ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

あるマレーシア人の東京初体験

7月14日付の「ユーリの部屋」でも言及したマレーシア華人の友人にとって、初めての東京滞在では、とんでもない体験をすることになったようです。

新潟県中越沖地震の余波で、Tホテルに滞在中の彼女達には、昨日は揺れが大きく感じられ、建物が崩壊するのではないかとパニックになって、23階から半狂乱で裸足のまま降りてきた女性と合流したとのこと。(Tホテルのような格式のある立派な場所なら、スタッフも訓練が行き届いているだろうし、多分大丈夫でしょう、いいホテルに宿泊していてよかったじゃない?)と私なら思うのですが、やはりマレーシア育ちの彼女にとっては、「まずは子ども達のことが心配だわ。私達夫婦に何かが起こったら、あの子達、どうなるの?」と気が気ではないらしいのです。

とりあえず、メールでの連絡をまめにとり、今日のうちにでも、ホテルに電話をかけて安心させようと決心。日本語のわからない外国人にとっては、こういう突発の自然災害ほど怖いものはなく、精神不安定になる可能性もあります。最近では、多言語対応の流れもできたようですが、それでも、ただでさえ、日々の暮らしで何かと不自由している外国人が多い上に、こんな経験をしたら、さぞかしトラウマになるでしょう。

だから言ったんですよぉ!日本に来るなら、早めに連絡してくれないと、こっちもいざという時の対応に困るって...。

マレーシア滞在中は、それが長期であれ短期であれ、さまざまな民族の人々と接し、それぞれの英語やマレー語の話し方に合わせ、しかも気候が暑い、ときているので、非常に疲れやすく、頭が朦朧とすることがよくあります。そうでなくとも、普段から大ボケ癖のある私は、どんな小さなことでも忘れないように、とノートに「やるべきことのリスト」を細かく書き出し、いつもそれを持ち歩いて、人に会うようにしていました。すると、大抵のマレーシア人は「まぁ、日本人って、本当にきちんとしているのね!」「よく組織化されているんだね」と感心してくれます。別に「日本人」だけとは限らないとは思いますが...。これも自己防衛策です。何でも書き留めておかなければ、限られた時間内に用事を済ませることができないのです。こちらの予定通りに、相手が動いてくれるとは限らないことが多いのですから。予定外の事項が突発的に起こるのが普通と覚悟して、滞在前に十の予定を立てておいて、そのうち五か六でも成就したら、大成功と思わなければならない、そんな感じのフィールド・リサーチなのです。

ただ、地震の件でちょっと思いました。日本は伝統的に地震国なので、昔から人々が経験的に用心深く暮らし、常に家の中を清潔に整理整頓して、いざという時の備えをしてきたのだということを...。建物の設計も、耐震をまず第一に考えてきたのだということも...。学校でも、定期的に避難訓練をして、自治体の広報もおさおさ怠りなく準備してきたのだ...。こういう人々の長年の知恵を、大切に尊重しながら、次世代および近隣諸国の人々にも確実に継承していきたいものだと思います。

明日ありと思ふ心のあだ桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」(親鸞上人)
汝らは明日のことを知らず、汝らの生命(いのち)は何ぞ、暫く現れて遂に消ゆる霧なり」(日本聖書協会新約聖書』1951年「ヤコブ書」 4章14節