ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

餅は餅屋・蛙の子は蛙

相変わらず、なかなか他の話題に入れず、ワードに下書きや構想テーマが並んでいるが、今日も池内恵先生の話題を(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C3%D3%C6%E2%B7%C3&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C3%D3%C6%E2%B7%C3)。入手した新書に関してである(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150218)。
実は、汚れないようにビニール袋に入れて机に置き、今も暇を見て併行して読んでいる途中。
パイプス訳文もまだ20本ほどデスクトップに溜まっていて、最近、エルサレムのレヴィ君から(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121026)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121202)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121225)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130403)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130629)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130828)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140619)、「訳業を引退したの?」と、わざわざ連絡があったぐらいだ。
「まだ定年には充分若いと思ってますけど」と返事をしておいたのだが、のんびりレヴィ君が気遣うほど、下訳が積み上がってしまっているのだ。
(本当は、3月1日のヒラリー・ハーンの演奏会について、彼女自身が昨日付で公表したおめでた情報も加えて書く予定だったのだが、どうやらずれ込んでしまいそうだ。とにかく、彼女には本当に幸せになって欲しいと、遠くから願っている。)
なぜならば、真の意味での学術研究の進展と社会への還元および知的貢献は、昨日書いたような馬鹿げた事態(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150317)を許している以上、あり得ないからだ。そして、単に池内恵氏一人のみならず、次元や規模はぐっと下がるものの、この私でさえ、過去十数年に及んで別の形で‘被害’を受けてきたからだ。(その実例については、過去ブログに散述してある。)
全くもう.....。

http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-280.html


書評まとめ(1)『イスラーム国の衝撃』
2015/03/17


【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】


・本来は、ひと月かけてじっくり読んで書評が出て、それを見て考えて読者が買って読んで、数年間は読み続けられ、10年後にこの問題を振り返る時にまた読まれる、という従来の本の出版のあるべき姿を目指しています。そのような息の長い出版という営為を支える紙媒体での書評という制度は、やはり今後も不可欠と思いますし、ゆっくりとしたペースでの理解・評価が定着していくことを望んでいます。


1.インターネット媒体での書評


ネット上では罵倒・中傷も含めて無数に言及されてますが、影響力が大きかったのは次の二つと思います。


「「イスラーム国の衝撃」を易しくかみ砕いてみた」《永江一石のITマーケティング日記》2015年1月28日
イスラム国・テロ・経済的可能性」《新・山形月報!》2015年1月30日


山形さんとは少し前に『公研』で対談して「イスラーム国」についての見解を一方的に話した経緯があったので、言わんとするところや前提条件を汲み取ってくださいました。


豆知識ではなく本当に関係のある情報に直行している対談です。非営利の雑誌だからこそ可能になった企画ですね。そのうちこの対談について解説したい。


2.新聞書評


日刊ゲンダイ』2015年2月3日、「「イスラーム国の衝撃」池内恵著」
『電気新聞』2015年2月6日朝刊、《焦点》


職場の先端研の広報担当が発見してくれました。先端研ならではの媒体チェックですね。


日本経済新聞』2015年2月8日朝刊、「イスラーム国の衝撃 池内恵著 闇深める過激派の背景と狙い」
東京新聞』2015年2月15日、《3冊の本棚》「「イスラム国」本、読み比べ」(評者・幅允考)
信濃毎日新聞』2015年2月15日、《かばんに一冊》(選評・佐々木実)
産経新聞』2015年2月21日、《書評倶楽部》「 『イスラーム国の衝撃』池内恵著」(評者・野口健


アルピニスト野口健さん。お父様は元外交官でエジプトでのアラビア語研修や駐在経験があり、チュニジア大使・イエメン大使などを歴任した野口雅昭さん(ブログ「中東の窓」は中東情勢に、専門家・業界人でなくとも触れることができる貴重な「窓」です)。中東に縁と土地勘のある方は実はいろいろなところにいるのです(ご両人とも特にお会いしたことはありません)。


朝日新聞』2015年2月22日、《時代を読むこの3冊》「憎悪の連鎖、絶つために」 (評者・津田大介
朝日新聞』2015年03月01日朝刊、「イスラーム国の衝撃 [著]池内恵 あおりには分析、渦巻く情報整理」(評者・荻上チキ)


「ISの成り立ち、思想や主張、広報戦略、戦闘員の実態、過去の活動歴などを、多角的に議論している。読みやすく、それでいて深い。まずは本書を熟読したうえで、セカンドオピニオンとして2冊目を探すのが吉だろう。」



新聞の紙面・論調構成に対して外部有識者の制度が機能した例と見ていいのではないでしょうか。

(部分引用終)

上記から、幾つかのポイントを。
(1)『公研』で対談
過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150316)を参照のこと。
(2)「職場の先端研の広報担当」が「媒体チェック」
特に国立大学の専任研究者には、このようなスタッフ支援が是非とも必要だと思われる。私学の場合、私の限られた経験では、教授自ら「それは言わないでいただけると、こちらとしては都合がいいんですけどね」とお願いしてくる始末なので(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071108)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120129)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141008)、問題外。自分でやってください、としか言いようがない。
ちなみに、ダニエル・パイプス先生の場合、ウェブや書籍での誤報や悪意的な非難コメントを、熱心なファン読者やオーストラリアなどの支援グループの方達が、自発的に見つけてはパイプス先生に通報しているようだ。もちろん、シンクタンクである以上は、チェック担当のスタッフも配備されている。私自身は遠方の邦訳担当でしかないが、彼の著述で表記ミスや英語ミスを見つけたら、逐一メールでお知らせしている。ありがたいことに、すぐにパイプス先生は修正を加えてくださる。
このようにして、小さなことではあるが、倫理上の知的環境を少しずつ整え、学術水準を上げていく努力が必要だと痛感している。
(3)「野口雅昭さん」
昨日付のブログの「コメント欄」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150317)をどうぞ。「特にお会いしたことはありません」というところがいい。
(4)「セカンドオピニオンとして2冊目を探すのが吉」
いかにも「両論併記」「相対化」「問い直し」の好きな朝日らしい訓示。その「2冊目」が具体的に何を指すか、当然のことながら既に察しがつくところも、底が浅い。何が「吉」だ!要するに、褒め殺しという類。
池内氏は、やはりお父様の文筆活動を見ながら育ったので、よく出版業の内情に通じていらっしゃる。餅は餅屋、というところか。
しばらく前に、「うちの息子も大学院に行かせればよかった」という(生半可な考えの)男性の感想や、「頭のいい人だ」という、ため息のような感嘆の声が子育て中の女性達から上がっていたが、池内家の華やかな面ばかりではなく、背後に控えていらっしゃるご家族の労苦も汲み取りたいところだ。
二代続きの一読者としての私の率直な感想を述べるならば、「ああいう家に生まれると、表向きは遊ばせているように見えても、ものすごく勉強させられて、大変だよ」と言った主人の言葉を思い出す(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20091217)。
時に、世間的に有名になった子どもを持つ母親が「教育評論家」として権勢を振るう過ちを犯すことがあるが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150225)、そういうみっともない真似だけはしたくないと、つくづく思うことである。