ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

短いご報告

おととい、昨日と(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140616)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140617)、国益に関わる日米の歴史認識に少し触れたので、誤解なきよう、ご報告を。
パイプス先生はやはりパイピシュ先生で(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120612)、根は真面目で温かい。業務上、日本を「アジアの同盟国」として大切な位置づけに置いていらっしゃるし、私のことは、単なる邦訳者としてのみならず、個人的にも、かなり遅れて突然出現した「日本の友達」として気に入ってくださり(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140510)、喜んでいらっしゃるようだ。もっとも、文化がかなり違うことは承知済みだが、不充分ながらも日本人気質を理解した上で、怒らせないよう、小さなプライドを傷つけないよう、いつも注意はしているようだ。
あきらめていたのに、早速、短くお返事が来た。(私がブログに書いていることをご存じなので、予防策でもあるかもしれない。)
「私は個人的に、前のメールで言及したフーバー大統領の本を支持できる、非イデオロギー的な所見や証拠を日本語で幾つか読んできました」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140617)という一文を引用した上で、

「それを僕は疑わないね。そして、僕達が同意しているように、これは僕の専門としてきた領域じゃないし、明瞭な見解でもない。日本事情について何か知っていることに限れば、明治時代と近代化プロセスなんだ」。

それは、繰り返しになるが、私にとっても全く異論はない。だからこそ、中東イスラームの専門家として、日本を引き合いに出して、イラクなどに関して、アメリカ国内での戦意高揚や、アメリカ式の自由と民主主義の輸出を高める世論操作をすべきではない、と言いたいのだ。
だって、矛盾していないか?非西洋圏で唯一、明治時代に近代化した日本が、なぜ太平洋戦争などという無謀な賭けに出てしまったのか?直前まで鎖国をしていたのではなかった。日米の要人往来もあり、アメリカへの日本人留学生もいて、アメリカから宣教師も来ていた。日米の貿易もあった。日本の知識人は戦前から、アメリカがどれほど豊かで広大な国かを承知していたのに、精神力だけで自分達が上回るなどという、馬鹿げた気運に乗っかってしまったのだ。
フーバー大統領は日本人のハラキリ精神を知っていて、あのような資源もない小国なのに、誇り高い民族を挑発して経済制裁で追い詰めると、国のプライドを守るために自暴自棄になって無謀な報復を試みる、と考えていた。だから、戦争回避を唱えたのだった。もちろん、ルーズベルト大統領との確執もあったことだろう。また、クウェーカー教徒としての平和志向もあっただろう。それを踏まえた上で尚、原爆投下に反対していたアメリカ指導者の一人として、この経緯は、我々が感謝して銘記すべき事柄である。
しかし、ここまで言っても通じないこととして、やはり私は半ばあきらめた。新たに電話インタビュー形式のイラク現状分析がアップされたが、またもや後半で、日本やドイツの事例が出てきた。まるで通じていないのだ。ま、仕方がない。だから、あの戦争は日本にとって、やはり間違っていたのだ。
読者の皆様、この辺りの事情をよくご勘案の上、日本言及に関しては割り引いた後に、一つの参考意見として、パイプス中東分析をご利用くださいませ。
最新訳文(http://www.danielpipes.org/blog/14483)の楽しげなカラフル・チャートは、最初、子どもの落書きかと思っていたところ、「兵士達の学ぶ訓練を意味していて、真剣な分析ではないと言われた」と申し添えが届いた。ごちゃごちゃして非常にわかりにくいグラフィック・チャートだが、よくよく見てみると、アメリカ軍の世界戦略の一端がうかがえそうだ。日本の場合は、周辺諸国とのナショナリズム(民族問題)や歴史克服や人口縮小などが課題とされているらしいが、アメリカとの安全保障や経済の絆は維持すべきだと見なされているようである。