ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

勇気が要りますが

またもやイスラエル非難が浮上したのは、最近のガザ支援船に対する殺傷事件からです。これに対しては、イスラエル国内でも、今回は何てヘマをしたのだという自己批判があるようです。
私自身、必ずしもイスラエルびいきだったのではありません。あの、複雑で、どちらの言っていることが本当なのかわかりにくいパレスチナ問題について、両者の立場や見解をできる限り公平に見なければならない、と思って、数年前から素人勉強を始めただけの者ですが、自分のリサーチ・テーマから、マレーシアというイスラーム圏のあり方に、長年、フラストレーションがたまっていたこともあり、大変に新鮮な思いがしました。と同時に、アラブ・ムスリムの立場も尊重すべきであるものの、彼らによって語られていないこと、隠されている現実をしっかりと直視すべきだということの大切さも学びました。
残念ながら、イスラエルに旅行した時、こんなに高度に発展した社会文化を、政治面からのみ単純に非難するばかりでは、自分が本当にダメになってしまう、という感想を持ちました。エルサレムの旧市街は別として、全体的にユダヤ地区の方がきちんと整い、安心感があったのです。反対に、アラブ・ムスリム地区は、マレーシアの一部とよく似た風景で、どこか雑然としており、わさわさした雰囲気で、怪しげな目つきをした人も見かけました。同行の人が写真を撮ろうとしたら、大声でわめき散らされてできませんでした。一方、アラブ・クリスチャン地区は、またムスリム地区とは違い、明るく広々とした雰囲気がありました。私達がアラブ料理を堪能したのは、ムスリムのレストランではなく、クリスチャン経営のレストランでした。
というわけで、しばらく前に複写しておいた『メムリ』から、重要だと思ったものをここに転写します。日本語だけの情報で世界を見ているならば、ちょっと信じられないようなショッキングな内容が、『メムリ』には掲載されています。もちろん、日本国内で、『メムリ』の立場に対して、イデオロギー的に反論する人々がいるのは知っています。ただ、私がこれを引用する理由は、最近のマレーシアでも、書店や図書館におけるイスラーム文献が、20年前の赴任直後よりも目に見えて増え、アラビア語の表記や語彙も増加し、サイード・クトゥブなどの本が陳列されているのを知っているからです。クルアーン理解も、昨年7月上旬に来京されたマレーシアのムスリム学者からうかがったお話では、最近は、包摂的な広い文脈解釈よりも、より狭く排他的な解釈の方に、人々が寄りかかる傾向があるのだそうです。日本という平和で幸せな島国で長年なじんできた思考法でのみ、世界を判断してはならないのだという教訓として、私は読んでいます。

「メムリ」(http://www.memri.jp

1.Inquiry and Analysis Series No 541 Aug/23/2009


ユダヤ人国家イスラエルの存在を拒否し武力闘争権を堅持する―第6回ファタハ総会の確認事項―」
C・ジェイコブ(MEMRIの研究員)


第6回ファタハ総会は、修正政治計画を批准し、パレスチナ自治政府PA)のアッバス議長が閉幕を宣言、2009年8月13日に終了した※1。
 本報告は、総会の結果を三つの側面から分析するものである。ファタハ憲章が修正されたのかどうか。修正されたのであれば、どこが手直しされたのか。アッバス議長が開会演説で示した立場は、ファタハの政策即ち新しい公式政策を表明したものかどうか。以上の三点を検討する。


イスラエル抹殺意図に変わりなし
 ファタハの憲章は、第6回ファタハ総会のウェブサイトに掲載されたが、総会で討議されなかった。いずれにせよ、憲章の手直しはなく、依然として、次の条項が存在する。
第17条:人民武力革命は至上命令であり、パレスチナ解放の唯一の方法である。
第19条:武力闘争は戦略であり、戦術ではない。アラブパレスチナ人民の武力革命は、パレスチナの解放とシオニストの存在駆逐の戦いで、決定的な役割を果す重大要素である。この闘争は、シオニスト存在体が抹殺され、パレスチナが解放される迄、終ることはない※2。
 総会で批准された政治計画は、憲章について、次のように指摘している。
 「憲章の憲章第一に明示されている目標、原則、手段は、我が運動の出発基点であり、我が人民のイデオロギー上政治上の共通認識であると共に、運動とその基本宣言の共通認識でもある。現代パレスチナ革命の由来を問えば、根底にこれがある。これは帝国主義・人種主義の軛からの解放のベースになっている…」※3。


