ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

水玉ネクタイの話

2月8日に届いた『みるとす』最新号を読みながら、(一年かけて昨年はダニエル・パイプス訳業に熱中して励んだおかげで、私の日本語ブログ路線が、編集長や執筆者の何人かの方々とそっくり同じ論調になってきたわね)と思わずにんまり。
(『みるとす』誌に関する過去の言及は次を参照(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20070805)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080209)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080406)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080407)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080409)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080509)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080608)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080619)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080805)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20081007)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20081118)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20081214)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090404)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090805)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110411)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110521)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111001)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111004)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20111010))。
私の場合は、イスラエルや中東やアメリカ外交に関して全くの非専門家という自意識ですので、英語の細かいニュアンスもさることながら、内容そのものに関して何でも疑問に思えば自分で調べますし、場合によっては、パイプス先生に直接お尋ねしたり、コメントのような形で感想を書き送ったりしています。(その大半は、差し障りのない限り、このブログで公開していることを、パイプス先生にもお伝えしてあります。理由は、できるだけ多くの方々にダニエル・パイプス公式サイトを見て、彼の主張や立脚点に関する理解を深めていただけたらと願いつつ、ありもしない陰謀論プロパガンダ主張を否定するためです。)

なのですが、その後に届く『みるとす』誌の内容が、まるで私のブログを参考にされているのではないかと驚くほど、引用出所が同じだったり、考えが似ていたりするのです。
物を書く、何かを読む、というならば、その人でなければ書けないこと、読めないことを希望します。そういう意味で、わざわざ時間をかけてこのブログを書き続けているのは、自分の思考や経験の整理および、他の人々への発信伝達および意志共有という意図からです。もちろん、基本的にオリジナルの発想で、こっそりどこかからの借り物を写して自分のアイデアのように見せかけることは、一切していないつもりです。
ところで、今日は、大阪フィルの演奏会の無料招待券をいただいたので、建国記念日ということもあり、一人でNHK大阪ホールへ行って、2時から4時過ぎまで、チャイコフスキーベートーヴェンを聴いてきました。大阪フィルそのものは、故朝比奈隆氏が育てた経緯もあり、日本の地方オケとしては、まずまずではないかとは思います。私にとっては、このホールも大阪フィルも二度目。ホールは2005年12月に、アラン・ギルバート指揮で庄司紗矢香さんのブラームスのヴァイオリン協奏曲を目玉とする北ドイツ放送交響楽団の来日公演の時以来です(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071120)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090528)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121231)。大阪フィルについても、庄司紗矢香さんのリゲティの協奏曲で初めてお目もじした次第(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090528)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090602)。こうしてみると紗矢香さんあっての、私の大阪二重奏(ホール兼オケ)との出会いです。ありがとうございます。
しかし、NHK大阪ホールって、建物は高くそびえ立っているのに、(あの時もこんなに狭く感じたかしらん?)というほど、こじんまりした感覚。しかも、座席通路が狭くてイスも堅い気がしました。あの頃は、とにかく小柄で若い庄司さんの目覚ましい活躍ぶりに集中していて、ホールが広く見えたのでしょうか。当時としては、贅沢だったけれども奮発して一番高いチケットを買い求め、かなり前の方の座席だったと思いますが...。
今回の無料招待券とは、21歳の頃母に買ってもらったアンサンブル喪服のワンピースが、さすがにこの歳になると、体型の変化からきつくなったために、昨年12月初旬に、思い切って新調したお店でアンケート葉書を書いたことから「当選」としていただいたA席(4000円相当)でした。
ホールの壁に、シャルル・デュトワ氏とネルロ・サンティ氏の写真付色紙が飾ってあり、写真を撮って(サンティ氏って、見かけによらず几帳面な字を書く方なんだなぁ)と、イタリア語のメッセージをおもしろく眺めていたところ、華やかな感じで、きっちりとお化粧をしたマダム風の年上の女性から、ふと声をかけられたのです。「S席のチケットを持っているけど、風邪を引いちゃったから、あなたのA席と交換してくれない?」との由。「え!じゃあ、2000円分、お支払いしましょうか?」「いいの、いいの。この席、悪くはないから」と座席表まで見せてくださいました。見知らぬ方ではありましたが、一応はクラシックの音楽会だし、せっかくそこまでおっしゃるならば、とありがたく頂戴しました。
と、こういう幸運も舞い降りてくることがあるので、外出は楽しいですね!
