ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

文献資料の山を片づける

洋間の本棚ともう一つの部屋にある資料の山の整理に、思った以上に時間がかかってしまいました。しかし、何かのきっかけでもないと、なかなか片づかないのも、(私にとっては)事実です。疲れましたけれど、ようやくすっきりしました。
以前、日文研の公開講演で、池内恵先生がエジプトのカイロ郊外にアパートを借りて、そこを拠点に、資料集めやフィールド観察をしていたという話をされました。おもしろかったのは、エジプトの書店で本を買った後、部屋に戻って最初にすべきことは、まず本の埃を丁寧に払うことだそうです。なるほど、そういう一見何でもないような作業が、大事なのですね。確かに、マレーシアの図書館や書店で文献を集めていると、その場では気づかなくとも、日本に帰ってから、なんとなくねっとりした湿り気や埃を感じます。今後は私も、アルコールを持って行って、初期作業をきちんとしなければと思います。
もっとも、文献類は、全部を持ち運びできないので、段ボール箱に詰めて、船便か航空便で送ってもらいますが、向こうでは確かにしっかりした箱だったはずが、自宅に届く頃には、ボロボロになって中身が飛び出しそうになっていることも多いです。途中紛失や破損を恐れて、日本から大きな透明ビニール袋やガムテープやひも持参で出かけて行くのですが、なかなか思うようにいきません。
ただ、とても幸いなことに、過去17年間で、箱詰め荷物がマレーシア-日本間で紛失したことはありません。手紙は、なくなったものがかなりありますが、コピーを必ずとるか、カーボン紙で写しをとってあるので、いざとなれば何とかなります。毎度、荷物の方が不安ではあります。マレーシアのキリスト教組織の関係者から、私宛に送った本や冊子が、二度ほど届かなかったことがありました。きちんとこちらに届く場合は、事前にお祈りをした時だそうです。笑い事じゃありません。確かに、人的配慮のまだ充分行き届かない国では、目に見えない力により頼むのが自然なのでしょう。
ある大学の先生が、インドネシアで集めた二箱分の文献が、結局のところ日本に届かなかったそうです。学会で発表する予定だったため、本当に困ったとお聞きしました。こういうことを考えると、いわゆる先進国研究と途上国研究では、水面下の労力が違うので、単なる表面的な論文数や年数だけで測ってほしくないと思いますね。
資料を整理していると、買ったまま忘れていた本なども出てきました。また、当時は読んでも吸収するだけで精一杯で、背景や意味がよくわからなかったことも、今なら(なるほど、そうか)という本もあります。控えている一仕事が済んだら、少しずつ、この「ユーリの部屋」などで、ご紹介していければと思っています。