ファタハの政治計画
 ファタハ総会で批准された計画は、平和をひとつの戦略的選択としているが、同時に、占領に対する武力闘争の継続は正当な権利である、と述べている※4。ほかの抵抗法として、ファタハは、ウェストバンクのビリン村とニリン村が実行したような、分離フェンスに対する抵抗を呼びかけでいる。
 この政治計画は、交渉再開にいくつかの条件をつけている。第1が入植地とエルサレム問題である。前者は凍結。後者は、イスラエルが手を加えている、所謂改変をやめることである。ユダヤ人国家としてのイスラエルを承認することはない。そして、要求には、パレスチナ難民の帰還権と補償が含まれる。
政治計画の主要点は次の通り。

 
・和平の選択肢は持つが、武力闘争は正当な権利
 ファタハは、郷土解放を目的として武力闘争を展開した。この方法を含む他の合法的抵抗手段(muqawama)は、我々の地が占領下にある限り、国際法で認められた、パレスチナ人民の権利である。ファタハ運動は、さまざまな達成手段を手にし、正義にもとづく包括的平和をひとつの戦略的選択として選んだ。しかしながら、ファタハは静止状態を受入れない。奪うことのできない我々の権利を回復するため、各種武力闘争手段を堅持する…。
 闘争は、占領と入植、追放そして人種主義的差別に対するパレスチナ人民の抵抗権に発する。そしてこの権利は、国際法によって保障されている。我々の革命闘争は、我が地の武力略奪に対する武力闘争だけに限定されるのではない。さまざまな方法と手段が含まれている。インティファダ、デモ、ストライキ、住民蜂起、入植者との衝突、政治、メディア戦、法廷闘争、外交戦、占領当局との交渉など平和的手段もある。
 武力占領に対するパレスチナ人民の武力闘争権は、国際法で保障された不可譲の権利として存続する。闘争の方式、タイミング及び場所は、個人及び社会の能力、内外の情勢、力のバランス、組織防衛の必要性、人民の闘争遂行力、持久力にかかっている。
 ファタハの判断では、目的は手段を正当化しない。手段によっては、運動の全体的長期目標と矛盾するものもある。単一の民主国家でムスリムキリスト教徒そしてユダヤ人の共存を保障する人道的解決を当初から提案する場合、特に然りである。ファタハ運動は、創立の当初から戦闘を海外へ移すことや、一般住民を傷つけることに反対してきた。同様にファタハは、武器を勝手に使用する武力のアナーキーに反対する…。


・抵抗のタイプ
 ファタハ運動は、占領に対するパレスチナ人民の、あらゆる正当な手段による抵抗権を堅持する。それには、国際法で保障されている武力闘争権を含む。占領と入植が続き、パレスチナ人民が、不可譲の権利を奪われている限り、武力闘争は続く。
 ファタハは、あらゆる形態の正当な闘争手段を保有し、和平の選択肢も手離さない。この選択肢は、交渉のみに限定しない。交渉を支持し促進するための闘争手段もあれば、交渉目的が達成できなかった場合に備えて投入する手段もある。その闘争形態は現況では次の通りである。
※入植地に対する人民闘争の醸成。この人民闘争は、入植地と分離フェンスに対し、目下ビリンとニリンで展開中の闘争、そして又エルサレムユダヤ化反対闘争を範とする。我々は、この活動の成功を期して、住民を総動員し、アラブと外国人を人民支援に結集し、自治政府諸機関を活用する。一番重要な活動はファタハ運動の指導者、PA幹部、公共機関の代表が、先頭に立たなければならない。
※新形態の闘争及び抵抗手段の考案。それは、人民の創意工夫と、現場指導者のイニシァチヴにより、人民の不退転の決意に発する手段である。
イスラエル製品のボイコット。住民蜂起の一環として、特に地域で代替できる消費物資をボイコットする。更に、南アフリカの経験を利用し、イスラエルのボイコット、イスラエルの製品やイスラエルの諸機関をボイコットするのみならず、イスラエルをボイコットする国際キャンペーンをエスカレートする
※現在の交渉が進展せず成果がない場合、反人種主義、反占領、反ヘゲモニーの統一民主国家を提唱し、或いは1967年の境界を領域とする国家構想へ回帰し、或いは又その他の戦略的代替案を選択する。
※収監者及び拘留者の解放、対外封鎖の解除、域内の道路封鎖の解除を目的とした活動を継続する。
国連を舞台とした闘争の展開。国連特に安保理に対し、紛争解決占領終結の責任を果たし、(国連)憲章第7章にもとづく、拘束力のある決議を採択するように求める。
イスラエルの和平派との直接且つ緊密な接触を再開し、正義にもとづく平和のための活動を再起動する。但し、イスラエルとの関係正常化とはリンクさせない。それは、占領が続く限り堅持すべき政策である…。