確かに、7年前の席よりは後方なものの、舞台がよく見える席でした。
ただし、申し訳ないけれども、パンフレットを見た段階で、この演奏会にはあまり期待していなかったのです。というのも、ソリストがモデル人形のような顔立ちで、一見して、(これは私が普段行くような、本格的な演奏会じゃないなぁ)と直観していたので...。ごめんなさいね、舞台に立てるだけでも大変な関門だということはわかっているのですが、聴く側になると、せっかくお金と時間をかけるのだから、鼓膜が汚れるような音楽は聴きたくない、というのが正直な感覚です。つまり、すっかり耳が肥えてしまったのですね!
ただ、客層は中高年中心とはいえ、案外にクラシック演奏会には来慣れている感じの人々が多く、途中で咳払いしたりするような雑音は、著名な海外楽団の来日公演と違ってほとんどなかったように思われます。そして、普段ホールでの咳き込みに文句を書いている私の方が(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090114)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100430)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100601)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20101106)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120423)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20121125)、今回どういうわけか、ホールのほこりが途中で鼻から喉に入ってしまい、咳を止めるのに必死という...。これは、音響はともかく、やはり他のホールよりも空調の効き方が今ひとつだったのでは?この経験は、その昔、小学校から高校、そして大学にかけて、名古屋の各ホールでクラシックの演奏会を聴きに行っていた頃、時々浮上した事態のまさに再現でした。
今回の音楽会は、私が購入したお店が比較的値の張るフォーマルドレスやバッグを販売しているところで、その客層から、クラシック音楽とドッキングさせて顧客を引き寄せようという試みだと理解しました。その証拠に、小学校一年生ぐらいの着飾ったかわいい男の子三人と女の子二人が、最初にミニ寸劇風のお芝居をしてくれたからです。思わず、(全国で0.1パーセントだという、年収4000万円から5000万円の富裕層の子弟で、大阪の私立小学校で大切に育てられているお坊ちゃんお嬢ちゃんなんだろうなぁ)と目を見張っていたところ、後で指揮者の岩村力氏から「劇団ひまわり」の子ども達だとご説明。それにしても、懐かしい演出ではありました。
曲目はすべて、ポピュラーなものばかりで、一楽章ずつというベートーヴェン。指揮者の解説付でしたが、世間をよく知った聴衆の雰囲気を察知するのが上手な方だな、と思った次第。
しかし、ソリスト若い女性が、ヴァイオリニストというよりはモデルさんの方がぴったりではないか、と思われたようなチャイコフスキーの協奏曲でした。調子の悪い時の千住真理子さんみたいな感じ、と言ったら失礼でしょうか?音が外れているし、細かい部分で指が動いていないし、大阪フィルの楽団員の弦楽奏者達が、引き立て役というよりは、むしろ引き立っていた感のする...。指揮者よりも随分前に立って奏でているのも目立ちました。普通はもっと下がるのでは?
ただし、シンプルなスタイルなのに情熱的で大胆な朱色系の舞台衣装が180万円もするそうで、もちろん、今回の主催者であるフォーマルドレスのお店がオーダー仕立てされたのだそうです。(こういう打ち明け話は、上記の庄司紗矢香さんなどからは、まず聞くことのできないことだろうと思うので、参考になりました。)布地がシルクで、動きやすく、肩あき‘配分’も、ご本人にはちょうどよいのだそうです。
しかし、そうしてみると、衣装代に楽器代に楽器のメインテナンス代に、音楽とは演奏家にとって相当なお金のかかる、贅沢な文化だということですね!
