ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

エルサレム問題に決着を

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メムリ(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP14117


緊急報告シリーズ  Special Dispatch Series No 141 Dec/8/2017

「成立不可能な世紀の取引―妥協を拒む組織と人間―」
ゼーブ・ベギン(元科学・教育相)


イスラエルPLOの間に“世紀の取引”は仲介可能であろうか。なかには、既に手の届くところにあると考える人もいる。イスラエルPLO間の和平交渉に以前かかわっていたシャウル・アリエルは※1、取引レシピを最近発表した。それは、“2008年アナポリス交渉で提示された条件をベースとし、双方の基本的利害に合う妥協”である。現実場面でいろいろ徴候があるにも拘わらず、PLOイスラエルの間に正式の平和協定が結ばれて、この特異な紛争に決着がつくという話が、独り歩きしている。裏庭で首なしの鶏が歩きまわっているようなものである。思考は消滅し、反射だけが生きているわけである。


その2008年をふり返ってみよう。その年PLO指導部は“条件”を3回も拒否したのである。2008年9月中旬、アッバス議長はオルメルト首相の気前のよい提案を拒否した。同じく11月、アメリカのライス国務長官オルメルト提案を受入れた旨連絡を望むとしたのに、アッバス議長はその要請を拒否した。そして12月、ブッシュ大統領が大統領執務室で1対1で対面し、アッバス議長にその提案の受入れを懇願した時、アッバスは再び拒否した。ライスは回想録(No Higher Honor, 2001)で、「パレスチナ人は強情で、構想は消えた」と書くのである。


昨年、PLO議長アッバスは、悪名高いPLO憲章にしがみつき、国連総会(2016年9月21日)で、「札つきのバルフォア宣言で、イギリスは何の権利もないのに、権限もなく他者との同意もなくパレスチナの地を他人にやった。これが、パレスチナ人民にナクバ(災厄)の道を開き、パレスチナ人民は土地を追われ離散の道をたどる」と言った※2。


この発言の政治的意味は明確である。第1、パレスチナは唯一合法的な所有者から強奪された。第2、パレスチナアラブ人は、換言すればPLOは、全パレスチナに対する独占的主権を有するというイデオロギーを抱き、その基本的主張に固執している。第3、オスロ合意におけるイスラエルの政治的認知を口にしたり、イスラエルの“存在権”の受入れを表明していても、ユダヤ人国家の受入れを拒否していれば、この基本的主張とは矛盾しない(ユダヤ民族の民族国家を認めることは、パレスチナに対するユダヤ人の権利を認めることになるので、これは絶対拒否する。2016年の第7回ファタハ総会でも、はっきり拒否した)。従ってPLOは、イスラエルと平和条約を結ぶことができず、結ぶことも拒否してきたのである。結んでしまえば基本的な“主張の終り”となり、パレスチナにおけるユダヤ人の主権を許してしまうからである。


この立場は、外交上まことに奇妙である。そこでPLOは別の問題を強調して、これを糊塗する。つまり、パレスチナアラブ難民問題である。PLOが満足し、すべての“主張の終り”を宣言するに足る合意の一環として、果して何名の難民の“帰還”が許されるのか。イスラエルの政治家や研究者のなかには、その数字を推定する人もいる。2008年、時の首相エフード・オルメルトは、数千名の受入れを提案したが、PLOは拒否した。シャウル・アリエル博士は、「これにはパレスチナ側の公式の立場がある。それによると、イスラエルへ戻るパレスチナ人の数はーイスラエルの同意のうえであるが、5万から10万である」と主張した※3。モシェ・マオズ教授は、2008年にアッバスオルメルトに15万の数は提案した、と述べている※4。イスラエル平和運動家ウーリ・アブネリは、PLOが満足するマジックナンバーは25万と示唆した※5。


