ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

JICAと「ニコニコ援助」

昨日書いた件に関連して(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150518)、気になったので少し調べてみた。JICAと日本政府の関係について、JICAの具体的な活動範囲とその意図についてである。
JICAに関しては、1990年代初期のマレーシア勤務時代から頻繁に耳にし、その活動振りを拝見する機会に恵まれた。
まだ生活の不自由だった発展途上のマレーシアであり、たまたま朝の勤務途上でタクシーに同乗することになった中高年の日本人男性(確か、筑波大学の関係者だと自己紹介されたことを記憶している)が、ため息をついて、マレーシア滞在の苦労を嘆いていらしたことも覚えている。
当時のJICAは、緒方貞子先生(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BD%EF%CA%FD%C4%E7%BB%D2)が活躍される前のことだった。専門知識と技術を持った専門家が開発途上へ一定期間派遣されて活動するのだが、現地で働く人は労苦の連続であるのに対して、日本の派遣元のお上の方は、お金だけ出して現場知らずの、硬直化した天下りの官僚機構風だという噂であった。それを大胆に改革し、意欲のある若い人々が柔軟に活動できるようにしたのが、緒方貞子先生だったと理解している。
日本が世界で好感を持たれるためには、途上国へ出て行き、現地の事情に沿って、現場で共に汗をかくことがよい、ということのようだ。特に最近では、大学もグローバル化志向なので、英語を学んで途上国でボランティアという流れが若い人達の間で人気があるらしい(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140621)。
その趣旨そのものは、私も若い頃のマレーシア経験があるので、理解できなくもないが、問題は、冒頭の筑波関係者のような事例に、どのように対処されるのか、ということである。また、その経験を経て、やはり昔の日本の大学のような抽象度の高い学問と基礎的な地道な知的訓練を若い頃に仕込むことの重要性に気づいた私のような者を、どう扱われるのか、ということである。
それでは、日本政府の中東外交に対するパイピシュ先生の怒りと苛立ちを含んだ嘆きが何に基づくものなのか、以下に具体的に述べてみよう。
1.パイプス先生が依拠した資料

‘The Japanese Govenment Underwrites Brochure of the Palestinian Authority Ministry of Tourism which obliterates Israel’(Israel Resource Review, 26 Iyyar 5775(May 15, 2015))

http://israelbehindthenews.com/the-japanese-government-underwrites-brochure-of-the-palestinian-authority-ministry-of-tourism-which-obliterates-israel/13105/

2.資料提供組織について

 "Israel Behind the News"(http://israelbehindthenews.com


Israel Resource News Agency, working with the Center for Near East Policy Research Ltd, maintains offices at the Beit Agron International Press Center in Jerusalem, organizing briefings and research for media based in the Middle East.


(1)Israel Resource News Agency (IRNA)
Israel Resource News Agency has one purpose: to report Israel’s reality to the media by retaining the services of the best Israeli and Arab journalists to cover, research and investigate the events of the day.
Since its inception in 1987, Israel Resource News Agency has covered every aspect of peace negotiations, providing hands-on coverage for the press from Jerusalem, Ramallah, Gaza, Gush Etzion, Hebron, Oslo, Bonn, Brussels, the Wye Plantation, Shepherdstown, Washington, Ottawa, Toronto and Vienna.
Israel Resource News Agency conducts its news investigations with commissions from bona fide news organizations and foundation grants.
All fees and funds are transmitted to Israel Resource News Agency through an IRS tax deductible organization, known as The Middle East Research Center., Ltd, Suite 700,1300 Pennsylvania Ave, NW, WASHINGTON, DC 20004, and earmarked to “The Center for Near East Policy Research.


(2)Center for Near East Policy Research (CFNEPR)
The Center for Near East Policy Research is a research institute dedicated to proactive, investigative research and the publication of well-documented and cutting age data on the core issues of the Israeli-Arab conflict, with a sole purpose: to provide insights into the complex reality of Israel and the Middle East to decision makers, journalists and the general public.
To this end, since its inception in 1987, the Center has commissioned top-flight journalists, film makers, academics and researchers, and published dozens of investigative reports and documentary films on issues including, among others, Israeli-Palestinian relations, the Palestinian Authority and the Palestinian Liberation Organization (PLO), education and official media in the Palestinian Authority, Palestinian Authority security forces, the Peace Process, terrorism, and the United Nations Relief and Works Agency for Palestinian Refugees (UNRWA).
In addition, the Center sponsors press conferences and briefings at the US Congress, Canadian Parliament, Israeli Knesset, the UN Correspondents Association in New York City, the National Press Club in Washington DC, and other venues which impact upon public opinion, decision makers and the media.
The Center is currently calling attention to, and bringing about discussions in open forums with decision makers, of the humanitarian plight of the Palestinian refugees in UNRWA-administered refugee camps and its resolution, including through adoption of the United Nations High Commissioner for Refugees (UNHCR) criteria for refugee rehabilitation worldwide.

