ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

物事の理解の進め方

昨日のメールのやり取りで判明したこと。今でも思い出す度に笑いが止まらない話です。

パイプス先生(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120531)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120604)がご多忙なことはよくわかるのですが、あの多言語翻訳プロジェクトの意味と機能が、今ひとつよくわからず(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120401)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120407)。緊急ではない質問として、幾つか尋ねてはいます。

それでも、1月半ばに印刷しておいた表を見比べてみると、週に何日かは、フランス語やイタリア語の翻訳が次々と届いていて(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120521)、続いて活発なのがアラビア語ヒンディー語。2004年から2005年頃にかけて、幾つかの主要言語の翻訳リンクサイトを立ち上げられています。昨年秋頃から始まったらしい(アジアの)言語もあります。日本語も、その旨、お話だけは最初からあったのですが、「2,3ヶ月様子を見てから」「翻訳数が最低、○○本以上になってから」と申し伝えてあります。

で、冒頭の笑いというのは、(こんなに勤勉に翻訳を提出している言語があるのだから、支払いは毎月なのかもしれない)と想像して、(それは自己申請なのか、先方から定期的に決まった日に計算して送金されるのか)と、一人で気をもんでいました。アメリカは、何でも質問して、何でも自分で率先してやらない限り、こういう点でも置いてきぼりにされてしまう、と心配してのことです(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120415)。

経理の人に尋ねてみました。すると「自分はどっちでもいいんだけど、たいていの翻訳者達は、半年に一度の支払いだよ」「よければ、毎月一度にしてもいい。ただね、送金手続きの手数料がそっち持ちだから、こちらからの支払額を最低○○ドル以上は確保してからの方がいいと思うよ」。

え〜!それを早く言ってもらわないと困るじゃないですか。ちょっと恥ずかしい話でした。

日本では、送金する側が手数料を払うのですが、アメリカでは、どういうわけか受け取る側が手数料を払う仕組み。それはわかっていたのですが、あれこれと気を回してくれた主人が、早速、アメリカの銀行のカードまで手配してくれたのです。あまり意味がなかったですね。

パイプス先生って、厳しいことをおっしゃったり書いたりされている割には、ちょっとラテン系気質というのか、抜けているところがあるんですよね。そういう、多額ではないとはいえ、お金が動くことについても、面識もないのに、外国の個人宛に、いきなり依頼できるものだなぁとびっくりしていたのですが、できれば、初めから、こういう点についても説明が欲しかったですね。翻訳権や出版社の版権の話と同様(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120405)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120407)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120519)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120531)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120604)、文化相違の問題でもあるかとは思いますが。

2月頃、最初から私がパイプス先生に申し伝えてあったことは、「やる以上は責任を持ってやりたい。お金のためにやるのではない」ということ。「そのために、匿名ではなく、自分の名前を出すことで、責任を表明したい」「訳しながら、いろいろと勉強になっているので、その意味でも、その報酬額で結構です」というものでした。今から振り返れば、なんて健気で真面目なんでしょうか。

多言語プロジェクトの翻訳でも、一時期は取りかかったのであろうものの、開店休業状態のものも何言語かあります。最初の頃は、それもわからず、ただただびっくり仰天の連続。3月下旬には、「1本も翻訳が出てないね」と(締め切りを一日勘違いした)パイプス先生から断られそうになったことがあり(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120505)、その直後、一気に7本出したところ「印象づけられたよ」「支払いをするから、会計係に連絡しなさい」。この成り行きから、(この調子だと、毎回7本ずつ提出し続けないと、やる気がないと勘違いされそうな職場なのかもしれない)と、一人で焦っていました。

ただ、フランス語もイタリア語も、今から7,8年前から始まった翻訳で、ベテランもベテラン。それに、機械翻訳が優秀でもあり、英語から訳すのは、日本語に移すよりも遙かに楽でしょう。というように、私のような新米が戸惑うのも、無理のないことではあります。

一人でマメにパイプス先生に連絡を取り続けている訳者なんて、もしかしたら、今ではかえって珍しいかもしれませんね。うるさがられていたりして....。
国連機関や国際的なNGOで働く日本人は「非常に真面目で優秀で、きちんと仕事をする。日本国内の政治家の印象とは全く違う」と、世界の各地で評判だそうですが、優秀かどうかは別として、生真面目で真剣に物事を捉えようとする傾向は、確かに私にもあります。

ちょっと気が楽になりました。とはいえ、パイプス先生も、冬の頃の勢いから比べると、最近ペースダウンされています。その代わり、若いお兄さん研究員が、フォーマットをパイプス先生仕立てにして、活発に文筆活動をしています。
何だか最近、この話題でいつでもグルグル回っているようですが、こうやって物事の理解は進んでいくのでしょうね。
会田弘継氏の『追跡・アメリカの思想家たち新潮選書2008年)を読み始めました。2012年4月17日に届いた本で、やっと読む時間がとれたというわけです。
会田先生とは、確か、大学での会合で同席させていただいたことがあります。記憶に間違いがなければ、2006年のベネディクト16世レーゲンスブルク発言に関して、マレーシアの事例を挙げたところ、「このマレーシアの話はおもしろいですね」とおっしゃったのが、確か会田先生だったと思います(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071110)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090430)。これを読んでいると、何だか、パイプス著作を訳す作業にも、実感がこもってきました。単に英語を日本語に直すだけでなく、今現在も生きて、世界的に何らかの影響を及ぼそうとして、活発に言論活動を続けている人が書かれたものを、この私がサイバー空間で日本語発信している、という....。
人と人とはつながっているのですね、どこかで(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120126)。