%A1)、パイプス家の人々の大凡の公的な言動はつかめていると思います(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130312)。少数派の時期であろうと人目を引く時期であろうと関係なく、お若い頃からの言論活動の趣旨に対して、基本路線では賛同し、理解しているつもりですが、恐らく、その先は文化の違いなのだろうと思います。
決断が早くてトップダウン。問題が生じたら、その都度考えるアメリカ式。一方、最初にかなりもたついてイライラさせるけれど、あらゆる角度から充分に考察し、予想されるトラブルまで覚悟した上で、少しずつ感情や反対意見を調整しつつ、「じゃ、その方向で行きましょう」と決定する日本式(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120321)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)。何事も、結果よければ全てよし、ですが、日本式(私式?)は、それほど大きく間違ってもいないと思います。過去の事例に学び、最初から予想可能なトラブルを回避できれば、安定して静かに落ち着いて仕事に集中できますし、精神的な健全さが保たれれば、仕事の質も量も向上します。
そうは言っても、パイプス論法に刺激されて、この頃は私も、具体的に数値やデータや事例を挙げ、簡潔な論旨で、相手に有無を言わせぬ英文を書くよう心がけています。お返事をいただけるようなメールの書き方を、マニュアルを見るのではなく、自分の頭で考え抜いて工夫し、最終的にはお褒めの言葉まで頂戴できるなんて、ありがたい限りです。
ただし、この歳になって残念に思うのは、私の受けた教育ではスピーチやディベートの訓練に欠けていること。読み書きは何とかなるとしても、抑圧の文化(和の精神の強調)が成長を妨げていたと思います。そして、毅然とした首尾一貫した態度を保つことで、いい加減な相手から恐れられ、距離を置かれるぐらいの方が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121020)、自己の健全で安定した成長が見込めるという点でも、ビショップ外務大臣のファンだというパイプス先生から学んだところです。