ウィーゼンタール・センター
(http://www.youtube.com/watch?v=k4OsfJYW0gw&feature=em-uploademail)
エイブラハム・クーパー サイモン・ウィーゼンタール・センター副所長 2014.7.24
Rabbi Abraham Cooper, Associate Dean, Simon Wiesenthal Center
国際ユダヤ人権組織「サイモン・ウィーゼンタール・センター」のエイブラハム・クーパー副所長が会見した。エスカレートするガザ紛争についての協会の見解やネットにおける憎悪の問題について述べた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 宇尾真理子(サイマル・インターナショナル)
サイモン・ウィーゼンタール・センターのクーパー氏(64歳)が記者会見されました。日本では、この種のユダヤ啓蒙活動の人脈作りが困難だと聞いていたので、私にとっては少し驚いています。
全部で1時間31分です。
英語版ブログがプロバイダーの事情で6月30日に閉鎖されてしまい(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140701)、まだ後続の新たなホームページを作っていません。従って、例外的にここに紹介することにしました。
1.過去の記憶が希望につながること。
2.ハマスとイスラエルの紛争事例を理解することで、現在の日本の近隣諸国との事例にも応用できるだろう。
3.今のイスラエルは人口800万人で、アラブ系は20パーセント以下。600万人がユダヤ系イスラエル人。
4.ウィーゼンタール氏は、1920年代や30年代にヒトラーが変なユダヤ・ジョークを口にしていた時、単なる冗談だと思った。教訓:「誰かが殺すと言っていたら、真剣に受け留めよ」。
5.フランスでは親ハマス集団との間で激しい対立がある。シナゴーグ爆破なども含まれる。祈りを捧げている人々への襲撃の試みもある。その他の地域でも。
6.我々のセンターは二国家解決策を支持している。
7.ユダヤ系の人々にはトルコ渡航を慎重にするよう言い渡している。反セム主義のエルドアン政権のためだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130911)。
8.無辜の犠牲を見て、心が痛まないはずがないが、全ての責任はハマスにある。
9.2012年の紛争後にイスラエルからガザに破壊された建物の修復のために運び込んだセメントなどは(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130102)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130419)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130703)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130901)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131018)、今どこで何に使われているか?トンネルか?日本も含めた国際人道支援などは、よりよい仕事をしてほしい。本来の目的に沿った援助であるかどうか?
Q&A:
1.毎日新聞所属だが個人見解を:以前インタビューをした。イスラエルでも勉強したし、ガザにも行った。クーパー氏の言うことはわかるが、ガザでこれほど苦しんでいる人々がいることは、ハマスだけの責任ではないのでは?ユダヤ人の苦悩の歴史を踏まえて、より両方の立場から見る必要性があるのでは?
→ 戦闘員の半分がジェノサイドに関与しているテロリスト組織ハマス。三度、イスラエルは人道的な交渉をしたが、ハマスは拒否。公平ではない私の見方かもしれないが、イスラエルに住んでいる私の孫達は、何度もシェルターに。アイアンドームなど防衛技術のおかげで助かっている。悲劇的なのは、ハマスにとっての勝利だと見なす「犠牲者数」。アッバースが交渉相手になれない状態。北朝鮮自由連合の副議長もしているが、平壌指導者は今、イスラエルの防衛装置を注意深く観察しているはずだ。
2.東京新聞:アッバースが議長になってから一度もガザに訪問できないと言われたが、事実は違うのでは?
→ では訂正を。
イスラエルをユダヤ人国家だと言われたし、オバマ大統領も最近そう言うが、イスラエルにはユダヤ人以外の人々も住んでいる。問題を複雑化しないか?
→ 非常に重要な思慮深い問いだ。二重基準を思い出す。欧州にはキリスト教国家と定義される国々がある。ムスリム国家もある。自己アイデンティティ規定に、第三者の許可を求める必要性はなかったはず。先程、「民主的なユダヤ人国家」と言うべきだった。全世界に散らばったユダヤ系の人々が自分達の土地に戻ることは、1947年に国連でも認められた。100パーセントユダヤ人だけの国家だと主張したことはない。ユダヤ人以外の全ての人々の宗教上の自由を守る法律もある。イスラエルの多くの人々が何を心配しているか。ロケットが飛び交う状況であっても、イスラエル人は平和的共存に関与したがっている。パレスチナ国家に向けての援助は喜んで受け取り、イスラエルはパートナーを求めているが、パレスチナ人が援助を受け取った後に、もっと土地を要求してくるのではないかとイスラエルは心配している。長期化すればするほど、二国家共存は難しくなる。ニュージャージー州は、西岸とガザを合わせたイスラエルとほぼ同サイズ(ユーリ後注:実際には現在のイスラエル国家領土は2.2万平方キロメートルの面積で、西岸は5640平方キロメートル、ガザは360平方キロメートル。ニュージャージー州は2万2608平方キロメートル。)二国家が成立した後、即座に隣国に危機を与える国であって欲しくはない。中東と日本の関係については、日本は幸いにもピースメーカーの一員であり、今後も人道援助を続けてほしい。明細をチェックしてほしい。
クーパー氏:ネット上の憎悪スピーチについて、最近、ジュネーブの国連組織が日本政府に厳しかった。過激派、テロシンパの主張が大きな問題に。法の整備のみではなく、包摂的アプローチが必要。ソーシャル・メディアに対する法の強制は不可能だが、インターネットの素晴らしい点はオープンであること。誤ったグローバルな傾向もあり、過激派はフェイスブックから削除され、ロシア・ベースに逃げた。レッドアラートは、ハマスがイスラエルにロケット発射する度に警報で場所を教えてくれるシステム。イスラエル在住の9歳の孫がシェルターに逃げる前に報知が来る。欧州の反セム運動についても、すぐにわかるようになっている。You Tubeのおかげで、過激なムスリム集団に世界中の若者が引き寄せられる状況に。この課題に対する回答は私にはない。いかなる民主的な政体も、インターネット制限をすべきではない。
1985年以降、30回以上、来日している上、他のアジアの国々にも頻繁に来ているが、民主的社会の日本こそ、アメリカの同盟国である日本こそ、これらの諸問題の解決に期待したい。テクノロジーには孫の手を借りる。過激派はネット世界で前戦を仕掛けている。
Q&A:
読売新聞:歴史の記憶について。ナチ・ドイツによるユダヤ迫害は事実。日本が近隣諸国からドイツの戦後対応との比較で批判を受けている昨今。反省すべき点の多い日本でもあるが、どのように考えるべきか。
→ 難しい問題。世界中のどの惨劇や犯罪についても、実際に何が起きたのか解明することが重要。広島やアウシュビッツに匹敵するとは限らないが、個々の出来事が軽いというつもりもない。二十世紀や二十一世紀は、政府側の対応や責任。政府による行為が元になって起こったもの。我々一人一人が、我々の行為一つ一つに責任を担うべき。80代、90代の苦悩を経験した人々がまだ生きていらっしゃる。ラスト・チャンス。慰安婦問題について、補償を行うのがどの程度効果的かは不明。ロサンジェルス在住なので、当事者の苦痛はわかる。例えば、会合を開いて握手し、連帯感を表明し、あるメッセージを伝えるなどの方法も。シリアのアサドは、本当に有毒ガスを民間人に活用した。第二次大戦中、731部隊やドイツ部隊の医療関係者が人体実験をしたことは汚点。一つの集団として学ぶこと。白書の情報開示を。
(以上は、音声を聞きながら直接入力したものであり、通訳氏の言葉と私の英語理解が混在していること、一部省略が含まれていることを、予めお断り申し上げる。)