ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

左翼のお節介体質

しばらく前から、保守派を名乗る日本人男性(でしょうねぇ)のブログ(http://conservative.jugem.jp/)を読みつつ、いろいろと勉強させていただいています。英語原書(という響きも、今では懐かしい...)を次々読破され、要約とご自分の分析と意見を書かれています。昨日付の極めつき文章は「ケリー国務長官イスラエル・ボイコットを煽る」で、ケリー外交の問題点を鋭く突いています。

オバマ外交の根幹は反ユダヤ主義である。

アメリカという国の外交をつかさどる者が、第三国で、偉そうに他国の問題についてのビジョンを滔々と語る。この異常さは何なのか。左翼というものは、もともとの体質がお節介なのであるが、オバマ政権は爆発するそのお節介を、もはや国内に留めておくことができないのであろう。オバマ大統領には元来より反ユダヤの強い傾向がある。 

アメリカという世界で突出した力のある国が迷走に迷走を続けている。

ケリー氏の発言の軽さについては、私も日本に関して少し書きました(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20140209)。かつてはベトナム反戦運動家だったはずなのに(http://pub.ne.jp/itunalily/?search=20519&mode_find=word&keyword=John+Kerry)、いつの間にか日本防衛発言をされているのです。全く当てになりません。(ユーリ後注:(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20140217)も参照のこと。)
上記の保守ブロガー氏の「左翼というものは、もともとの体質がお節介」という記述には笑わされます。キャロライン・ケネディ駐日大使が、最近、伝統的な日本のイルカ漁についていちゃもんをつけたことを思い出します。イルカも無視できないかもしれないけれど、それは動物愛護団体に任せて、今の日米関係で最も大事なのは、やはり東アジアの緊張をどのように緩和し、解決に向かうかではないでしょうか。大使としての仕事がずれていると思います。

そして、アメリカのイラク戦争について、どう見ても当時、私達一般の日本人は内実を知らされていなかったのだと思います(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140213)。イラクイスラエルを攻撃する可能性が常にあったことを知ってか知らずか、今でも「あれは不要な戦争であった」と簡単に『朝日新聞』に書いている論客がいますが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130820)、どこまで当事者に直接話を聞いた上での述懐なのか、不思議に思います。
事情に疎いにも関わらず、単に反戦運動を繰り広げることは、一番楽と言えば楽なのかもしれませんが、最も無責任でもあります。以下の全く相反する意見をご覧ください。アメリカという広大な大国内部の政治思想的な拮抗状態がよくわかります。
チャールズ・クラウトハマー氏のことは、ダニエル・パイプス先生がインタビューをされたばかりか、時々引用されていますし(http://www.danielpipes.org/search.php?cx=015692155655874064424%3Asmatd4mj-v4&cof=FORID%3A9&ie=UTF-8&q=CHARLES+KRAUTHAMMER&sa.x=0&sa.y=0)、マケイン氏を名指しで公然と支援していたのもパイプス先生でした。マーク・カーク氏については(http://www.danielpipes.org/11595/)(http://pub.ne.jp/itunalily/?entry_id=5204241)をご参照ください。
一方、2のノーム・チョムスキーについては(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140210)をご覧ください。
ちなみに、ここで「日本の核武装」とありますが、ハーマン・カーンhttp://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120314)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131026)の『超大国日本の挑戦』には(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131125)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20131126)、既にその記述があったことを想起します(pp.23-26)。

1.(http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/3928745.html
2006/10/21(土)
アメリカは日本の核武装を容認・推奨、デビッド・フラム、チャールズ・クラウトハマー、マーク・カーク、ファレオマバエガ、カーペンター、マケイン、チェイニー・・・最近も、ブッシュ大統領補佐官だったデビッド・フラム氏や、大物政治評論家のチャールズ・クラウトハマー氏が日本の核武装を奨励している。

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下院軍事委員 マーク・カーク議員(共和党
「日本は立派な民主主義国家であり、その日本が核抑止力を得るのは、アメリカの国益にとって明確なプラスだ。核を持った日本は、本当に頼りになる同盟国として、アジアの安定化のためアメリカと一緒に仕事をしてくれるだろう。・・・日本人は世界中で信頼されている。日本が核を持ってくれたら、頼もしい同盟国ができたと喜ぶ米国人は多いはずだ。」
アメリカの軍事力は明らかに過大評価されている。アメリカは中国やロシアと戦争できない。・・・だから僕は核を持った日本に、頼もしい同盟国になってほしいのだ。」

2.『人民新聞』(http://www.jimmin.com/htmldoc/150203.htm
「中東をめぐって」
「3年経ったアラブの春ノーム・チョムスキー
(2013年11月「Zspace Page」翻訳・脇浜義明)


──アラブの春が始まってから3年が経過、中東地域は自由選挙から暴力的弾圧まで万華鏡のような劇的展開を繰り広げています。現時点で、「アラブの春」をどのように説明されますか。


チョムスキー(以下、C)…以前私は、「アラブの春」を「進歩へ向かう作業」と表現しました。しかし、残念なことに今では、「後退への作業」と表現せざるを得ません。
石油独裁資本が、穏健な改革努力を抑えつけるのに成功しました。シリアは、自殺あるいは国家分裂へ突き進んでいます。イェメンは、オバマ無人機によるグローバル・テロ戦争の従属分子。チュニジアは、一種の監獄状態。リビアは、武装部族や民兵集団に振り回され、政府の統治は無力。アラブ世界の大国エジプトでは、軍が残忍な暴力で支配―しかも、それを民衆が支持している有様で、とんでもない間違いです。軍と軍が後押しする「民」傀儡政権は、蜂起で得た言論の自由や自立などの重要な成果を水泡に帰し、厳しい非人間的政治支配と経済帝国を回復させようとしています。どこを見ても良い徴候は見えません。


