ブログ版『ユーリの部屋』

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アメリカは敵の化身?

メムリ(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP614615

緊急報告シリーズ


Special Dispatch Series No 6146  Sep/5/2015

アメリカは敵の化身:アッラーの為傲慢の野望と戦え―檄を飛ばす2015年8月中旬時点の最高指導者―」


ウィーンで包括的共同行動計画(JCPOA)が発表されて丁度1ヶ月後の2015年8月17日、イランのシーア派組織Ahl Al-Baytの主催する会議で、最高指導者アリ・ハメネイ師が、アメリカはイスラム教徒及びイランの敵の化身と述べた敵の化身であるアメリカとは、軍事力、文化、経済及び政治上のジハードを以て戦わなければならないとし、イスラム共和国イランは敵と和解する気はない、とつけ加えた。更にハメネイは、アメリカがイスラム世界をシーアとスンニの陣営に分裂させて戦わせ、宗教戦争をさせ、このようなやり方でこの地域の人民を支配しようとしている、とも言った※1。


イランは抵抗枢軸を支援し、シリアとイラクの分割に反対すると共に、イスラエルと戦う者を引続き支援する、とハメネイは強調している。


次に紹介するのは、ハメネイのウェブサイト(Leader.ir)に掲載された演説内容である。


「我々は、傲慢(アメリカに率いられた西側)の意図に対して、アッラーの為ジハードを敢行しなければならない。アメリカは、核協議の結果を逆手にとり、経済上政治上文化上イランに圧力をかけ、この地域に紛争の種をまいて影響力を強めようと虎視眈々、力による支配を渇望している。我々は、この野望を打ち砕くため、攻守によろしきを得た賢明な計画をたて、不断に戦っていかなければならない。


神のためのジハードは、軍事紛争の域にとどまらず、文化、経済そして政治闘争も含まれる。今日、神のためのジハードは、イスラム地域特に戦略的に重要且つセンシティブな西アジアにおける傲慢勢力の野望を見極めるのが、不可欠である。この野望打破の闘争計画には攻撃と防衛が含まれなければならない。


この地域における傲慢の野望は、1世紀も続いている。しかし、イランにおけるイスラム革命(1979年)後は、圧力が強まり陰謀も益々盛んになった。この革命が他国にひろがるのを阻止するためである。この35年間、イラン政府は、脅迫され、制裁され安全保障上の圧力をうけ、さまざまな政治的陰謀にさらされてきた。イラン国民は、この圧力を耐えしのび、今では慣れっこである。近年北アフリカイスラム覚醒運動が開花し(アラブの春のこと)、敵は恐れるあまり、西アジア地域でその悪企みを一段とステップアップしたのだ。


敵方は、イスラムの覚醒運動を圧殺できると考えた。しかし圧殺はできない。運動は続き、早晩現実のものとなる。


アメリカが主導する力の渇仰体制は、“敵の概念”を完璧に具象化している。アメリカには人間としての道義がない。口あたりのよい声明と微笑をかくれみに使って、恐ろしい犯罪を行なっている。敵の野望は二段構えである。紛争をつくりだし、そこへ影響力を投影する。諸政府間、もっと悪いのは諸国間に紛争の種をまくのである。現在の段階では、シーア派スンニ派を使って諸国間に紛争の種まきをしている。イギリスは紛争種まきのエキスパートで、アメリカはその弟子である。


暴力的で卑劣且つ犯罪的な世俗主義(タクフール)の組織づくりが―アメリカは組織づくりを認めている―紛争種まきの主な手段である。特にムスリム)諸国間の宗教紛争の種まきに使われている。悲しいことに、ムスリムのなかには無邪気で無知な人々がいて、この陰謀にすっかりだまされて、罠に落ちている。シリアはその例であるチュニジアとエジプトが、イスラムのスローガンを掲げて、不信心の政府を追放した時、アメリカ人とシオニスト達は抵抗諸国を抹殺するためこのやり方を使うと決め、シリアに目をつけた。シリアで事件が始まった後、無知なムスリムが敵にだまされて、シリアを今日の状況へ引きずりこんだ。今日イラク、シリア、イエメンその他の国々で起きていることは、なかには“宗教戦争”と呼ぶことに固執する者もいるが、絶対に(シーア対スンニの)宗教戦争ではない。政治戦争なのである。この紛争を排除するのが、今日最重要の任務である。


