ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

醒めた目

昨晩、二週間以上のお休みの後、ようやく最近訳した短い3本を、ダニエル・パイプス先生(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120729)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120731)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120803)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120804)にお送りしました。いずれも、ミアシャイマー=ウォルト著『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策講談社2007年)との関連です。残りの8本は、近いうちに提出できればと願っています。
で、このお休み期間中、一人でいろいろ考え込んでいたことの総括や、上記本を読んで感じたことなどを、率直にパイプス先生に書き送りました。

先生がミアシャイマー=ウォルトのお二人に言及されていることに関連して、最近、日本語訳でその書を読んだばかりです。二冊とも、2007年に出版されました。日本では、二部に分けて翻訳された本が、184の大学図書館に入っています。


正直に申しまして、書かれたことを知って大変ショックでした。読みながら非常に憂鬱になりました。でも、特に先生やご同僚の方達について、どの箇所が不正確で誤っているかを、ウェブサイト上の先生の著述やテレビ対談の画像を調べながら、識別する価値はありました。


問題は、上記の著者達の本が、米国の権威的な分析として、ほとんんど無批判に広く受け入れられてきたらしいことです。
私は、ミアシャイマー=ウォルトは、1980年代以降の世界的なイスラーム復興という点を見逃してきたように思っています。例えば、マレーシアで発行されているマレー語のイスラーム月刊誌もまた、イスラエル国家、シオニズムユダヤ人についての記述が、ひどく低質です。あまりにも単純化して一方的なばかりでなく、非常に問題が多く脅威的なのです。


ひとたび、現在のイスラーム傾向の危険性が真に認識されるならば、世界で唯一の国であるユダヤ人国家が、国の内外からの否定的な影響から守られることは、極めて自然なことです。
ミアシャイマー=ウォルトは、イスラエル国家に関して、アラブ・パレスチナ人達の公の言説をあまりにもナイーブに信じ過ぎていると私は思いました。


時々疑問に思っているのは、本当に私の邦訳が必要なのかどうかということです。なぜならば、先生のお仕事に関心のある人々は、私自身のように、直接、原文の英語を読むと思うからです。でも、今回、それは誤った考えだとわかりました。人々は、先生の活動について公平に理解するために、先生の側からの日本語訳を必要としているのだ、ということです。」

これに対するお返事は、次の通りです。

私の見解では、あの人達が私について不正確に書いているということは、本全体がナンセンスだという意味だ」。


(邦訳の必要性に関して)「私の考えでは、疑いの余地がないね」。

相変わらず、あっさりしたストレートな回答ですが、いかにも先生らしいですよね。一つは年の功。これまで、いろいろ華やかな反面、辛く腹立たしい経験を積み重ねられているので、飽き飽きされているのでしょうか。それと、何事も合理的で隙が無いのです。ハッキリ言ってぶっきらぼう。でも、それだけに真実味がこもっていて、誠実さがうかがえます。
最後に、その人となりがうかがえる一問一答を。

ところで先生、お父様のように自叙伝を書かれる将来計画をお持ちでしょうか?」
そんな計画はないね。私の人生は、あまりおもしろくないから」。

これですよ、これ。国内外のメディアにも積極的に出て世の注目を浴びながらも、非常に冷静で、突き放した感覚を同時に持っていらっしゃるんです。こういうところが、私がパイプス先生の人柄や背景に興味を持った理由です。