そのうえ、米英のイラク侵攻が駆り立てたスンニ派シーア派対立が、イラクをズタズタに引き裂き、中東全域に広まっていく不気味な情勢になっています。


アラブ世界には、事実上植民地状態の地域が二つあります。一つは西サハラで、2010年後半の民主化闘争が厳しく弾圧され、自由を求めるサハラウィ人の闘いは今や忘却の彼方に置き去りにされています。


もう一つは、言うまでもなくパレスチナです。現在交渉が行われていますが、それは、不法入植地拡大を制限しないこと、米国の主導と管理のもとの交渉であること、という二つの前提に基づく交渉です。米はイスラエル側に立つ紛争当事者で、安保理決議に拒否権を行使して外交的解決に関する国際的コンセンサスの実現を妨害してきたのです。
現在行われている「交渉」は、イスラエルが西岸地区から必要なものをイスラエルへ統合するが、「人口問題」を避けるためにアラブ人を統合しない、というイスラエルの計画を米国が支援するという事実を覆い隠す「イチジクの葉」でしかありません。さらに、オスロー合意に反してガザを西岸地区から切り離し、非道な封鎖を正当化するだけのことです。


パレスチナに関する見通しは明るくありませんが、アラブの春が放った火花がパレスチナで再燃する可能性はあります。
──民衆の力増大と民主主義に一直線に進むという当初の希望は、消え去りました。あの幸福感は間違いだったのですか。いつ・どこで事態が変わったのでしょう。
C…そもそも、右肩上がりの進歩を希望すべきではなかったのです。アラブの春は重大な歴史的発展の一つで、世界の権力者たちを脅かしました。権力が「我々を政権の座から降ろしてくれてありがとう」と礼を言って静かに去って行くことなど、あり得ないのです。


──西側の対応は、直接・間接の軍事介入から湾岸諸国で見られたように遠隔操作など、多岐にわたりました。一定のパターンはありますか。
C…パターンはお馴染みのものです。子飼いの独裁者をできるだけ支援すること。しかし、軍部や経済界が独裁者に反対したり、その他の理由で支援が不可能になると、彼を追い出し、民主主義への愛を語る鐘の音を鳴り響かせ、それからできるだけ完全に元の状態に戻るように体制を立て直すのです。


これは何度も繰り返されてきました。ニカラグアのソモサ、フィリッピンのマルコス、ハイチのデュバリエ、インドネシアスハルト、ザイール(現コンゴ民主共和国)のモブツ等々、帝国主義者のお馴染みの政策で、その構図を見えないようにするのも、お馴染みです。知識人コミュニティがそれを批判せず、反対に権力に協力し、理屈をつけて正当化するので、見えなくなっているのです。


西側大国が生み出した宗派間対立


──世俗派と宗教勢力との衝突を建設的な方向でまとめる方法はあるでしょうか。西側諸国はどんな役割を果たすべきでしょう。
C…大国システムが、自分の利益になる場合を除き、宗教的対立に建設的な形で関わることは、歴史的にも論理的にも政策分析からも、プロパガンダ以外の動機から見ても、期待できません。特に西側大国はそうです。MENA(中東・北アフリカ)地域では、西側大国(英国と米国)が、世俗民族主義政権への対抗勢力として急進的イスラムを育成・支援してきました。その筆頭が、ワッハーブ派サラフィー主義(説教と戦闘のためのサラフィー)教義を広めようとしている極端なイスラム主義国家であるサウジアラビアです。


米国の「民主主義伝道」に関する優秀な学問的研究があります。学者たちは、「米国の経済的・戦略的利益に合致する場合のみ、米国は『中東民主主義』を支持する」ことを、渋々認めています。


西側の役割ですって?簡単なことです。「自由・正義・人権・民主主義」を支持することです。ロシアや中国に関しても同じです。人民の組織力が政府をその方向へ向けたのですが、今ではもうその面影もありません。その理由は多様です。


──宗派間の緊張が高まっています。2004年、ヨルダンのアブドゥラ国王は、選挙によってシーア派が多い新イラク政府ができると、イランからイラク、シリア、レバノンにかけ「シーア派三日月地帯」ができるとして、スンニ派に選挙ボイコットを求めました。このスンニ派シーア派代理戦争は、中東での諸紛争を理解するレンズになりますか。
C…米英のイラク侵攻の恐るべき結果の一つが、すでに落ち着いていたスンニ派シーア派対立に火をつけ、イラクをズタズタに切り裂く恐怖政治を生み出したことです。しかも、中東全体に拡大しつつあります。


正直に言うと、西側の中東政策を見ていると、嫌でも近代国際法の基礎の一つとなったニュルンベルク裁判を思い出します。ナチを裁いたあの裁判では、軍事侵攻について「全体として種々幾多の悪を蓄積するという点において他の戦争犯罪と異なる最高度の国際犯罪」と規定されました。この「種々幾多の悪」とは、多くの犯罪や残虐行為の原因となる宗派間対立を指しています。


西側の中東政策は、ロバート・ジャクソン裁判官(訳注:米の司法長官。ニュルンベルク裁判で主任検事を勤めた。彼の名言として、「市民が誤りに陥らないようにするのは政府の役目ではない。しかし、政府が誤りに陥らないようにするのは市民の役割である」が有名)の言葉を思い出させます。「我々は被告に毒杯を渡す。もし我々が同じ犯罪を犯したら、同じような結果を受けなければならない。さもないと、この裁判は一種の喜劇、勝者が敗者を裁くだけの喜劇になる」―西側の倫理的・知的文化と文明の格差を測る尺度は、この言葉がどれだけ大切に守られているか、です。


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(引用終)