指揮者の方も、会場の雰囲気に合わせつつも、ソリストを立てる会話を当意即妙になさるのは、大変だったのではないかと思いますが、「数日間、眠れなかったのでは?」「ここの会場の皆さんはとても温かくて...」と上手に運ばれていました。一流の演奏会ばかりではなく、たまにはこういう音楽会に行くと、一流とそれ以外を何が区分するかがくっきりとわかって、参考になります。まず、舞台に出てくる時の歩き方と雰囲気で、すぐに(これはダメだ)とわかります。次に、お辞儀の仕方で、そのソリストの性格と音楽性まで感じられます。最後に、話し方ですべてが決定されます。
という次第で、ここにプログラムを書くほどでもないかと思いますが、合間に読んでいたのが、上記の『みるとす』誌だったというわけです。
一つ楽しかったのが、「水玉ネクタイ」のお話。海部首相がお好きだったそうですが、この意味合いが、「いい加減にしてもらいたい」と廣淵升彦氏を苛立たせたほど、実は「優柔不断でいざという時に毅然とした決断ができない男」というイメージが海外では通例なのだそうです(p.38)。
特にここで調子を合わせるつもりはなく、私自身、殿方のネクタイをじろじろ眺める趣味は持たないものの、直感的に(水玉ネクタイなんて、うちの主人は持っていないはず)と一安心。もし持っていたならば、まず結婚相手には選ばなかっただろうと思うのです。これは、海外(欧米)でのネクタイの常識を知っていたからではなく、私が好む男性のタイプは、大人としての社会常識があり、生活や暮らしぶりは地味で堅実でも、専門や人生の上では安易な付和雷同はせず、いざという時の決断力が発揮できる人だからです。そういう人には、まず水玉ネクタイなんて、そんなかわいらしくも派手な模様は合わないだろうなぁ、と思っていました。
一方、愛知県出身の政治家として、マレーシアでも間近で演説を聴いた海部氏のことは(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090831)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100322)、小柄な体格なのに堂々と胸を張って歩く男らしいタイプだと、多少は誇りにしていました。(ただ、首相だということで、水玉ネクタイにまで気がつかなかったところが、私の落ち度でもありました。)
さて、帰宅してから、主人に直接聞いてみると「水玉ネクタイなんて、普通するかい?」と即座に否定。試しに、洋服ダンスを調べてみましたが、水玉は皆無。ほっとしました。
次に気になるのが、1990年からのテレビ出演の映像を公式サイトで公開されているダニエル・パイプス先生。
もちろん、昨年の今頃、訳業を正式にお受けする前のお試し期間中(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130128)、空き時間に映像を見ながら、人柄や思想をチェックしていました。ネクタイの色とデザイン、そして、スーツやカッターシャツの色とデザインの組み合わせ、話し方や言葉遣いや顔の表情や雰囲気を、かなり厳しく見ていたと思います。30代前半だった頃の1983年の初版本(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120114)のお写真もとくと拝見して、特にネクタイに印象づけられていました。(もしかして、これって水玉?)と心配になったのですが、主人に見せると、「これは違う。他の形の模様も入っているから、水玉ネクタイじゃない」と断言。(さすが、男の目はそれなりに鋭いですね!)
これでほぼ決定。(ちょっとネクタイがいつも曲がっている点が気になるものの(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120929))パイプス先生の服装や話し方や態度に、全体として好感を持ちました。(へぇ、今でもこういう古典的なタイプのアメリカ人男性がいるんだ...)と新鮮でした(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120809)。40代の初め頃は、まだやせ気味で神経質そうで、いかにも秀才タイプの努力家という感じですが、主張のストレートな激しさの割には声が柔らかくて、個人的には思いやりの深い優しい方なんじゃないかな、と。遠くから見た目には、ちょっと愛嬌が感じられましたし...(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120812)。
好みは人それぞれでしょうが、私にはこういう出会いがあったのですね?