私はこれまではっきり言ってきた。イランは、この地域すべてのイスラム政府に友好の手をさしのべる。我々はムスリム政府とは何の問題もないと。イランは、大半の近隣諸国と友好関係にある。なかには我々と紛争中の国もいくつかある。いずれも頑迷で不埒な行動を続けている。イランの行動原理はホメイニ師によってしかれている。この行動原理にたって師はイスラム革命に勝利をもたらし、その後の革命の安定化段階を導いた。


(イランのイスラム)政権の指導原理のひとつが、「異教徒にはきつく、仲間同士ではいたわり合い」(コーラン48:29)である。ホメイニ師の教えのうえに立って、我々は傲慢の輩との和解は望まない。しかし我々は我等のムスリム兄弟達とは友好を熱望している。我々は、抑圧されている人々を支援する時、宗派的要素を無視して行動する。我々はレバノンシーア派兄弟とガザのスンニ派兄弟に、同じ支援を与えている。我々は、パレスチナ問題をイスラム世界の主たる問題、と考えている。


イスラム世界では、紛争の激化があってはならない。私は紛争をつくりだす行為に反対する。シーア派による行為であっても例外ではない。私は、スンナの聖所に対する冒涜行為を非難する。


アメリカは、過去何十年もこの地域への浸透を意図し、失った影響力を取り戻そうとしてきた。アメリカ人は、(JCPOA)合意を利用して、イランへくい込もうとしている。この合意がこの先どうなるか不明である。しかし我々は、イランへの浸透の道を断固として遮断している。彼等は、経済、政治、そして文化を通してイラン浸透をこれからも試みるであろうが、我々は手段を尽して遮断する。


イランの地域政策は、アメリカのそれとは対極にある。アメリカは、地域諸国を分断し、自国に唯唯諾諾として従う無国家地帯をつくろうとしている。絶対そうならない。かつて私が、アメリカのイラク分断意図に触れた時、私の発言に驚いた人々がいる。しかし状況は今日どうであろう。アメリカ人自身が正直にこの状況を認めているのである。左様、アメリカは、明確にイラク分断を目的としているのである。イラクがそうなれば、次はシリアが餌食になる。しかし、この地域諸国―イラクとシリア―の領土的一体性は、イランにとって極めて重大な問題である。


イランは、この地域の抵抗運動を支援する。それにはパレスチナの抵抗が含まれる。我々は、イスラエルと戦い、シオニスト政権を撃つ者を支援する。イランは、地域を分断し紛争の種をまくアメリカの政策に真正面から反対する。これがイランの主要政策である。我々は、傲慢の輩に奉仕しているロンドン所在のシーア派を認めない。


イランがバーレンとイエメンに介入しているという話は、根拠のない嘘である。我々は介入していないが、これからも抑圧されている者を支援していく。イエメンで抑圧されている者が虐殺され、その国は破壊され尽している。このような状態は厳しく糾弾されなければならない。愚かな手段による(サウジの)政治目的を推進してきた結果、イエメン人民に対する数々の犯罪行為が生じている。


パキスタンそしてアフガニスタンでも痛ましいことが起きている。ムスリムは思慮深くなければならない。用心も必要である。そうすれば、一連の問題を解決できるだろう。


アメリカ・シオニストメディアマフィアは、巧妙な手を使う危険な帝国である。これに対抗して戦うのがイスラム・ラジオ/テレビ放送協会(イランの組織)で、対メディア闘争のセンター的地位にある。我々は、この分野を強め拡大しなければならない…。


この地域の未来は、ムスリムに所属する。イスラムの力は明らかであり、戦う男女が存在するが故に、その力は維持されていく」※2。


※1 テヘランにおける主要な金曜礼拝(2015年8月28日)での礼拝先導者セディキ師(Ayatollah Kazem Seddiqi)は、イランのローハニ政権の幹部達に、JCPOA発表後注意せよ、西側とアメリカにだまされぬようにせよ、「何故ならば彼等は肝臓をむさぼり食う人食い人種で、反宗教であるからだ」と忠告した。Fars、Iran、August 29.2015.
※2 Leader.ir、August 18,2015.

(引用終)
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