数字についての論議は不毛である。何故ならば、基本的前提条件で一致できないからである。シャウル・アリエルは、自分の書いた記事のなかで、「難民問題の記述に関する合同(イスラエルPLO)定式が必要」と指摘している。この必要がみたされたことはない。相当な努力にも拘わらず、“合同定式”は捉え難いもので、みつけられないのである。アブネリは、PLO幹部達と永年に及ぶ話合いの後、最近その必要定式について触れ、「(イスラエルへの帰還権の)原則は、否定できない。その権利は個々の難民に所属する。それは国際法をよりどころとする。それは神聖である。将来イスラエル国パレスチナ国の間に平和条約が結ばれる場合、その条約に、イスラエルは原則として、全パレスチナ難民とその子孫の帰還権を受入れるとする条項が含まれなければならない。如何なるパレスチナ人指導者といえば、そのような条項のない条約に調印することはできない」と述べた※6。パレスチナ人からすればその通りであろう。しかし、如何なるイスラエル人指導者といえども、このような条項を含む条約に調印できないことも真なのである


最近アッバスは端的に主張している。カイロレビュー誌で、「我々は、イスラエルに対する主張に決着をつけるためには、700万のパレスチナ難民※7に対し、すべての難民の選択をベースとする、公正な解決がなければならぬことを、繰返し述べる」と書いた※8。西パレスチナには100万を越えるアラブ難民が住んでいる。かつて住んでいた村からすぐの所である。アッバスの言によれば、その彼等の唯一可能な“解決”は、数キロ先の元の村に戻るか、財政的補償を得るかの選択権の行使しかない。この信念を体現しているのが、ベツレヘムのアル・アイダ難民キャンプの通用門である。名前は、“帰還する人”を意味し、帰還を象徴する大きいカギが、門の上に架けられている。“帰還権”の行使は、“すべての難民の個々の選択をベースとする”のであるから、PLOの長期構想といえるが、そのPLOは、この権利を縮小する協定を難民に代って調印する権限がない、と主張する。


この原則は、2000年のキャンプデービッド交渉が崩壊した数日後に、アッバスが強調している※9。彼は、「パレスチナ代表団は、帰還を認められるパレスチナ人の数の明示を拒否した。たとい相手が難民300万の帰還を提示しても、(我々は拒否する)、我々が彼等に言った通りである。我々は彼等にその原則を受入れさせたいからである。その上で、難民の帰還と帰還を望まぬ者に対する補償に関して協定を結ぶ」と言った。それ以来何も変っていない。今だにPLOは、難民の“帰還”割当は受入れられないと主張している。よって、難民問題がほぐされることはなく、究極の平和合意への道は、遮断されたままである。


この特異な紛争の特殊な事情が、ユニークな政治的結論をもたらす。即ち、イスラエル政府の構成がどうなっても、イスラエルPLO間の平和協定は生まれない。それでは将来どうなるのであろうか。答の一部は、2016年にパレスチナ自治政府が発行した教科書にある。例えば第11学年の教科書で、生徒は次のように教わる。「グリーンライン。これは、1967年の戦争後地図上に引かれた想像上の線。イスラエルが1948年に占領したパレスチナ領と、1967年に占領したパレスチナ領を区別するために引かれた」。


更に第3学年で児童は次のことを学ぶ。「大声で歌い、しっかり覚えよう。私は誓います。私は、気高い人々の大地を潤おすため私の血を捧げます。私は離散しここに来た異人を撲滅します。おお、エルアクサ(モスク)と聖所の地よ、おお、誇りと栄光の生まれた地よ、今は我慢して、勝利は必ず私達のもの。暗い闇にも暁がきて、闇から輝きが現れます」※10。


“主張の終り”を明言しない敵国同士の協定は、過去にいくらでも破られてきた。この条項を欠く平和協定には、責任ある人間なら誰も調印する気にならないだろう。この条項は不可欠である。恒久の平和協定と暫定合意の境目はここにある。1949年の休戦協定或いはオスロ合意の場合、合意のパートナーはまだいろいろな願望や計画を抱く。この違い、即ち境目は小さいものではない。妥協を最終的なものとして受入れるかどうかである。そのようなものを欠く場合、当事者としては、相手に本当の平和を求める気持ちが熟しておらず、戦争再開の機会をうかがっている、と結論せざるを得ないのである。


イスラエル政府は、その政党構成が如何なるものであれ、双方の主張に決着をつけることを宣言した条項を含まないのであれば、PLOとの“平和条約”に調印できない。そのうえで我々は、イスラエルとの合意の一環としてPLOが何故そのような条項を含めないのか、を考えるわけである。


状況は極めて明確である。PLOは、ハマスが存在してもしなくても、如何なるイスラエル政府とも平和条約を結ぶことができない。この結論が、イスラエルとその友邦諸国の現実的政策のベースとなる。