・犠牲を覚悟の武力闘争
 占領に対するあくなき闘争と抵抗の心得を教え郷土のためには犠牲をいとわぬ精神を涵養しなければならない。現場指導者は、通常の運動集会、訓練コースで鍛えなければならない。運動がだしたパンフレットを配布する現場活動も必要である。現場指導者と運動活動家は、パレスチナの武力闘争の伝統を不断に教える必要がある。犠牲をいとわなぬ精神を涵養し、気持を新たにするため、機会ある毎に戦闘祝勝や闘争記念行事を挙行しなければならない…。


・交渉のための諸条件
 一定の期間に真の進展をみない交渉を延々と続けるのは、我々の権利に対する脅威であり、無駄である。入植地(建設)と占領深化の隠蔽手段として、イスラエルに利用されるだけである。交渉に意味を持たせるためには、交渉の時が来た時に備えてPLOが定めた次の交渉条件に従わなければならない。
※交渉と実質的進展が結びつかなければならない。実質的とは具体的且つ明確な変化をさす。そのなかで最も重要なのが、入植地特にエルサレムにおける入植活動の完全凍結、エルサレムの性格を変える行動とユダヤ化の完全停止である。絶対みたさなければならないのが、この二つの条件である。条件をみたさなければ、交渉は再開してはならない。イスラエルは(PA領内への)侵入、逮捕、暗殺をやめ、ガザ封鎖を解除、ウェストバンクの道路閉鎖を解除しなければならない。更にイスラエルは、1967年6月4日時点の境界へ撤収する前段として、2000年9月28日時点の線へさがらなければならない。以上が、具体的且つ明確な変化というべきで、これが交渉と結びついて生じなければならない。
※交渉は、国連の主要決議(181、194、242及び338)をベースにしなければならない。更にこれは、アラブの和平イニシァチヴの枠組内で行うものとするが、但しそれは暫定目標及び戦略目標の達成に結びつくという条件付きである。
※新しい国際会議の開催に向け、不断の活動が必要である。その会議は我々の権利を確認し、迅速な交渉による目標達成の道筋をつけるものでなければならい。
※交渉妥結のための、明確且つ拘束力のある時間表、デッドラインがなければならない。
エルサレム、難民問題その他最終解決にかかわる諸問題について、交渉延期に反対しなければならない。
※難民の権利、グリーンラインの向うにいる同胞(イスラエルのアラブ人)の権利を守るため、イスラエルを〝ユダヤ人国家〟として認めることは、絶対に反対しなければならない。この点に関して一歩もひいてはならない。
※交渉には国際社会の関与が必要である。そして、双方に拘束力を持つ合意事項の履行上生じる紛糾について、これを(解決する)調停メカニズムが必要である。その必要性を強く主張しなければならない。
※合意事項の確実な履行を期すために、国際監視と国際平和維持のメカニズムが必要であることを、強く主張しなければならない。
※交渉手段で我々の目標を達成するためには、交渉能力のある専門家会議を設ける必要がある。このような会議はPLOに従属し、パレスチナ諸派と個人で構成される最高委員会によって統制される。これ以外に(ファタハの)委員会も必要である。交渉をモニターし、(ファタハの)中央委員会と革命評議会に報告をあげる役割である。
※最終解決をめぐる交渉で得られた和平合意については、住民投票で承認されなければならない。
※収監者の解放のため大々的活動が必要である。我々は、収監者の解放がない限り、最終合意に調印しない。
※難民の帰還権と補償を保障し、履行のために努力しなければならない。難民は資産回復の権利がある。同じように難民問題は画一的に扱わなければならない。難民の居場所で違いを設けてはならない。1948年の領域に居る難民についても然りである。ファタハは、難民問題が解決する迄、難民キャンプを保持するのが大事であると考える。難民キャンプは、故郷帰還の権利を奪われた難民が存在することを物語る、基本的な政治的証拠なのである。難民が生地の町へ戻るまで、国連パレスチナ難民救済機関UNRWAは国際担当役として保持し、難民問題(の存在)を認知させておかなければならない。それと同時に、難民の状態と難民キャンプの状態を改善し、PLOパレスチナ難民を代表する政治的権威であることを強調しなければならない。
パレスチナ難民の強制的再定着や、代替郷土の呼びかけには、断固として反対しなければならない。レバノンでの再定着はなく、ヨルダンが代替郷土になることもない。
ファタハは、ユダヤ人国家としてのイスラエルを認めない。そして、イスラエルが、1948年の領域内の我が同胞(イスラエルのアラブ人)を完全な権利を持つ市民として認めることを、要求する。
エルサレムパレスチナ国家の首都に認めなければ、平和はない
エルサレムパレスチナ国家の永遠の首都として回復されなければ、平和はない。ファタハは、エルサレムの併合や入植地建設、住民の追放、エルサレムの性格改変に関するイスラエルの決定を無効と考える。(このような決定の)結果はすべて排除しなければならない。国連のエルサレムユダヤ化非難決議の履行を求めて、行動しなければならない。エルサレムは、1967年に占領されたパレスチナ領の不可分の一部である。従ってファタハは、次の点を死守する。


