ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

イラクのダム問題から

今朝5時頃、ダニエル・パイプス先生からのメールに、「あと一時間ほどでCNN Internationalに出演するけど、まだ眠っているよね」と書いてあったのを、その5時間半後に受け取った。(正確には、5時間半後に「メールを見た」ということ。)普段はテレビをめったに見ない暮らしの上(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131213)、メール受信通知機を肌身離さずつけているわけではないので、こんなことになってしまうのだ。
何ですって!私、今朝は日本時間の5時25分には目が覚めました。もし事前に教えてさえくださったなら、見て録画したでしょう」とお返事したところ、「だから、わかったらすぐに教えたじゃないか」と。
もっとも、そのうちに録画がウェブサイトに掲載されることを望んでいるが...。

http://edition.cnn.com/video/data/2.0/video/world/2014/08/04/cnni-mann-isis-seizes-dam.cnn.html
(3分26秒のみ 途中切れ) 7時間48分前掲載 スカイプ出演
‘ISIS seizes Iraq's biggest dam

CNN|Added on August 3, 2014
CNN's Jonathan Mann interviews Daniel Pipes, president of the Middle East Forum who speaks about the threat.

いつものことながら、日本言及に関しては耳ダンボの私。早速、修正を入れたが、どういう回答が返ってくることやら...。それにしても、中東のイラク事例に日中関係の昔話を引っ張ってくるなんて、何とも強引かつ、したたかで抜け目のないパイピシュ先生!

主人の方は、朝の着替えの時などに、米国や英国やドイツやフランスやスペインや中国や韓国(や時々アルジャジーラなど)のニュースを同時通訳で見ているようだが、どうも私はニュース報道の画一性が嫌で見ていない。同時通訳の日本語に変な癖があるのも耳につく。だから、例えばジュリアーニ氏のことでさえ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140731)、ニューヨーク市長だった頃から新聞記事程度しか知らなかったのだ。第一、彼が何かやろうとすると、必ず日本のメディアは反対意見ばかりを誇張して伝えているような印象があった上、不倫だの離婚だの、一般日本国民の私には直接関係ない話ばかりで、全くうんざりしていたのだった。
パイピシュ先生が、大統領選のことでジュリアーニ氏と関わりがあったことはずっと前から知っていたものの、自国の総理大臣はともかくとして、外国の大統領候補のことなどは、直接お会いしなければ何もわからないというのが持論のため、当然のことながら、ジュリアーニ氏のことも「よく知りませんでした」。
真っ正直にそれを伝え、ジュリアーニ氏の著書一冊を読んだ後に短い感想をメモ書きで送ったのだが、恐らく、パイピシュ先生は、私の世間知らずと大胆さに相当びっくり仰天されたことだろう(が、さすがに礼儀正しく黙っていらっしゃる。)
こんな私だからこそ、著述やメディアで国際的に著名なパイピシュ先生が(なぜ私に?)と、今でも我ながら不思議で信じられないという、あまり何度も繰り返すと精神的に大丈夫かと心配されそうな心理状況が、ここ二年半以上ずっと続いてきたのだ。
昨日も、もしいずれは本の形にまとめるとするならば、他言語訳書にはない独自性を出すためにも、できるだけ早くパイピシュ先生のご両親にお目にかかりたいと思っていた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140508)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140707)。いつまでパイプス訳業を続けられるか考えつつ、自分の研究をどのような方向性でまとめていくかも勘案していた。そして、改めてミアシャイマー=ウォルトの『イスラエル・ロビー』の二冊本を読み直し(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120803)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120804)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120807)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130920)、同時にミルトス社長の河合一充先生が昨年ブログでご紹介くださった、アンドレ・シュラキという学者のユダヤ思想に関するクセジュ文庫二冊を読んでいたのだった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130712)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130713)。
正直なところ、ハマスと血みどろで戦っているイスラエル現状を、遙か遠く日本から重い気持ちで案じている今、数千年に及ぶユダヤ人やイスラエルの歴史を考えると、上記のクセジュ文庫が最も私にぴったり合致し、知的レベルでも趣向でもすっと入ってくる。つまるところ、日本人の教育程度や精神性は、自分達が独自の伝統文化を備えているだけに、外に向かっても充分に開かれ、理解の素地を有しているということの証左なのだ。第一、聖書でさえ、鎖国時代の江戸末期から漢訳で読みこなしていた士族がいた日本である(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080630)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140524)。だから、開国後はいつまでも西洋宣教師に依存していないで、さっさと自分達で日本語に聖書を訳し始めた日本人なのだ。彼我の文化的距離を考えてみれば、これはすごいことだ。
以前から「内的自信のある日本人」と、パイピシュ先生は称賛されている(http://www.danielpipes.org/8995/travails-of-modern-islam)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120122)。自らの悲惨な民族史を思えば、日本人は非西洋世界で随分頑張ってきて、独自性も保持してきて、しかも一周遅れてしっかり西洋文明にキャッチアップしてくる。パイピシュ先生は敏感で聡明なだけに、その点を目敏く見抜いて、友人がいるのかいないのか判然としない日本および日本人に対して(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140511)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140615)、遠くから一種の仲間意識あるいは励ましを感じていたようなのだ。それなのに、それを無視して、パレスチナ寄りのニュース報道や、短期訪問だけで表面的に反応して、「イスラエル、弱い者苛めを止めろ!」「人殺しのイスラエル!」と叫んでデモっている人々がいる現代日本でもある。
ミアシャイマー=ウォルトの著述に関しては、ちょうど二年後に再読してみて、中に書かれている人物や出版物の傾向にかなりなじんで理解が進んだ自分を見出した。言論の自由を思えば、そのような見解を出すことそのものには異論がないものの、その意図と影響を考えると、名指しで何度も悪く書かれているパイピシュ先生が、つい昨年の秋でさえ「あれは全部間違っている」と、憮然として一言で切って捨てる態度に出てしまったのは、ある面でやむを得ないとさえ感じられる((http://www.danielpipes.org/13765/american-decline-anti-semitism-israel)November 13, 2013)。
国連でも、多数決の場合、イスラエルは不利だ。我が日本も、棄権に回ったり反対票を出したり、政府みずからパレスチナ支援に積極的だったりする(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130923)。欧州に至っては、世論が分かれていても、結局は日本に近い態度を取るか、もっとイスラエルに厳しい。だからこそ、世界中で結局はアメリカしか頼れる国のないユダヤ人が、根強い固定観念や批判や非難に耐えながら、必死の思いで国土再建と安全確保に努めてきたというのに、あんなことをミアシャイマー=ウォルトに事細かに書かれたら、究極のところ、ユダヤ民族の持つ活力とユダヤ教思想そのものの否定だと感じられるのではあるまいか。
(1)西洋で長年暮らしてきたユダヤ人に、帰還(アリヤー)の末、疫病の蔓延る砂漠の荒野の原始生活を強いる方が無理で非人道的であった。むしろ、周辺地域にも徐々に高い生活水準の良き影響が及ぶよう、ノウハウを備えたイスラエルこそが、まず範を示すべき国造りでもあった。
(2)世界中にネットワークを張り巡らしているユダヤ人とはいえ、それは外部観察に過ぎない。親戚や家族が二重国籍でさまざまな地域に住んでいるとするならば、生きた情報が行き交うのは当然である。イスラエルアメリカの両方で密接な交流があるのは、地理的距離からも移民社会の性質からも、ごく自然なのだ。
(3)「メディアをコントロールしているユダヤ人」という批判があるが、メディアを通して多数の人々に意見表明をするのは、違法ではなく、民主主義社会で当然の行為である。現代文明の利器を平和に最大活用して、何が悪いのだろうか?
(4)悪口や非難を浴びせて人間関係を壊すよりは、相手をよく知り、相手の優れた点に学び、少しでも益を受けたいと願う方が自分にとっても得ではないのか?幸い、日本人とユダヤ人は文化社会的にも相補関係にあるようだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140526)。ならば、共栄共存を志向する方が賢明である。
(5)私がもしパレスチナ人やアラブ系ムスリムに生まれていたとしたら、どうするか?部族意識や非民主社会やアラブの大義などのために相当困難だろうが、やはり、ハマスやヒスボラやイスラミック・ジハードに抵抗する道を、何とかして選びたい。そして、イスラエルに抵抗するのではなく、イスラエルから少しでも学びたいと願う。たとえ貧しくても、自分の村で静かに真っ当に暮らしたいと願う。