3.当該組織が扱った過去の日本事例

http://israelbehindthenews.com/?s=japan


(1)Wiesenthal Center Calls on Japanese Government to Provide Aid to the Palestinian Authority Based on Elimination of Incitement
Simon Wisenthal Center Press Release - 8 Iyyar 5765 (May 17, 2005)


(2)Olmert To Discuss Iranian Nuke Program In Japan
by David Bedein - 16 Adar A 5768 (February 22, 2008)

ここからわかるように、国連に連なる各種組織の中から、主にイスラエルにとって敵対的な立場の国(例えばイラン)やパレスチナ等への援助に従事している組織の活動を批判的に提示することが、活動目的のようである。
では、JICAの何が問題視されているのだろうか。まずは、JICAのホームページ(http://www.jica.go.jp/regions/mideast/index.html)から、中東のどこで活動しているかをリスト化してみよう。

[中東:イエメン・イラク・イラン・エジプト・シリア・チュニジア・モロッコ・ヨルダン・パレスチナ

これを見ると、どこもかしこも、現在とても大変そうな国ばかりである。いわゆる開発援助目的であることは一目瞭然だ。しかも、昔からそうだったが、イスラエルは見事に除外されている。「イスラエルはご自分でどうぞ」という感じだ。つまり、何ら平等でも公平でもないのだ。
しかも、「パレスチナ」の内実を覗いてみると、かなり問題が含まれていることが明確である。

http://www.jica.go.jp/palestine/index.html


JICA OFFICE IN GAZA
[住所] No.111 RiyadTower, 136/57 Damascus St. Al-Remal, GAZA


2006年7月、日本政府は将来のイスラエルパレスチナの共存共栄に向けた中長期的取り組みとして「平和と繁栄の回廊」構想を提唱しました。この構想は、イスラエルパレスチナ間の和平には「二国家構想」の実現が重要であり、将来的な国家樹立に向けてパレスチナ経済を可能な限り円滑に自立させるためパレスチナイスラエル、ヨルダンとの域内協力を通じて近隣国との信頼醸成を図りつつ、パレスチナの経済社会基盤を強化していくことを目的としています。JICAは「平和と繁栄の回廊」構想の実現に向けて、農業技術向上や持続可能な観光振興のための技術協力、ジェリコ農産加工団地建設のための技術協力とインフラ整備支援を実施しています。

興味深いことに、ガザのオフィスの住所宛にではなく、イスラエル国内のテル・アヴィヴの住所宛に郵便物を送るよう、丁寧な指示まで出ている。しかも、その住所は、何としたことかメナヘム・ベギン通りなのだ!

http://www.jica.go.jp/palestine/office/about/index.html


郵便物宛先:
JICA Office in Tel-Aviv, 37th Floor, Azrieli Center 3 (Triangular Tower), 132 Menachem Begin Road, Tel-Aviv, 6702301, Israel


(※郵便物宛先は「JICA OFFICE IN GAZA」とはせず、「JICA Office in Tel Aviv」として、テルアビブの事務所に送付願います。機材及び特殊内容の郵便物の送付先及び送付方法については事前に事務所へ送付宛先を確認願います。)

まさにオスロ合意二十周年記念の頃のパイピシュ先生とのやり取りが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130923)、何ら功を奏せず、いまだに従来の考え方に固執していることが明白である(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140725)。既に、イスラエルアメリカでは、「二国家解決策」が非現実的であることが大きく議論されているというのに、である(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20121130)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130917)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130919)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130923)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20130925)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20131026)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20131129)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20141122)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20141208)。
日本外務省のホームページによれば、確かに誇らしげにパレスチナ支援を表明している(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/mail/bn_266.html)(http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000040724.pdf)。この説明に添付されている写真を見る限り、全くの素人判断だが、今回のイスラエル・ネゲブの旅で観察した、ユダヤイスラエル人自身によるハイテク技術とほぼ類似したものが、日本政府によってパレスチナ側に無償に近い形で付与されていることを感じる。
これを私は無邪気な「ニコニコ援助」と名付けているが、もうそろそろ目を覚ましたらどうか?
格差を減らすことが平和共存に結びつくと信じて、中国や韓国(および北朝鮮)に戦後補償として援助をした挙げ句、現在、どのような反応が出現しているかを見れば、実態がよくわかったではないか。マレーシアでも、少し裕福になると、早速、日本を見下す華人がいたではないか(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130209)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140519)。それは、決して教育の低い、視野の狭い素朴な土着階層ではないのだ。そこがポイントである。
ここで、最近、JICAでパレスチナ地区のインターンを経験した日本の若者の感想文から、部分抜粋を。これによって、現状認識の相当大きなギャップが理解できよう。