・本記事は、10月にハアレツ紙が主催した「パレスチナイスラエル間の恒久平和の合意チャンス」に関する討論の後書かれた。



[1] Haaretz (Israel), October 4, 2017.
[2] Maannews.com, September 23, 2016.
[3] Haaretz (Israel), October 4, 2017.
[4] Haaretz (Israel), October 17, 2017.
[5] Haaretz (Israel), October 17, 2017.
[6] Haaretz (Israel), October 13, 2017.
[7] 2016年9月の国連総会で、アッバス議長はパレスチナ難民の数は600万と述べた。
[8] Thecairoreview.com, Nov 2, 2017. 次を参照:MEMRI Special Dispatch No.7169,カイロレビュー誌でアッバス議長は、バルフォア宣言発表100周年に際し、パレスチナイスラエル紛争の最終解決には、パレスチナ難民をもとの所に戻すため国連決議194の履行が必要と述べた。2017年11月8日。
[9] Al- Ayyam (PA) July 30, 2000
[10] Center for Near East Policy Research (cfnepr.com)

(引用終)

メムリ(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP722817



緊急報告シリーズ  Special Dispatch Series No 7228 Dec/19/2017

「トランプ発表を梃にパレスチナの首都エルサレムを認めさせよ―路上の暴力とは異なるパレスチナ人の主張―」


アメリカのトランプ大統領エルサレムイスラエルの首都と認めたことに対し、アラブ及びパレスチナ人達が一斉に非難攻撃を開始した。その動きと並行する形で、パレスチナ人のなかには、トランプ宣言の積極的側面を考える者もいるパレスチナを国家として認めていない諸国が国家として認める機会になるのではないか。アメリカと国連がエルサレムパレスチナの首都として認知するのではないか。アメリカの代りに国連が和平プロセスの後ろ盾になり、国際社会でアメリカとイスラエルを孤立させ、エルサレムパレスチナを国際問題のトップにおく機会になった。要約すればこのような見解である。このパレスチナ人達は、アメリカ人のなかにもパレスチナ大義を支持する人達がいるから、十把ひとからげで反米を叫ぶのはやめよとか、ペンス副大統領のラマッラ訪問をキャンセルすべきではない、と主張する。その一方で彼等は、アメリカの国旗を焼き、“アメリカに死を”と斉唱するのはやめるが、住民の抗議は続ける一方で、アメリカ製品ボイコットと国際機関での外交活動に集中すべしという意見もある。
次に紹介するのは、この一連の記事内容である。


ペンス訪問を無視するな―前PA閣僚ザイヤド


パレスチナ自治政府PA)の前閣僚ザイヤド(Ziad Abu-Zayyad)は、次のように主張している。
「私はアッバス議長に、ペンス副大統領をラマッラに迎え、その後可及的速やかにワシントンへ行ってトランプ大統領に会うよう勧告するエルサレムに関する発表の撤回を求めるのが目的ではない。どうせ撤回などしない。撤回交渉は政治的にナイーブというべきである。(アッバスのワシントン行きの目的は)トランプに同等の決定を要求するところにある。アラブ側(東)エルサレムに対するパレスチナ人の主権を認めさせ、バランスをとらせることである。更に外交プロセスを(再)機動し、国連にエルサレムを首都とするパレスチナ国家を承認させると共に、占領終結パレスチナ独立国家の建国を保証させる。


トランプの決定は、これを我々が有利になるように、利用すべきである。町の通りで怒号をはりあげ罵声を浴びせ、扇動するだけでは無意味である。上記の目的を達成するうえで、ゆさぶりをかけ注意を喚起するという意味では、我々は住民の抗議を、ここ郷土で、アラブ世界、イスラム世界そして世界全体で続け、拡大していかなければならない


一方、公的及び国際レベルでは、トランプの一方的宣言に引続き反対し、同時にアラブのエルサレムパレスチナ国家の首都として認めるよう運動していく必要がある…。


世論と公式の立場には違いがある。前者は住民の気持が表明されている。後者は、外交ルールに従って抑制し、冷静でなければならない……住民は、通りに出て、抗議デモを行ない、自己の政府や外国或いは諸勢力の政策を非難する権利がある。これは表現の自由言論の自由の一部である。(しかしながら)このような諸国や諸勢力は、通りで住民が何を言っても意に介さない。彼等が留意するのは、公式のチャンネルで公式の立場として伝えられるものだけである。


