ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

昨日の続き

イラクなどが大変な状況にあるので、昨日のような内容(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140616)に対して、お返事がいただける可能性はないとあきらめてはいるが、聞いてもらえるかどうかは別としても、一応、こちらから言うべきことを、言うべき時に伝える努力だけは必要だと思う。
「日本(やドイツ)でうまくいったのだから、中東(イラク)でも」という提言パターンは、もうそろそろ無効では(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131212)?日本人が黙っているので、あるいは、それほど多くの日本人と深く付き合ってこなかったので気がつかなかったのかもしれないが、そのノリで中東平定に乗り出すとしたら、また「アメリカの失敗」(http://www.danielpipes.org/14482/)ということを数年後に繰り返すことになりかねない。だから、身の程知らずで、前もって申し上げておくべきだと考える。
もちろん、この後で自分の解釈が誤っていたと判明すれば、またそれも表明する態度だけは維持したい。
続きのお返事を私から。

1.本件に関して、標準的なアメリカの史観に従っていらっしゃると理解しております。そのことで批判しているのではありません。なぜならば、現代日本史ではなく、中東とイスラームの専門家でいらっしゃるからです。


しかしながら、私は個人的に、前のメールで言及したフーバー大統領の本(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131217)を支持できる、非イデオロギー的な所見や証拠を日本語で幾つか読んできました。えぇ、本当に、あの戦争を防ぐために両サイドからの一定の努力があったのですが、結局は失敗しました。


ですので、第二次世界大戦後、アメリカの指導者層によってうまく導かれた一例として、先生が日本を引用されているのを聴いたり読んだりする度毎に、私は何か奇妙なものを感じました。


だから、4月にニューヨークで直接お尋ねしたのです。「日本は、先生にとって、趣味あるいは暇つぶし、あるいは一種の気分転換なんですか?」と(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140511)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140615)。


2.2014年2月24日付のお返事には、こうありました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140228)。


> 僕は、日本が核兵器を持つことに異議はない。日本が核の準備をする所要時間は、事実上ほんの数週間のことだと理解している。
> 核禁止は70年前の出来事から生じたものであって、今日では関連なしだ。


3.この温かいお励ましをありがとうございます。



> 日本は国際政治における模範行為者であって、充分に民主的な他諸国の権利の全部を持つべきだ。


不幸にも、中国と北朝鮮/韓国は、今でも一貫して日本を責めてきました。
だから私は、これらの国々で働き、日本に対して批判的な傾向がある、西洋キリスト教宣教師達について書いたのです。


4.ポール・クローデルに関して、ある資料によれば、彼が私的には反セム主義者だった、ということを私は知りませんでした。私はただ、彼の日本の伝統文化への深い興味に言及したのみです。彼はパリで、滅びるのを見たくない民族は日本人だ、というスピーチをしました。

(終)
最後の、ポール・クローデルについては要注意だ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140613)。日本側は、ついうれしくなって引用してしまいがちだが、国内向けに留めた方がよさそうでもある。
調べる機会があれば、調べてみたいのだが、実は、表向きニュールンベルク法に反対し、ヴィシー政権にも反対し、ユダヤ会議へもナチ反対の署名をしていたものの、私的には、「ユダヤ人がフランスで要職を占めることは大変だ」と言う意味の発言をしていたらしい、とのことである。これをどこで知ったかと言えば、パイプス先生が褒めて書評を書かれた(http://www.danielpipes.org/13358/)(http://www.danielpipes.org/13633/)(http://www.danielpipes.org/13752/)(http://www.danielpipes.org/13757/)、プライス・ジョーンズ氏の著述からである。(プライス・ジョーンズ氏に関する言及は、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131011)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140306)を参照のこと。)
保守カトリックだった当時のクローデルが、どのような意図でそのように発言したのか、文脈がはっきりしていないし、その前後や背景が明確ではなかった。私なら、このように解釈する。もし、クローデルがその私的な発言を一貫して保持していたのであれば、だからこそ、ユダヤ人国家を持つ必要があるというシオニズムを支持する必要性があったのではないか、と。その発言だけで、「反ユダヤ主義」だと決めつけられないのではないか。ただし、「シオニズムは中東のカトリックにとって競争者だ」とも発言したらしいので、これまた厄介である。
一般の日本人が、クローデルの上記一文を出所ページなしに引用して喜んでいるのを散見するが、実はクローデルはもっと冷静な日本観察をしている。心根は温かいが、はっきりと現実を直言するタイプだったらしい、と二冊の本を読んだ時に感じた。私がパイプス先生に述べたかったのは、彼の日本趣味は、お菊さんマダムよりは(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140613)、もっとしっかりとした形跡が認められる、ということだけだ。