京都府出身のパレスチナ事務所インターンインターン期間:2015年2月5日−3月12日)


パレスチナで大きな企業が育ちにくい背景には様々な政治的な問題が存在します。例えば街から街への移動はイスラエルの管理するエリアを通らなくてはならず、物流に大きな影響を与えています。製品を国外へ輸出しようとしても、パレスチナには空港もなく、陸路での輸出はヨルダンとの国境をまたぐアレンビー橋経由に限られています。そのため普段は友好的な人々も、政治の話になると顔色が変わります。
・アラブ国家では珍しくオリジナルブランドのビール製造販売を行うタイベービールという企業もあり、ラマッラとジェリコを結ぶキリスト教徒の街タイベーで作られています。アラブ国家でありながら比較的キリスト教徒の割合が多いのもパレスチナの一つの特徴であるように思います。
パレスチナが国家として自立するための1つのステップになると感じました。

(部分抜粋終)
パレスチナ援助のNGO団体のパンフレットにもその傾向があるが、結局のところ、パレスチナの困窮はイスラエルのせい、と根拠なしに結論づけられている安易さがある。
(1)「パレスチナには空港もなく」というが、「‘占領地’ガザからイスラエル人は出て行け」という国際圧力に負けて、撤退を決意したアリエル・シャロン政権のことを、どう考えるのか(http://www.danielpipes.org/14053/)(http://www.danielpipes.org/11825/)(http://www.danielpipes.org/blog/2005/08/bibliography-my-writings-on-the-gaza)。出て行けと言われたので、ユダヤ人の存在の形跡を全部壊してから出てきたのだ。(そのやり方は、いかにもユダヤ人らしいが。)
(2)「キリスト教徒の割合が多い」というが、その割合が極度に減っている現実を、また、そのキリスト教徒の置かれた実態はいかなるものだったのかの考察や記述が(http://www.danielpipes.org/1050/disappearing-christians-in-the-middle-east)(http://www.danielpipes.org/11551/)(http://www.danielpipes.org/11569/)(http://www.danielpipes.org/12874/)(http://www.danielpipes.org/12904/)(http://www.danielpipes.org/12905/)(http://www.danielpipes.org/13506/)(http://www.danielpipes.org/14417/)(http://www.danielpipes.org/15260/)(http://www.danielpipes.org/15263/)、注意深く外されている。
(3)パレスチナが国家として存在すれば中東和平に結びつくかのような幻想は(http://www.danielpipes.org/blog/14074)、一体全体、何を根拠にしての主張なのだろうか(http://www.danielpipes.org/12347/)(http://www.danielpipes.org/14464/)。
最後に、パイピシュ先生が引用された資料1‘World of Welcome’ by Rula Ma'aya(Minister of Tourism and Antiquities)から、問題となる箇所を具体的に列挙することで、今日のブログを閉じることにする。

(1)‘the State of Palestine’の表記。いつから「パレスチナ国家」が正式に国際承認されたのか?今はまだ、部分提案と段階を踏んでいる中途で、一方で、猛烈な批判もわき起こっている状態である。
参考までに、ウィキペディアの「パレスチナ自治政府http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%8A%E8%87%AA%E6%B2%BB%E6%94%BF%E5%BA%9C)」を見ると、次のようにある。

「国家承認をしていない国」


パレスチナの国連での資格を「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げする決議に賛成した国家には(*)を、格上げ決議にも反対した国家には(**)を国名の後ろに記す。なお、チェコは国家承認している国のうち唯一、格上げ決議に反対している。


アジア:日本(*)アルメニア(*)イスラエル(**)シンガポールミャンマー(*)・大韓民国


アフリカ:エリトリア(*)・カメルーンオセアニア・オーストラリア・サモアソロモン諸島(*)・ツバル(*)・トンガ・ナウル(**)・ニュージーランド(*)・フィジーミクロネシア連邦(**)・パラオ(**)・アメリカ大陸およびカリブ諸国アメリカ合衆国(**)・カナダ(**)・キリバス・コロンビア・ジャマイカ(*)・セントクリストファー・ネイビス(*)・セントルシア(*)・トリニダード・トバゴ(*)・パナマ(**)・バハマ・バルバドス・マーシャル諸島(**)・メキシコ(*)


