ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

‘Russia Today’から学ぶ

(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-entry-217.html)(ユーリ後注:2015年6月初旬より、アドレスを移行された(http://ikeuchisatoshi.com/i-1217/))


・ロシアのメディアRussia Today=RTの報道


ロシアの国策メディアは常に欧米のメディアが言っていることの逆を言うだけなので、現在は欧米メディアが反「イスラーム国」一色だからそれに水をかけている、という面はありますが、通説への一定の相対化の視点として、信じ込んではいけませんが、読んでおく価値はあります。ロシアのメディアは嘘をついたり歪曲情報を流す際にも、頭がいいな、と思うことがよくあります。担当者は嘘と知っていてやっている、騙されて信じ込む人をからかっている、そんな絶妙な諧謔味を堪能させてくれます。それは欧米で騙されてしまう人の心理や背景を熟知しているからでしょう

(中略)

要は、一人の人の言うことを絶対視しさえしなければ良いのです私の話も絶対視してはいけません

(中略)

イスラーム教に勝手な思い入れを投影している「思想家」社会学などの頭にはどうしても入らないであろう、あからさまなイスラーム世界の真実が明らかになる一瞬が方々にあるのだけれども、なかなか理解されないんだろうなあ。


単に「その言い方じゃ理解されないだろうなあ」と思うことがあるが、しかしどう言葉を尽くしたって理解しない人は理解しない。このテーマに関する限り、理解しない人が(理解したつもりになっている人も含めて)日本社会で圧倒的多数だろう。

(中略)

でも諦めてはいけない(これは自分に言い聞かせています)。


日本にはこういう金にならなくても変なことを突き詰めている人があちこちにいるので、そのような才能を生かす社会であってほしい。

(部分引用終)

例によって池内恵氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C3%D3%C6%E2%B7%C3)のブログから部分引用を。非常に参考になるヒントが、この頃小出しに現れるような...。しかも、この歳になってようやく、この私にも背景の意味がつかめるようになってきたという醍醐味!専門外で、日本の普通の学校教育しか受けていない私にとっては、相当の慣れとある程度以上の勉強が必要ではあったが。
‘Russia Today=RT’については、ダニエル・パイプス先生が時々出演されているので、逆時系列順にどうぞ。パイプス先生によれば、これは『プラウダ』を継承した路線だとか(http://www.danielpipes.org/14667/)。

・August 6, 2014 RT America ‘Water War: Jihadists fight for control over Iraq's largest dams’
(http://www.danielpipes.org/14720/jihadists-iraq-dams)


・January 23, 2013 RT: CrossTalk ‘Mali: Target Islam? ’
(http://www.danielpipes.org/12480/mali-target-islam)


・July 5, 2013 RTTV ‘Recent developments in Egypt’
(http://www.danielpipes.org/13076/recent-developments-in-egypt)


・January 20, 2011 Russia Today ‘CrossTalk on Middle East: Shifting sands’
(http://www.danielpipes.org/9352/crosstalk-on-middle-east-shifting-sands)


・May 22, 2011 Russia Today: Cross Talk ‘Arablutionaries’


・June 1, 2011 Russia Today: Cross Talk ‘Yemen's Descent’

この映像を続けて見ると、佐藤優氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%BA%B4%C6%A3%CD%A5)が以前、「ロシアは普通の国になった」と著書の中で述べていたことに、かなりの疑問符が付く。出演者の顔ぶれや背景を知ると、国際関係やイデオロギーの流れが明白になる。その意味で、池内氏が冒頭で書いてくださったことは、貴重である。
そして、パイプス先生は、やはりお父様(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141007)譲りの知恵(「ロシア人は嘘つきだ」)と経験と学識を素直に吸収して、ご自分の専門分野に応用して発揮していらっしゃるんだということが、よくわかる。立場が明快で、安易に揺るがないので、わかりやすいのだ。
ただし、日本文化とは手法が異なるため、文字通りの真似は無理であり、その必要もないと思う。話の筋と背景が把握できて、日本の置かれた位置づけの中でどのように応用発展させていくかが鍵なのだろう。
末尾の一文「金にならなくても変なことを突き詰めている人があちこちにいる」は、(ひょっとしたら私にも当てはまるのかもしれない)と思いながら読んだ。
確かに、T氏にせよ、そのお友達のN氏(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141008)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141010)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141011)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141012)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141017)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20141019)にせよ、アメリカならば「即座に追放せよ」みたいな声がかかりそうなものだが、日本文化はそこが違う。善し悪しは国情が違うので何とも言えないが、冷戦期もそうだったように、何事も二元法で対立して、勝ち負けで相手を排斥すればよい、というものでもない。法に触れていない以上、情報として役に立ちそうならば、手綱を緩めずに警戒しながら、必要なものだけはありがたく頂戴して、国を守る。
という手法でもあろう。その点、日本はもっと賢く、さらに洗練された知性が必要だ。

ついでながら昨晩、マラヤ共産党について少し復習ができた。やはり、共産党共産党だけあって、旧ソビエトや中国の共産党からの指示によって動いていたらしい。ただし、マラヤ各地でゲリラ闘争をし、暴力を行使したため、まずは旧宗主国の英国が警戒したのみならず、地元の普通の人々が、恐怖心から毛嫌いして失敗した。その場合、活躍したのがキリスト教宣教師達だった。新村に多くのキリスト教会が建っているのは、その名残りである。
このように、キリスト教がうまく役立つことも多かったのに、最近では左派イデオロギーに負けてしまい、本来の力が低下して、下火になっている。
ということを、何年か前まで毎年継続してきた研究発表で伝えてきたつもりだったのだが、「理解しない人は理解しない」し、「理解しない人が、理解したつもりになっている」ことも多いのだろう、と改めて思った次第である。