そんなこんなで気づいた一点は、私がテレビ嫌いだからこそ、アメリカ専攻ではないからこそ、かえって依頼されたことに責任感を持ち、色づけせずに真っ直ぐに理解に努めようとして、新鮮な気持ちでパイプス先生のお仕事内容を客観視できるところに利点があるのでは、ということだった。また、いつでも「社会的身分の違い」が気になって仕方がなかったのだが、もし私もテレビに出てコメンテーターを務めていたとしたら、当然ライバル同業者ということになり、おちおち相手の訳文などしていられない。それに、理解はかなり遅れているものの、できる限りの映像クリップを見て、何とか本を取り寄せて勉強し、頻繁に直接質問しながら一歩一歩進めていくので、かえって、知ったかぶりや中途半端な理解をされるよりは、確実で安心できるのかもしれない。
アメリカのこと、よく知らなかったの。だって、ずっと欧州の方に興味があったから」と、娘さんにも言ったが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140508)、別に気にしている風でもなかった。そういう点が、育ちの良さだと思われる。

https://www.facebook.com/ikuko.tsunashima
このダムの件で、本日朝6時頃(日本時間)のCNN International にスカイプ出演されたダニエル・パイプス先生でした。


http://kawaikazu.blog73.fc2.com/blog-entry-2428.html
イラクにおけるイスラム国ISIS イラク最大のダムを占拠
 国際社会の関心がガザとイスラエルに集まっている間にも、イラクでは依然として戦闘が続いていることを忘れてはならないだろう。
 重大な出来事は、イスラム国(スンニー派過激組織ISIS)がイラク北部の戦いでクルド人を初めて敗走させて、モスル市のイラク最大のダムを占拠したという。
 イラク水力発電所でもあり、水源でもあるダムをこのテロ武装集団に盗られたことは、非常な危機であろう。
 ダムのコントロールで、モスルに水害を及ぼすことも、イラクの電力の主要部分をカットも出来る。
 イラクシーア派政府はいよいよ大変だ。

 ISISの強大化は、その周辺に災禍を及ぼす懸念が大。その累はシリア、ヨルダンに及びかねない。

フェイスブック転載終)