ヨーロッパ:アイルランド共和国(*)・アンドラ・イギリス・イタリア(*)・エストニアオーストリア(*)・オランダ・ギリシャ(*)・クロアチアサンマリノ・スイス(*)・スペイン(*)・スロベニアデンマーク(*)・ドイツ・ノルウェー(*)・フィンランド(*)・フランス(*)・ベルギー(*)・ポルトガル(*)・マケドニア共和国モナコモルドバラトビアリトアニアリヒテンシュタイン(*)・ルクセンブルク(*)


(2014年10月現在)

また、パレスチナと国交がある国は122ヵ国(比較すれば、イスラエルと国交がある国は161ヵ国)で、国連には1973年からオブザーバー参加とのことである。

(2)‘development of the Nabi Musa site’の表現。これは、明らかにイスラームに基づくものであり、ユダヤ教で最も重要なモーセの位置づけに関する歪曲ないしは否認に結びつく。
(3)‘Palestine is a small country’の表現。「パレスチナ自治政府」として、ガザと西岸が認識されているのが現状だが、いつの間に「小さな国」と国レベルに昇格したのか?
(4)‘Its history extends more than one million years’とあるが、「100万年以上もの歴史」とは、いかにも大袈裟過ぎないか?それを立証するに足る考古学調査を、いつ、パレスチナ側は自力で行ってきたのだろうか。
(5)‘Palestine was recognized by the United Nations as a State in 2012’に関しては、まだそこまで言い切れる段階ではないというのが、私の現状認識である。日本語でもよくあるような曖昧な表現なので、何となく雰囲気で流されそうなのだが、果たしてそうか?
(6)‘it is still under Israeli occupation’については、だからまだ(5)には至っていない証左なのだ。それに、「占領」という表現そのものが、非常に政治的な意図を伴っており(http://www.danielpipes.org/13807/)(http://www.danielpipes.org/13835/)(http://www.danielpipes.org/14059/)(http://www.danielpipes.org/14621/)、パレスチナが「国家として独立」を果たした暁には、イスラエルにとって何が起こるか、容易に想像がつくというものである。
(7)‘the technical and financial support of the government of Japan’については、日本国民の総意がこのプロジェクトに結集されているわけではないことに留意。援助を受ける側にとっては、日本国内の多様な意見などわからないし、理解する意志も恐らくはないのであろうが、閣議決定には、いくら納税者とはいえ、私個人の意志など反映されていないのである。
(8)写真提供者のリストには、‘Edward Said National Music Conservatory’が含まれていた。サイードの名を冠したこの音楽院は、ダニエル・バレンボイムの関与で、民族平和共存の第一歩として、素人向きには一時期話題になったが、現実的にはうまくいっていないと聞いている(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071019)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080209)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091104)。

但し、中東各地の重要な古代遺跡を保存する試みに日本が技術的に経済的に関与することそのものには、私は賛成である。問題は、現地主導で、求めに応じて協力するという日本側の受け身のあり方が、果たして妥当なのか、ということだ。善意でニコニコ援助をしたつもりが、かえって当事者間の対立を深化させることになりはしないか。
だから、国益重視とはいえ、何でも援助すればいいというものではなく、本当に慎重にならなければならないのだと思う。慎重さには、真に幅広い世界観、深く適切な歴史把握、各民族心理の勉強と絶えざる研鑽が求められるはずである。

PS:上記のパイプス引用資料には、ニュージーランドユダヤ人のMichael Kuttner氏が落胆と軽蔑を含めた調子のA4で二ページの‘Welcome to Fantasy Land...writes Michael Kuttner’が添付されている。これには、上記で私が自分自身で気づいた問題点と重複する指摘が述べられた後に、次のような突っぱねた皮肉で締められている。
(1)ウェブサイトによれば、JICAは‘an independent Governmental agency’とあるが、換言すれば、「日本政府が直接的あるいは間接的にこの資金に責任がある」。
*ユーリ:JICAは独立行政法人であるが、その国内経緯や日本国民による評価や見解の多様性を知らずに、Kuttner氏はウェブ情報だけで判断してしまっている。日本研究の専門家でもなく、外国人なのでやむを得ないが、 一気に「日本政府」の「責任」と断じてしまっている点、我々はそのように見られているのだと、気をつけなければならない。
(2)「欧州連合EU)がユダヤ人とイスラエルを歪曲するパレスチナ系アラブ人に資金を送っていることには慣れている」が、「今や日本が、事実として偽装された中傷キャンペーンに加わってしまったように思われる」。
*ユーリ:そうではないと言葉の上で否定するのはたやすい。しかし、問題は、ユダヤ人側が、日本人の複雑な状況や意図を汲み取らずに、あくまで自分達の立場で判断しているという事実である。もし、本当に日本の「和」「思いやり」「繊細な美意識」を標榜するのであれば、「杉原千畝氏」のみで「ユダヤ人の友」だとのぼせ上がらない方が賢明であろう。