現実とイメージのギャップ?
他の角度による映像から学んだ要点です。異論や反論があるのを承知の上で、そういう見方もあるのだということです。
・ユダヤ人とはユダヤ教を実践している人のこと。
・正統派ユダヤ教徒は、あまり「反ユダヤ主義」の危険を感じない。世俗的ユダヤ人の方が、危険を感じやすいようだ。だから、「反ユダヤ主義」問題に対応する活動によって、ユダヤ共同体を助けている気になれる。
・シオニズム運動とは、非宗教的なものだ。
・「反ユダヤ主義」は、アメリカのエリートのユダヤ人の心の中にあるものだ。
・イスラエルは子どものようなもの。ユダヤ系の自分にとって、唯一、安心できる自分の保証のような存在。
それに対して、ダニエル・パイプス氏はどのような見解を披露しているでしょうか。
・今の米国では、イスラエル問題について、共和党と民主党、保守派とリベラル派の間で大きな分裂がある。
・ユダヤ人の世界制覇やメディア支配などは神話に過ぎず、ナンセンスだ。アメリカのユダヤ系は有能で勤勉だから、人口比率の割には突出した存在となっている。
・アメリカは、ユダヤ史にとって、ほぼ初めての黄金時代を与えている。自由でユダヤ人の安全が確保されているので、ユダヤ教ものびのびと開花でき、個人としても才能を伸ばせるため、その結果、目立つようになったのであって、ユダヤ人がアメリカを支配するなどとは考えていない。
・ユダヤ人社会の内部では、諸問題について見解はさまざまに分かれる。激しい論争がある。
・ユダヤ人は、相互に協力するよりは、競争し合う。
・ユダヤ人の歴史は、これまであまりにもひどかったので、自己保全のために、自然と政治に関心を持つようになる。
と、相変わらず、複雑そうな問題を、いともあっさりと論理的に説得力を持って論述されています。そもそも、私がパイプス先生の著述に引き込まれてしまった理由は、混沌とした諸現象に対する分析の明晰さなのです。(一方で、あまりにも明快なので、何か戦略的に語られていない面もあるのではないか、と思ってしまうこともありますが、イスラーム贔屓の学者先生達よりは、遙かに隙がなく、ぬかりなく論じられているというのが、これまでの私の印象です。)
古いメールを読み直して新たに確認した点は(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120821)、ダニエル・パイプス先生は、日本には概ね好意的な見解を取っていると、私に明言されていたことです。例えば、1980年代に日米摩擦が生じた時には、「僕は親日本の立場を取ったよ。それは、僕の書いた日本論を読んでくれたら、気づくんじゃないかな」。そして、日本の郵便制度の事例を好ましく考えていたこと、日本のことを「世界中で最も興味深い国」だと呼んでいること(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120127)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120429)、中東事情にあまりにも詳しくなければ、自分が1986年の3ヶ月の日本滞在中に出会った多くの日本人達も、礼儀正しい人々だっただろうと思っていること、車の運転手のドアの開け閉めの丁寧さや、あらゆる角度から検討した後は、一生懸命にそれに取り組むことなど、自分の生活でもよき点を日本から見習っていること、等々です。