ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

文明の推移と衝突

http://www.genron.tv/ch/sakura-live/archives/live?id=339


第211回放送 2016.11.04
「大統領選挙後に米国の没落が加速する 10月サプライズで支持率が接近し混戦模様」


・外交評論家で国家基本問題研究所副理事長の田久保忠衛氏は、内向きになった米国は没落を加速させ、日米関係は一層厳しくなると指摘します。世界の内向きぶりはますます激しくなり「米国ファースト」、「英国ファースト」、「フランスファースト」など世界に身勝手なファーストが乱舞すると予測します。


・新政権の下で日米関係はどのように変貌を遂げていくと思うか。日本にとって困難な時期が待ち受けていると思うが、それを克服する基本的要件はなにか。(5)アメリカの混乱による国際社会の変化を何としてでも日本は活用しなければならない。

(部分抜粋引用終)

まだ9月下旬から10月上旬にかけての欧州旅行の整理が終わっていない(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161027)。テーブルの上には、毎日、資料が大量に載っているのだが、旅の間に入手した書物のリストも未完だ。
相変わらず、メールではパイプス先生からの関連記事シェアを始め、旅団メンバーの意見交換や感想文が飛び交っている。特に米国の大統領選の成り行きは、当然のことながら、かつての総支配人だった英国人にとっても看過できないようだ。

こうしてみると、本当に充実した旅だったと感謝以外の何物でもないが、具体的に、どこへ行き、誰が何を語ったかなどについては、既にアメリカ人やカナダ人やオーストラリア人などが執筆した英語の報告がウェブ上で閲覧できるので、ご興味のある方は、ご自分で検索して原語でどうぞ。
今回の旅の本題については、パイプス先生から事前に「読み物リスト」が提示されていて、旅の前に全部訳してウェブサイト(http://ja.danielpipes.org/)に掲載しておいたので、そちらも合わせて読まれたい。旅を率いたパイプス先生が、相当前から欧州でのムスリム現象に気づき、執筆を繰り返してきたことに留意。
従って、今、何が世の中で起こっているかを追っかけて、素人集団がお団子になってフェイスブックツィッターで興奮するのみでは不足である。
今回の旅の総括としては、イスラーム復興の諸問題もさることながら、戦後のキリスト教文化の衰退が西洋諸国の政治的活力の恐ろしいまでの低下を生んでいるという現実の再確認である。それに対して、我々の世代がどのように対応して軌道修正していくのか、という課題を突きつけられている。
かつてはキリスト教の中心地の一つで、今やアフリカや中東のムスリム移民の集落と化したフランスのサンドニカトリック教会大聖堂を回っていた時、近づいて来られたパイプス先生ともお話したのだが、私見では「キリスト教神学の変遷が問題だ」ということ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100810)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100811)(参考文献:Robert A. Hunt, "The Gospel among the Nations: A Documentary History of Inculturation" Orbis Books2010))。「カトリックの教えが、この昔からのカトリック地域にムスリムを住まわせるように許したのだとお考えですか?」と尋ねたところ、「そうだ。今の教皇はよろしくない」と。「私の論点は、そこなんですよ!ベネディクト16世http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%D9%A5%CD%A5%C7%A5%A3%A5%AF%A5%C816%C0%A4)の方が、私は好きでした。今のカトリックでは、『全ての人は同じだ』という前提に立って、善意を振りまけば相手も変わってくれると、本当に思っているんですよね!」
同じ歴史感覚を持っていても、パイプス先生は、神学より政治面を重視されるが、そこは私のこれまでのささやかな観察と勉強を活用したい。
但し、やはり所属する文化圏が異なるので、旅団と同じホテルに宿泊し、同じものを食べ、同じバスや飛行機に乗って移動し、同じスピーカーから話を聞き、同じ現象を見ても(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161024)、まずは理解の度合いや方法が違うのはやむを得ない。旅団メンバーの文化出自的な背景は、カラチ夫人(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161027)と私を除き、ユダヤ系とキリスト教系(及び不可知論者)だったが、それぞれが自分達の文明の推移と衝突を身をもって感じ取り、「孫世代のために」と意識を高めていらしたようだった。
植民地を支配したツケだという安易な西洋批判ではなく、単純なムスリム批判や難民・移民(政策)の糾弾に回るのでもなく、一体全体、これをどうしたものか、この先、どうなっていくのかを、双方を充分に理解した上で、日本ならではの知見を提示しなければならないのだ。
内田光子さんじゃないが、日本が基底にあるので(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140516)、同じことをしていてはダメだ、と痛感して今日に至っている。
そのためには、写真や大量のメモの整理を少しずつ続けながら、メンバーのメールを読んで情報のキャッチに努めつつ、自分のできる範囲でゆっくりと思考をまとめていかなければならない。
大変は大変なのだが、ここ数日思い出して書いたように(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161030)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161101)、二十代から三十代前半までの塗炭の苦しみ(?)からすれば、今の私には力強い仲間が英語圏にいるので、その意味ではやり甲斐があり、前向きである。
結局のところ、人生は最後までわからない。早々と結論を出してはならない。

