ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

カメオ出演の結果?

大統領選の追い込み二十日間を切りましたが、米国市民でもなく、選挙権もない私にとっては、どうも盛り上がりに欠けます(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121018)。
もし、オバマ氏が再選されたら、2016年の米国および世界はどうなるか、というドキュメンタリーが、賛否両論ある中で、非常に注目を集め、興行としての売り上げが上々だったとか。ダニエル・パイプス氏も「カメオ出演」なのか、ほんの二、三分程度ですが登場されて、日本の毎日英字新聞でも取り上げられ(その後、削除され)ました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120811)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120904)。
ところで、その映画を作成したインド系アメリカ人男性ですが、非常に上昇志向の強い、成功したタイプの典型的なアメリカン・ドリームの体現者なのかと思いきや、今し方入ってきたニュースで、思いがけない展開を知りました。

http://wwrn.org/articles/38363


Anti-Obama Filmmaker Dinesh D'Souza Resigns Following Affair Accusation


by Russell Goldman ("ABC News," October 18, 2012)


Dinesh D'Souza, the evangelical scholar who made a name for himself attacking President Obama in books and a movie, has resigned as president of a New York Christian college following allegations of marital infidelity.
D'Souza's departure comes just two days after the Christian magazine "World" reported that the married professor was seen sharing a hotel room and introducing another woman as his fiancee at a recent conference in South Carolina.
"After careful consultation with the Board and with Dinesh, we have accepted his resignation to allow him to attend to his personal and family needs. We thank him for his service and significant contribution to the College over the last two years," board chairman Andy Mills said in a statement.
According to "World," D'Souza had only filed for divorce from his wife in California on Oct. 4, the same day a reporter called to confront him about being seen with the other woman, confirmed by D'Souza as Denise Odie Joseph.
D'Souza did not return calls for comment, but on Wednesday posted a statement to his personal website responding to the paper's allegations.
"I met Denise three months ago. We are not and have not been having an affair. Nor did we share a hotel room in Charlotte," he said in the statement.
The Christian scholar then said that he did not know it was "considered wrong" to be engaged to someone while still married to someone else.
"I sought out advice about whether it is legal to be engaged prior to being divorced and I was informed that it is. Denise and I were trying to do the right thing. I had no idea that it is considered wrong in Christian circles to be engaged prior to being divorced, even though in a state of separation and in divorce proceedings," he wrote.
He also accused the writer and publisher of the article as executing a personal vendetta against him.
D'Souza, a rising star in conservative Christian circles, directed the high grossing documentary "2016: Obama's America," an anti-Obama film that centers on the president's childhood and Kenyan father.
The film, which earned more than $30 million, was based on D'Souza's book "The Root's of Obama's Rage."

King's College, which is located in Manhattan, is affiliated with and receives support from Campus Crusaders for Christ, now known as Cru, an evangelical ministry.
Board chairman Andy Mills will step in as acting college president.


・Disclaimer: WWRN does not endorse or adhere to views or opinions expressed in the articles posted. This is purely an information site, to inform interested parties of religious trends.

いかにもアメリカらしい、にぎやかなどんでん返しといった風情です。
この映画がどの程度選挙に影響を及ぼすのかについては、私は最初から疑問でしたが、こういう展開になってしまうと、共和党には圧倒的に不利な点が出てきますね。
こうしてみると、中東外交にしろ、国内の経済問題にしろ、私としては、何とかロムニー氏に奮闘していただければなぁ、という気になってきます。どういうことかと言うと、ちょっと映画で成功したから大統領選もうまくいった程度の軽々しい国であってほしくはないということです。最後の最後まで、土壇場になればなるほど、ますますがんばり、ついに本領発揮で浮動票の人々の心を動かし、ついでに票も獲得というドラマが、最近のアメリカでもう一度見てみたいのです。
それから、今のところ、どういうわけか未掲載のパイプス訳文の関係で、しばらく前にオバマ氏の幼少時や亡くなった生みのご両親のことを少し調べてみて、びっくり仰天しました。誰も生まれ育ちを選べないことから、何事も社会に出てからが勝負であり、その意味で、オバマ氏も相当な努力家だとは言えます。
ただ、向かい合っての論戦を見ていると、興奮すると黙っていられず、力を込めてがなり立てるようなオバマ氏に対して、さすがは年の功、子どもが5人に孫も15人以上、宣教師経験もあるというロムニー氏の、いかにも余裕ある温厚そうな態度は、確かに好感が持てます。国が大きいだけに、大統領として一国および世界を率いるには、若さと元気いっぱいだけでは不足で、昨今のような難しい世界情勢では、落ち着いた温かいビロードのような声で親しく語りかける指導者が望まれます。
それと、パイプス先生が、なぜオバマ氏に苛立ち、強く反対しているかというと(http://www.danielpipes.org/11929/romney-obama-israel)、故エドワード・サイードも含めた親パレスチナの指導的な人々と親しくしていること、客観的な資料によれば、どう贔屓目に見ても内実に不均衡さと非対称性があるのに、表面的に両者のバランスをとろうとしていることなどです(http://www.danielpipes.org/11948/)。それに、自分の経歴に詐称がある点、パイプス先生にとっては、どうしても許せないことらしいです(http://www.danielpipes.org/11952/obama-muslim-childhood)(http://www.danielpipes.org/12111)。また、経済政策に関しては、社会主義的な政策が米国にとっては本流ではなく、弱者保護という力点がかえって非現実的な甘さを生み、まじめな中間層が仕事にあぶれてしまうという逆行が発生していることなどです。外交政策に関しては、オサマ・ビン・ラディンを殺害したこと、アフガンやイラクからも軍を撤退する予定だということなど、約束は確かに守っているのですが、パイプス先生のような中東情勢の専門家から見れば、違うお考えのようです。(その理由については、公式サイトをお読みになってください。)

