アメリカ人の発言+&
1.ますます張り切るパイプス先生!
とても興味深く、刺激的な39分ほどのロング・インタビューです。
パイプス先生は、アラビア語でまずご挨拶され、その後、アラビア語のインタビューを直接聞いて、英語でお答えになっています。この手法は、『アル・ジャジーラ』などに出演されていた数年前からの蹈襲です。他にも、例えばCAIRのメンバーとの珍妙な番組でもそうでした(http://www.danielpipes.org/10428/islamophobia-abu-dhabi-television)。
お父様のリチャード・パイプス教授が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141007)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141101)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141102)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141114)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141121)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141224)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150313)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150315)、つい数年前の映像でも、ロシア語でインタビューを受けて、そのままロシア語で話していらしたことを考えれば、ダニエル先生にとっては「比べないで」ということかもしれませんが、ポーランド語とロシア語は、パパ先生によれば、言語学的に学習しやすい関係だったそうです。(スラブ系諸語なので、ポーランド語から見ればロシア語は楽なようです。)一方、英語を母語とするダニエル先生が、東海岸と西海岸の諸大学で、頑張って単位を目一杯取得してアラビア語を修得した努力を考えると、その大変さはダニエル先生の方に軍配が上がるかもしれません。
それに、「彼(父)は一国だけを相手にしていたけど、僕は二十ヶ国を研究分析対象にしているんだよ」と、昨年の9月19日付で私に書き送ってこられました。
父子関係は、母娘関係とは異なった観点で、なかなか複雑なものがありそうです。
2.『産経』(http://www.sankei.com/life/news/150329/lif1503290018-n1.html)
2015.3.29
ケント・ギルバートが読む 『「正義」の嘘 戦後日本の真実はなぜ歪められたか』
・カリフォルニア州弁護士の肩書を名乗る人間として、私は様々(さまざま)な場面で、常に「ファクト(事実)」を重視。
・法律家の仕事はクライアントの依頼内容を聞いた後、必ずファクトの収集からスタート。
・世界中に無数に散らばるファクト(情報)を収集整理し、それを自分の知識や経験、価値観に当てはめて見解をコメントする仕事。
・現在は、ファクトを積極的に収集・検証しなかった当時の自分の態度を反省。
・様々な角度から朝日新聞の嘘と、欺瞞(ぎまん)に満ちた歴史を簡潔に教えてくれる本書は、資料として貴重なだけでなく、読んでいて安心感と心地良さを覚えた。
・日米両国とも、リベラルと呼ばれる人々は、イデオロギーを優先するあまり、ファクトを軽視する傾向。
・正義を気取るリベラル紙の文章は、臆測と揚げ足取りをベースに、被害妄想と陰謀論を掛け算し、隙間を罵詈(ばり)雑言で埋めたものが目立つ。
(部分引用終)
3.そして、ご堅調な池内節!
(1)
(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-295.html)
・番組のナレーションのトランスクリプトを読むことができ、主要な場面を静止画像で見ることができます(私は自動録画しておいて、興味のある特集のところだけまとめて見ています)。
・ウェブ上にトランスクリプションを提供して後々まで公開しておくことは非常に大事です。中東をネタに、言いっ放しで思い込みを語るなどは論外ですが、民放各局は軒並みそういった論外の報道を繰り返してくれます。報道と表現は自由ですが、それは批判的に検証されることを可能にしなければ発展に繋がりません。
(部分引用終)
(2)
(https://www.facebook.com/ikeuchi.satoshi?fref=nf)
・アメリカでも専門的メディアは現地の情勢をリアルタイムで見て分析しており、無料でも発信している。それはすぐに一般メディアに取り入れられる。
・専門家・専門メディア・一般メディアの情報の循環がうまくいっている国と、うまくいっていない国では、市民社会の議論が格段に違う。残念ながら、それが国力の差につながる。
・当然お金の問題もある。専門家にタダで調べさせて、大手マスコミが無料で取っていき、それを解説するのは元官僚とか元記者という肩書きに頼るおしなべて情報力と論理に弱さの見える方々、というビジネスモデルはもう成り立たない。
・硬直したイデオロギーに付和雷同して、誰かを仲間はずれにする空気を作ってその時々のメディア業界内での「多数派」に乗って語っていれば何かをしている気分になれた時代が終わって、自分には何も発言するものがない、と気づいたメディア業界の人が、「萎縮」しているのではないかな。
・一世代待たないといけない。待ちましょう。その間に別のものを作ろう。人類社会に無駄はつきもの。無駄な業界を一世代食わせるぐらいは、民主主義のコストと考えよう。
・個人的には、優秀なのからアメリカに行ってしまうアラブ世界の構造そのものが問題であり、だから紛争も起こるし終わらないんだ、と思うが、実際にアメリカに引き抜かれた連中がいい分析しているんだから仕方がない。
(部分引用終)
「一世代待たないと」
←え〜ん!それは、池内先生がまだお若いから言えるんですよ。私なんて....時間を返せ!
ユーリ後記:ある読者の方から、「時間を返せ!」のくだりを笑われてしまいました。
ユーリ:U様、ありがとうございます。
U:時間を返せ、に笑ってしまいました。
一世代待たなければ
養老孟司さんの著書などでも見かけました。
程よく脱力して良い言葉です。
ユーリ:笑い事じゃないんですよ。ブログを開始した2007年以前は、研究発表でも大変でした。女性は年齢が大切ですからね!
(転載終)
もっと正確に言うと、「女性の賞味期限、もとい、花盛りは短いですからね!」
ユーリ追記:池内先生が、今日付のフェイスブックで、こんなことを書かれていました。
(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi?fref=nf&pnref=story)
「アサド政権にやらせればいい」という日本でありがちな議論は、そもそも「アサド政権がどんなに弾圧しても国民が黙らなくなった」というところが問題の発端なので、まるで意味をなさない。アサド政権の正統性を争う前に、実効性がなくなった。実効性のある主体をどう作るか?それが難題で、外側の勢力は誰も答えを示せない。
Satoshi Ikeuchi シリアについては、欧米諸国は「利権がない」から介入する動機がなく、放置される原因となっているというのが有力な分析です。シリアに利権がらみで入っているのはロシアとイランですが、これについては、なぜか批判する人がいませんね。シリアにも利権がらみでアメリカが介入していると思い込んでいる人は、現実との接点がない人に見えます。
Satoshi Ikeuchi 俗説に惑わされて理性と自由意志を失って声高に叫ぶことは、人間の尊厳を失うことです。
(部分引用終)
最後の池内節はともかくとして、尊厳以前に、まずは事実確認を(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130516)。
ロシアとイランとシリアの連関については、随分前に私がパイプス先生にメールで書いたことを覚えています(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130830)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141018)。そして、パイプス先生も(よしよし、いい線いっているよ)という暗黙の了解だったように理解しているのですが。