この数日、ペンス副大統領の当地域訪問をめぐって、アッバス議長の面会拒否や(ペンスの)ラマッラ訪問のキャンセルの可能性をめぐって、いろいろ議論がかわされている。その口火をきったのが、PAの幹部といわれている。ペンスは好ましくない人物(ペルソナ・ノングラタ)であるからアッバスが面会をキャンセルすると言った由だが、本当にそう言ったとしても、それはPAの公式の立場を反映していない。トランプの宣言に対する住民の怒りを代弁しているだけである。トランプは(自分の宣言で)、ムスリムキリスト教徒を含むアラブの心、世界中のムスリムの心と意識に宿るエルサレムへの思いを無視したのである。更にこの(発表)は、合法的な国際諸決議と矛盾してもいる。それには、国連安保理、国連総会決議が含まれる。エルサレムは占領都市でありイスラエルが施行する法令は無効であるとしているのだ。1949年の第4次ジュネーブ協定は、エルサレムと占領下パレスチナ領に適用される。


トランプの決定に対する非難とその決定の危険な影響に鑑みて、ペンスの来訪とアッバス議長が面会すべき理由を考えて然るべきである……つまり、パレスチナ自治政府の意思決定者が公式の立場を表明する前に、トランプ宣言の有利点と不利点を精査し、トランプ宣言でイスラエルが何を得るのかではなく、我々が得たいものは何かを見定めたうえで、我々の立場を形成すべきである…。


トランプは、エルサレムイスラエルの首都と認める、と確かに言った。その一方で彼は、イスラエルの主権下にある地域の境界は、交渉によって決定されなければならないとも言った。そして、エルサレムイスラエルの首都と認める決定は、恒久的なとり決め―それにはエルサレムも含む―をめぐる交渉の結果に結びついていないとも言った。彼は又、ユダヤ人、ムスリムそしてキリスト教徒が礼拝する聖所として、それぞれ西壁、エルアクサ寺院、聖墳墓教会をあげ、聖所の現状維持が尊重されなければならない、と強調した。


エルアクサはムスリムに帰属するとの表明は、そこに対するユダヤ人の願望に終止符をうつ。同じように、イスラエルの主権下にある(エルサレムの)境界は交渉を通して決定されるとも言っている。つまり、エルサレムは、恒久的な取り決めに含まれる問題のひとつということである。つまり、トランプの話に新奇なものは何もない。パレスチナ側指導者を含む人々が、西エルサレムイスラエルの首都で東エルサレムパレスチナ人の首都と主張している。これとトランプの話が大幅にずれているわけではない。


ペンスとの面会やワシントンへ行ってトランプと会う話に反対するのは、市中のパレスチナ住民の怒りを静めることにはなろうが、パレスチナ大義に寄与することはなく、我方人民のためにもならない。それどころか、エルサレムそして我々にとって大きい打撃を与える恐れがある」。


トランプ発表はパレスチナ大義促進になり得る―前首相アドバイザーの意見


パレスチナ自治政府の前首相ファイヤド(SalamFayyad)のアドバイザーであったアル・ゴウル(Hilmi Al-Ghoul)は、パレスチナ紙Al-Hayat Al-Jadidaで、次のように主張した。


「2017年12月6日、トランプ大統領エルサレムイスラエルの首都として“認める”と宣言したことは、和平プロセスとパレスチナの民族的権益に打撃を与え、国際決議や法を侮辱し、正義と自由のはなはだしい侵害である。しかし同時に、それはパレスチナ人の抱える問題のためになる、重要なステップとなり得る。何故ならば、この問題にあらためて焦点があたるからであり、地元、地域、アラブそして国際社会が、更には住民だけでなく政界及び外交界が、見下げ果てたアメリカの決定にこぞって反対している。その反対姿勢がエルサレムパレスチナ人の永遠の都市として認めることにつながるのである。いわば絶好の機会である。


以上指摘したことは、あらゆる分野とレベルにおける反応で明らかである。特に2017年12月9日の国連安保理の態度で明確である。そこでは、14(メンバー)国がトランプの無茶な決定に反対したのである。更に、アラブ・イスラム緊急首脳会議もパレスチナ国家の永遠の首都としての地位を承認したではないか。