https://twitter.com/ituna4011


・"Shogun" by James Clavell (https://www.amazon.co.jp/dp/061301328X/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_dzMhybRK422EH …)arrrived here the day before yesterday. It was introduced by an American gentleman.


・『中山成彬はなぜ日教組と戦うのか』 伊藤 玲子(https://www.amazon.co.jp/dp/4584131163/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_ewMhyb3SJTP5Y …)が昨日、中古で届いた。中山成彬氏のホームページ上で拝見して注文したが、実は伊藤玲子氏の日教組との壮絶な戦いが中心。私の世代では、日教組はそこまでひどくはなかったか?

(転載終)
『将軍』の本は、ハードカバーだった。厚さは4センチだが、活字が細かい。なぜ取り寄せたかと言えば、欧州旅行の旅団メンバーでインディアナ・ポリスから来ていた東欧系ユダヤ人の二世男性と、ストックホルムのホテルで朝食のテーブルが再び一緒になった時、会話の中で言及されたからだ。
全世界に散らばったユダヤ系と異なり、日本では、日系移民や国際結婚組で海外移住した人々でなければ、大抵の家系が日本列島を国土として古代からずっと住み着いてきた末裔である。そのため、国際事情に疎いが、どの人もどこかで誰かとつながっていて、その意味ではシンプルである、と私が言ったところ、「そうか?『将軍』を読んだが、物凄く複雑だったぞ!」と言われたので、確認しようと思ったのである。
彼が「パイプス家の人々は聡明である」と言ったので、お母様もポーランドと関わる文化研究協会(The American Association for Polish-Jewish Studies)の会長をなさっている(http://www.aapjstudies.org/97)、と私が応答した途端、即座に「じゃ、お母さんにも投資しよう」とつぶやいていた。そのようにして、ユダヤ共同体は世の中の修復(Tikkun Olam)に努め(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140529)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140929)、ある人は資金提供者に、ある人は知的指導者に、ある人は相互扶助にと、それぞれの立場で、それぞれの役割を果たしている。
そういう話を感動しながら聞いていると、当然のことながら、こちらに「あんたはどうなんだ?」と振ってこられるため、以下のように、あるがまま、誰に対しても答えてきた。
「宗教面では、日本は一種のシンクレティズムが普通です。私の父方は禅仏教(臨済宗)で、主人方が神道(元は真言宗)なので(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161024)、主流の日本人だと言えます。私はと言えば、幼稚園がカトリック系で、白人司祭が園長先生だったにも関わらず、日本語で語りかけられ、七五三など日本の習俗も尊重してくださる環境の中で聖書の物語に触れたため(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110426)、現在があります。ユダヤ系に関しては、子どもの頃から、クラシック音楽を聴いたり、本を読んだりすることが好きで、その中には特に惹かれる曲や演奏家や作家がありました。当時は皆、西洋人だと思っていたのですが、後にわかったのは、全員ユダヤ系のルーツだったということです。だから、反セム主義がなぜ発生するのか、私にはよくわからないのです」。