ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

過去から現在を知り将来を予測

久しぶりにツィッターからの転載です。

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Lily2 ‏@ituna4011 5h

"Jerusalem: The Biography" by Simon Sebag Montefiore (http://www.amazon.co.jp/dp/0307266516/ref=cm_sw_r_tw_dp_C1Xcsb0T1A609 …) arrived here today.

著者はベストセラー作家で、代々エルサレムと深い所縁のある名家のご出身のサイモン・セバーグ・モンテフィオーリ氏。『エルサレム』と題するBBCのドキュメンタリーが迫力満点だったので、ご著書に興味を持った次第です。

http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=Simon+Sebag+Montefiore

私のカウントでは、この二日間でYou Tubeへのアクセス数がそれぞれ2824件、1752件、2010件増えていたという驚くべき事実。モンテフィオーリ氏の場合は、ユダヤ系でいらしても「エルサレムユダヤ教だけのものだ」という主張はせず、いかにも英国人らしい中庸性で客観的事実を淡々と述べていらっしゃいます。ただし、「エルサレムについて書くことはストレスが多い」と表明されているように、過去のキリスト教もさることながら、やはりイスラームとの関係は、本音ではなかなかやっかいだということのようです。黄金のドームを意味ありげにじっとまなざす表情が非常に印象的でした。

ここしばらくブログをお休みしていた理由は、ダニエル・パイプス先生の著述に刺激されて、これまで買いためていた英書を何冊かまとめて読んでいたからです。モンテフィオーリ氏の著作もそうですが、とにかくユダヤ系の歴史学者の著作は、量が半端じゃありません。内容に本当に興味があれば、ある程度のまとまった時間と気力(と体力)がある時をねらって、一気に読み進めるのがコツかと思います。

中東は確かに複雑奇怪で、突如わけもわからず何かが突発的に起こるところのようですが、定評のある歴史学者の通史を何冊か読めば、なぜ現在そのようになっているかのポイントが少しずつわかりかけてくるように思います。それに、ダニエル先生の著作八冊(英語のみ)とお父様のリチャード先生の著作二冊(一冊は邦訳)および書評で引用されていた関係者の著作を含めて約四十冊ぐらいの英書を、2012年春から訳業と並行して読んできた結果、パイプス先生の路線は、特に突飛でもなければ過激でもなく、現実を直視すると、当事者かつ専門家ならば本音ではそう考えることもあるだろう、そういう考え方をする分析家がいても自然だろう、と納得のいくことも多いことが判明しました。最初はいささか慣れが必要ですが、中東の基礎知識、一神教の基本、戦前戦時中と冷戦期の各種イデオロギー、そして彼の論述戦略および手法が把握できれば、実に明快な文章です。

もっとも何年も前から、中東アラブのキリスト教について英書で何冊か読んでいましたし、聖書翻訳史の古い原書もいろいろと図書館で見て、必要箇所を部分複写してきましたので、私にとって素地が皆無だったとは思えません。残念ながら日本語で読むものは、翻訳版ならば参考になりますが、専門家向けは別としても、全体として、出版社か編集者の好みに偏っているか、読者を低く見て甘ったるい体裁にしているかのどちらかであって、どうもぴったり納得のいくものがありません。特に英語は好きな言語だというわけではありませんが、現実問題として、世界で最も広く使われている言語が英語だとするならば、日本語で必要な知識を得るのが物足りないと感じられる時、結局は英語に頼るしか方法がないのです。

私は普段テレビをめったに見ない生活をしている上、この頃は新聞でさえ軽い記事が増えてつまらないので、ほとんど本ばかり読んでいる暮らしですが、私のようなタイプは、恐らく日本国内では探せば珍しくもないだろうと思っています。それが証拠に、このブログをお休みしていた間も、アクセス数は途切れることなく、毎日三桁をキープ。つまり、本気でやっていれば、興味を持ってくださる層が確実に存在するという証左です。

ところで、7月下旬に突然パイプス先生が、ご自身のアインデンティティをメーリングリストで再主張。

「自分は歴史家である。なぜなら、過去の研究が現在を理解する最善の方法を差し出すと信じるからである。そして、そのような理解を提示する方法は、将来を正確に予測することによってである。その精神において、私は1970年代末に始めた執筆歴から予測をしてきている。」

そして、いつの間に作成したのか、過去の著述抜粋と予測の的中を列挙した項目を立てられました。(こういうことは、自分で表明するのではなく、他の方達が判断するものだと私なら思うのですが.....文化の違いでしょうか。)
もう一点付け加えたいのは、歴史学者が現実の外交政策に提言をすることの意味です。パイプス先生に言わせれば、「ユダヤ人の政治は過去あまりにもまずかったので、歴史を充分に学ぶことによって現在をよりよく知り、政治に関心を持たなければ、民族としての自分達を守れないと痛感している」らしいです。
では、冒頭のモンテフィオーリ氏も英国の中東政策に積極的に発言されているのでしょうか。家系が深く関与しているエルサレムであれば、当然のことながら、中東事情は我が身のように日々迫ってくるのだろうと思います。