トランプの決定は、(パレスチナ人の)民族の権利を抑圧するものであり、新しい段階、外交ゲームのルールの変更の土台となるだろう。それには、我々パレスチナ人側が、次の対応をする必要がある。


(a)和平プロセスに対するアメリカの支援に反対する。
(b) 和平プロセスに関係のある国際組織、そして国際刑事裁判所国際司法裁判所、その他の国連機関などを後ろ盾とする
(c) パレスチナ人の地位を高めるため多くの国連機関に加盟する。


トランプのエルサレム宣言をバルフォア宣言に例える人がいるが、これには違いがある。バルフォア宣言は、国際的反応をひき起さなかった。当時世界は帝国主義が渦まき、或はそれと協調していたからである。そして又、第一次世界大戦後…グローバルな力は、主要資本主義勢力の間で分散していた。従ってあの呪われた(バルフォア)決定は反応を引き起こさなかった。一方エルサレムに関するトランプの決定は、反対と非難に逢着し、世界と二つに分裂させた。一方にアメリカとイスラエル、もう一方は世界主要諸国である。


イギリス、カナダ及び全EUなど伝統的な親アメリカ、親イスラエル国を含め、全体が(トランプの)決定に反対している。つまり、パレスチナ大義特にエルサレム問題について、パレスチナ人にこそふさわしいとの認識を示しているのである。そして、トランプ、ネタニヤフそして彼等に追随する者はいずれもアラブ、地域そして国際外交の分野で槍玉にあがっている。これをパレスチナ側からみれば、新しい水平が開いたということで、その水平は拡大し、パレスチナ国家の承認へ向け、大きいうねりとなっていくだろう。イスラエルは相応の代償を払うことになる」※1。


路上の反米活動ではなく、アメリカ製品をボイコットせよ―全ナブルスワクフ総代


ナブルスのイスラム・ワクフの前総代アル・ダビ(Zuheir Al-Dab`i)は、次のように論じた。
「我々に“怒りの日”は必要ない。我々に必要なのは、覚醒、認識、理解を深めるための(長期に及ぶ)工作である。情報を蒐集し、状況を分析評価したうえで、行動計画をたてなければならない。郷土と聖所のため自己を犠牲にするということでは足りない。効果的な運用原則に従って、体制を整えなければならない。高貴、誠実、信心だけでは、シオニストの体制に対応できないのである。部族の風習と信仰をベースにしている場合が然りである…。


我々のウンマイスラム共同体)と我が同胞に対し不当なことをアメリカが行う度に、我々は声明をだし、抗議しデモをする。それはそれで良いが、充分ではない。効果がないのである。アメリカが我々に不当行為を働く度に、我々は“アメリカに死を”と叫び、アメリカの国旗を焼く。実際の目的はエルサレム、アラブの郷土そしてムスリム諸国で我々の権利をかちとることだけなのでありアメリカその他に死を及ぼすのは本意でない筈である。すべての人間が、尊厳、自由、正義、進歩そして和平を手にする権利がある筈である。


アメリカの国旗を焼くのは、我々のためにならず、不当なことに決着をつけることにもならない。我々を傷つけるだけである。アメリカ(の好戦主義者)は国旗を焼く行為を逆手にとって国民を動員し、我々の権利、我々の郷土と大義に打撃を与えるのである…。


我々はアメリカを初め世界中の侵略者に反対するが、人種主義と憎悪、占領に反対する良きアメリカ人は支持する。アメリカ人のなかには、ヘブロンの旧市、エルサレムそしてナブルスのヤナウン地区の我々の民を支援し、我々の子供達と地元農民、羊飼いの側につく者もいるのである。


我々は暴力反対を叫ばなければならない。暴力は相手の罠にはまるだけである。我々はアメリカ製品のボイコットによってパレスチナ全域、世界の被圧迫民、人種主義と占領の犠牲者を守れる。その力を持っているのだ。アメリカの煙草を吸わず、コカ・コーラを飲まず、ほかのアメリカ製品の購入をやめれば、静かに、怒声もあげず、人類の食料、薬品市場、子供のミルクを支配するアメリカの力に打撃を与えられる」※2。


暴力は避けなければならない―マハムード・ダーラン立法評議会メンバー


パレスチナ自治区の立法評議会メンバーであるダーラン(Mahmoud Dahlan)はアッバス議長によってファタハの組織から追放された人物。トランプの発表について、次のように主張する。