今日読み終わった『ミニアチュア』(2004年)には(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/touch/comment/20120929)、次のような興味深い記述がありました。1970年頃までは、アメリカはイスラエルにそれほど外交援助の上で関心がなかったが、それは、イスラエルが弱小国だと思われていて、アメリカにとって特に利益がなかったからだ、との由。ところが、第三次中東戦争に勝った頃から、イスラエルの強さが実証され、アメリカにとって、中東に、小さくとも強くて米国と似た文化やイデオロギーを有する国があれば、益するところが多いだろう、と人々が考えるようになり、その後、外交政策も変化してきたのだ、という記述がありました(p.266)。なるほど、と思いますね。こういう話は、一般向けの日本人著者が書いた日本語文献では、記憶によれば、読書量が不足しているのか、ほとんど見かけたことがありません。ちょっと古い通説としては、英仏の代理戦争をイスラエルパレスチナ・アラブがさせられていて、特に英国の二枚舌が問題視されているとか、ここ数年前までの出版物では、アメリカとイスラエルが外交的に強く結ばれ過ぎていて、弱体のアラブにとってそれはよろしくないなど、はっきり言って、非常に単純な見方が横行しているように思われます。

オバマ政権に関しては、私も不勉強でよくわからないことが多いのですが、少なくとも中東やイスラーム政策に関しては、最近のベンガジの件やイスラーム映画の対処法を見ていて、(このままではまずいのでは?)という印象を受けています。弱者の味方をするという姿勢は、一般市民運動ならば有効ですが、資本主義で自由な大国を率いる人にとっては、社会秩序や国際序列を崩し不安定にするという意味で、私には賛成しがたいです。
それに、ムスリムは決して弱者ではありません。マレーシアの古い宣教師記録を見てみても、大変に自信たっぷりで、非ムスリムを見下げるような態度を取っていたとか。ならば、ご自分でどうぞ、ということです。アメリカに来ているアラブ系ムスリムの学生達の失礼な傍若無人ぶりを映像で見る度に、(だったら、なぜアメリカに来たの?それならもう来なくてよろしい。自分の国で暴れていなさい!)と言いたくもなってきます。
それよりも、イスラエルの現指導者ネタニヤフ氏とロムニー氏が1970年代から親しく、米国東部での環境を共有し、意思疎通がうまくいっているならば、中東政策もスムーズにいくのではないでしょうか。全方位外交は、日本のような立場の国にはよろしくても、ただでさえ世界中から人々が集まっているアメリカにとっては、かえって不向きです。イデオロギー志向が同じ国同士で、指導者レベルでの信頼関係と連携がしっかりしている方が、日本から見ても安心できます。昨今の欧州が全体に不調なのは、あまりにも「平等に」「差別をなくし相互理解を」と作為的になり過ぎたからではないかとも思うのです。自然な成り行きで徐々にそういう方向へ向かうならばまだしも、本音はそうではなかったということが、ここ数年、政治指導者達からも暴露されています。むしろ、境目はしっかりと保持した上で、それぞれの独自性を保ち、何年暮らしても統合に反対する人々には、申し訳ないけれども帰っていただく、ぐらいの強気でないと、本当に内部から崩壊する危険性だってあります。

PS: 論戦の後は、気分を変えて、楽しいディナー・ジョークです(http://politicalarena.org/2012/10/18/wow-romney-jokes-at-al-smith-dinner/)。こういう点、さすがだと思います。私も遠方から笑わせていただきました。(笑えるようになったことが、うれしいですね!)