ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

コプト教会への攻撃

コプトについては、過去ブログをどうぞ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%B3%A5%D7%A5%C8)。
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「メムリ」(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP670916


Special Dispatch Series No 6709 Dec/16/2016


イスラムの名のもとで実行される犯罪は正当化できない。宗教教義の真剣な改革が必要―コプト派教会攻撃に対するエジプト紙社主の主張―」



2016年12月11日、カイロのアッバシア地区にあるコプト派教会が攻撃され、死者25名、負傷者49名の被害がでた※1。このテロ攻撃に対し、エジプト紙Al-Masri Al-Yawm社主ディアブ(Salah Diab)が、イスラムの名において犯される宗教的過激主義とテロ攻撃は、この宗教の評判を汚すだけと主張した。社主はニュートンペンネームを使い、このような攻撃は全く正当化できるものではなく、貧困や社会的不正或いは政治的疎外などで正当化することもできない、と主張。更に、世界に拡散するテロとその脅威が、西側社会の右派勢力の増大につながっているとし、宗教的過激主義と戦うため、エジプトでは宗教教義上の改革に真剣に取り組むべきである、と述べた※2。次に紹介するのは、その記事内容である※3。


残骸の中にたたずむコプト派教会の尼僧(image: Al-Masri al-Yawm, Egypt, December 12, 2016)


この事件は最初の爆弾事件ではないし、これで最後ということでもない。テロには際限がない。しかし、今回のテロ事件の恐ろしいところは、ムスリム預言者ムハンマドの生誕祭を祝っている時に起きたことであるコプト派教会聖堂の入口付近で爆弾攻撃があり、多数の死傷者がでた。犠牲になったのは、老若男女、キリスト教徒もいればムスリムもいた。全員が過激思想とその暴力の犠牲者である。神に祈りを捧げようと礼拝堂へ向かう途中攻撃されたのである。これはすべて、アッラーによって定められた一神教イスラム)の名において、犯された行為である。それは、預言者の誕生日に、この人々がうけた誕生挨拶であった。


世界に対して我々はそのようなメッセージを発信したいのであろうか。預言者の誕生日を選んで攻撃する。このようなことが、他者を狙いうちにしてイスラムとその信徒の間で起きることを、世界にどう説明したらよいのか。しかも寛容を真の剣と説く預言者の誕生日、にである。


この種の犯罪には、何の言訳も無益である。宗教的過激主義は、貧困とか社会正義(の欠如)或いは政治的疎外とは全く関係がない。殺しと破壊で他者の存在を否定する計画でしかない…


この過激主義が世界を変え、極右勢力の抬頭を許すようになった。アメリカ、イギリス、フランス、イタリアその他の国で、この現象がみられる。しかもこれで終りということではない。ひとつの行動には、それに伴う反応がある。反応が反応を生む。全世界の人民がテロを恐れている。そしてこれは、コプト派教会聖堂では終わらぬ波紋をつくりだす。


我々は宗教教義の改革に真剣に取組まなければならない。ここには、本当に真剣に考えなければならぬエジプト人の心の問題があり、それを直す計画が必要である…。

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[1]  Al-Ahram (Egypt), December 12, 2016. エジプト内務省は本事件をムスリム同胞団の犯行と断定した。(次を参照:Al-Yawm Al-Sabi', Egypt, December 12, 2016), しかし、イスラム国(ISIS) が犯行声明を出している。
[2]  シシ大統領は、大統領選出以来、エジプトの宗教省及びアズハルの幹部達に対し、繰返し、宗教上の教義 改革とイスラムの評価の修復を呼びかけてきた。最近の例では、預言者ムハンマド誕生日の12月8日に呼びかけをおこない、宗教上の教義改革に5年以内に着手するように求めている。Al-Watan(Egypt), December 8, 2016. 次も参照:MEMRI Inquiry & Analysis No.1263, Egypt's Al-Azhar Opposes Ministry Of Religious Endowments Plan For Uniform Friday Sermon, August 4, 2016.
[3] Al-Masri Al-Yawm (Egypt), December 12, 2016.
[4] 攻撃されたチャペルは、カイロにある聖マルコ・コプトオーソドックス聖堂の外部である。

(転載終)