ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

一組織は政府全体ではない

https://twitter.com/DanielPipes/status/599700253491597312


Daniel Pipes ‏@DanielPipes 12 hours ago


The Govt of #Japan subsidizes a fantasy "Welcome to #Palestine" brochure that shamefully pretends there is no #Israel http://www.danielpipes.org/4642/palestine-a-travellers-guide#Japan


・ Lily2 ‏@ituna4011 9 seconds ago

@DanielPipes But JICA is not a total representative of the Japanese government. There are more diversity of opinions among the people!


・Lily2 ‏@ituna4011 now

@DanielPipes And the Japanese government recognizes the State of Israel. Please read the Japanese explanations more carefully!

(転載終)

と、結局はこうなってしまうわけ。ここがパイピシュ先生のパイピシュ先生たる由縁で、だから「日本の官僚とも会った」と言いつつも、なかなか日本に正式なご招待がないのだ(と私は想像している)。特に‘shamefully pretends there is no #Israel’はないでしょ、と言いたい!
パレスチナに援助をすると、イスラエルにとって危険が増すという危機意識は充分理解しているつもりだし(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131029)、日本のお人好し援助も、緒方貞子先生の時代ならともかく(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BD%EF%CA%FD%C4%E7%BB%D2)、もうそろそろ整理をつけて、もっと鋭く絞り込んでいかなければならない時機に来ているのでは、と思うが、要はパイピシュ先生の表現の問題である。
挑発的にけしかけて日本を誘導しようとしても、逆効果ではないか?
今回の話は、ご自身の最新コラム(http://www.danielpipes.org/15815/the-middle-east-runs-out-of-water)で取り上げた中東の水問題に関連して、日本の環境省がイランに技術援助と地域協力の話を昨年から今年にかけてまとめたという件から発展したものらしい。
もちろんパイピシュ先生は懸念しているし、日本政府のあり方に苛立っている。イランが全体主義体制で、イスラエルを核攻撃する可能性が高いと考えているからだ。つまり、イランに技術援助することで地域緊張を緩和しようと試みている日本に対して、パイピシュ先生は、イスラエルの価値を強調することでイランを抑えにかかりたく、まるでベクトルが反対に拮抗しているというわけだ。
では、冒頭のパレスチナの件のツィッターは、何がきっかけとなっているのだろうか。

http://www.danielpipes.org/4642/palestine-a-travellers-guide#Japan


Palestine: A Traveller's Guide
by Mariam Shahin and Photography by George Azar
Northampton, Mass.: Interlink, 2004. 500 pp. $27.95, paperback.


Reviewed by Daniel Pipes
Middle East Quarterly
Spring 2006


May 13, 2015 update: The Palestinian Authority has published an undated six-page brochure titled Welcome to Palestine, Crossroads of Civilizations to encourage tourism. It does the same as the guidebook above - i.e., pretend Israel does not exist. For example, it shows Jaffa on a map but not Tel Aviv. It shows Bethlehem but not Ma'ale Adunim. It marks Egypt but not Israel. This pretense also goes back in time; the brochure mentions "the Persian, Hellenistic, Roman, Byzantine, and Arab civilisations" but does not mention the Jewish one.

This brochure (which I learned about from IsraelBehindtheNews.com) stands out for having been produced with funding from the Government of Japan via the Japan International Cooperation Agency's "Project for Sustainable Tourism Development Through Public - Private Partnership In Palestine." Does the Japanese taxpayer really consent to this malign nonsense?

(部分引用終)

理屈は単純明快だし、気持ちはよくわかるし、全く同意する。だが、例えば、日本でCitibankがうまくいかず、撤退買収されてしまったのも、自分達のやり方に固執して、日本の顧客に合わせなかったからだ、と主人が言っていた。つまり、主張は正しくとも、事を通す際の戦略ミスか分析不足。私としては、そちらを懸念している。
一応、メールも送っておいたが、どんなお返事があることやら、無視されているかもしれず、少し怖くてまだ見ていない。
日本の中東政策は、今後変わっていかなければならないだろうし、今がちょうど転換期に当たるのでは、と考えている。だからこそ、同盟国の日本をストレートに挑発してはいけないのだ。日本相手の場合、うまくおだてて、時間をかけてじっくり相手をしないと、見誤る。せっかく、安倍総理の米国議会演説で日本国民がいい気分になっているところだから(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150511)、ここで自信を失わせてはいけないのだ。また、政府の公式外交と一般国民レベルの個人見識が異なることもある。だから、一組織(JICA)を日本政府全体の代表と見誤ってはならないし、政府が決定したからと言って、納税者全員が同意しているとも限らないのだ。
日本は意見の多様性を伴う自由な国です!

PS:パイピシュ先生からのメール返信。(安倍政権は本件に関して)「単にナイーブだと思う」と私が書いたところ、「そう信じたいところだけど、彼らは見て見ぬふりをしているんだよ」と。
我々が認識すべきは、事実云々の前に、そのように与党政権が見られているということ、そのように感じているアメリカ人が存在するということである。「ニコニコ善隣外交」は全く機能しないと経験値から堅く信じている、お父様譲りのパイピシュ先生に乾杯!