「発表は意図とは逆の効果を生んでしまった。何故ならば、このおかげで、パレスチナ大義が最高に注目されることになり、エルサレムを傷つけようとする行為は、パレスチナの若者達を―低迷と麻痺の状態から立ち直るきっかけを与えたのである。トランプの発表は、(パレスチナ)内部とディアスポラパレスチナ人のインティファダに火をつけ、アラブの広範な支援をうけることになった。このような新しい現実には、政治、外交正面で賢明な行動が必要であり、占領者の罠に落ちないために、武器の使用をやめなければならない。敵は暴力のサイクルを再開しようと狙っているのである。アッバス議長は、占領下にある国家としてエルサレムを首都とするパレスチナ、を宣言すべきである」※3。

1 Al-Hayat Al-Jadida (PA) December 11, 2017
2 Al-Quds (Jerusalem) December 11, 2017
3 Amad.ps December 12, 2017

(引用終)
上記のパレスチナ側の言論は、まるでレーニン共産主義扇動にそっくりであることに注目を。従って、日本の取るべき立場は自ずと明らかになる。
では、パイプス先生のツィッターから、エルサレムへの大使館移動に関して転載を。

https://twitter.com/DanielPipes/status/945274291905589248


Daniel Pipes‏@DanielPipes 22 hours ago


A senior #Jordanian official, quoted in @IsraelHayomEng about embassies moving to #Jerusalem: "Many more countries could do what the US has done after seeing that the region has not been destabilized & only a few thousand protesters took to the streets," http://www.israelhayom.com/2017/12/25/displeased-with-palestinians-arab-states-chart-new-jerusalem-policy/
9:45 PM - 25 Dec 2017

https://twitter.com/ituna4011


@ituna4011 1 hour ago

Lily2 Retweeted Daniel Pipes
ヨルダンの高官もエルサレムへの大使館移転を見ている模様。

https://twitter.com/DanielPipes/status/945272240488239104


Daniel Pipes‏@DanielPipes 22 hours ago

.@JimmyMoralesGT, the president of #Guatemala, has announced (on his personal Facebook account, of all places) the move of his country's embassy to #Jerusalem. Who has the courage & integrity to go next? I nominate #SaudiArabia, as a way to show it's truly under new management.
9:37 PM - 25 Dec 2017

@ituna4011 1 hour ago

Lily2 Retweeted Daniel Pipes
グアテマラエルサレムへの大使館移転。次はサウジか?

(転載終)
メーリングリストからの転載を。

江崎道朗『国士鼎談』を読み解く


・今だからいうのだが、米軍の知り合いは、「日本はアメリカの助けがなければ東日本大震災のような危機に何の対応もできないくらいの構造的欠陥がある国だ」

→「トモダチ作戦を美談に仕上げるのはいいけれども、本来ならば日本のような大国が自分たちで対応できなかったことを恥じるべきだ」と私に言った。

→「表向き、日米友好をたたえるのはいいけれども、本当のところ、恥ずかしい事態だったということについては、どこまでちゃんと認識しているんだろうか」という話をしていた。

→これは、もちろん自衛隊の責任ではなくて、自衛隊を運営する側の問題だ。


アメリ海兵隊幹部が学び続けている日本軍の強さ


海兵隊の幹部が戦史の勉強をするためのテキストがあるが、かれらが必ず学ばなければいけない戦闘がある。その中のひとつが硫黄島だ。


・あれだけ劣勢でありながら、アメリカ軍を苦しませる戦いができたのは、硫黄島の日本軍だけだからだ。彼ら以上に凄い敵はいなかった。だから硫黄島の日本軍のことを研究しなければと考えている。


・もう一つは、沖縄の普天間基地近くで行われた嘉数台の戦いだ


・ここでの日本軍は英知があり、勇気があり、戦略があり、頭脳戦でも優れていた、見事なものだというのだ。


・この2つは必ず海兵隊の幹部は勉強するそうだ。彼らからは、我々は死にもの狂いで日本軍の戦いを勉強しているのに、日本人は硫黄島の戦いも、嘉数台の戦いの(ママ)知らない、自分たちがどれほど凄いのか全然分かっていないじゃないか、といつも言われる。

(要旨転載終)