 聖都エルサレムパレスチナの永遠の首都として回復アラブ郷土、ムスリム及びキリスト教世界の永遠且つ精神的首都として確立するエルサレムに対しては、ユダヤ化、入植地建設、パレスチナ領からの切り離しに対し抵抗、防衛するため、あらゆる形の支援を与えなければならない…※5。


ハマスとの対話失敗に備えたファタハの対応策
 郷土は二分裂状態にある。この分裂継続は、パレスチナ人民の民族上の大義に脅威となる。この状態の生起と継続の責任はハマスにある。我々は、民族対話を成功に導くために、行動しなければならない。ガザの分裂状態に終止符をうち、議長選と立法評議会選の同時選挙を実施する統一政権をつくるのが、対話の目的である。郷土と住民の安全を守るための治安機関の統一、クーデターと分裂がもたらした結果の検討、民族和解、囚人の全員釈放も、対話の課題である。ハマスの頑迷に起因する対話の失敗があっても、これが最優先事項であることに変わりはなく、我々の対話継続決意が変ることもない。しかしながら、ファタハは決裂に備えて次の対策を講じておかなければならない。
※既存の状況が求めるところに従い、ガザにファタハ運動を再建し、現在の分裂状況に対応できるよう我方の組織(タンジム)に十二分の支援を与える。
パレスチナ人民が分裂と独裁政権に対応できるように、ファタハ運動のエネルギーを人民に指向し、鼓舞する。
※(我々の)行動基準とパレスチナ人指導者の伝統的行動基準から逸脱したハマスの行動を非難し、パレスチナ人民に対しておこなっているハマスの犯罪行為を非難する。
※暫定的にアラブ諸国に治安支援を求める。
アラブ、イスラム世界で報道活動に力を入れ、ハマスの政策と行動について真相を伝える


アッバスの基調演説
 パレスチナ自治政府PA)のアッバス議長はファタハ総会の開会演説で、次のように言明した。
「入植地、分離フェンス、家屋の破壊や収用に対して我が人民が展開している人民闘争は、我が人民の創意工夫の才を示す好例である。人民は、世界の良心に訴え諸国民の支持をとりつけることのできる、さまざまな闘争形態を編みだしている。
 私は(東)エルサレム、ベイリン、ニリン、マスラ等々の住民に敬意を表する。希望と決意そして勝利への確信を武器として、無防衛の民が占領者の行為に反対して抗議するデモ参加者を尊敬する…。
 我々は平和を選択し国連決議ベースとする交渉を強調するが、国際法で保障された合法的抵抗に関し、その基本権利を保持する。この権利は、我々の認識、民族的コンセンサスと結びついている。我々は過去の経験に学ぶ。そして、ずるずるひきづられて、人民の揺るぎない確固不動の精神と崇高なる道義、そして闘争心が傷つくことがないように気をつけながら、適切な闘争形態を選択し、タイミングをはからなければならない」※6。
※1 2009年8月13日付www.fatehconf.ps
※2 www.e-fateh.org
※3 2009年8月13日付www.fatehconf.ps
※4 総会でファタハの政治局長シャス(Nabil Sha'th)は、次のように言明した。
  「政治計画は、闘争の形態と手段を明示するものであり、国際法で保障されているパレスチナ人民の武力闘争権を重視すると共に、投石インティファダ時(1987−1991)に考案されたさまざまな闘争法を重視する。それには、ビリンやニリンで使われた闘争手段、政治外交戦及び交渉が含まれる」。
2009年8月10日付Al-Ayyam (PA)
※5 2009年8月10日付Al-Ayyam
※6 2009年8月5日付 同上

2. Special Dispatch Series No 2986 Jun/3/2010


「ガザ行き船団乗船活動家と支援者は何を考えていたのか―MEMRI TV クリップの伝える殉教道―」


イスラエル海軍は、2010年5月31日までに「フリー・ガザ・ムーブメント」の船6隻をイスラエル沖で拿捕し、アシュドット港へ回航した。次に紹介するのは、このガザ行き船団に関するMEMRI TVプロジェクトのビデオ3本である。


1本目はガザを拠点に活動するイエメン人教授ヌマン(Abd Al-Fatah Nu'man)の主張で、乗船する英雄達がガザ突入を願えば願う程、殉教の選択肢が望ましいものになる、と殉教をたたえた。2010年5月28日付Al-Aqsa TV。画像を見る場合は次を参照。http://www.memritv.org/clip/en/2490.htm


2本目は、ガザ向け出航前の船団の模様についてのリポートで、船上の活動家達がインティファダ讃歌を歌い、殉教賛美の言葉を唱える光景が映されている。2010年5月28日付 Al-Jazeera。画像を見る場合は、次を参照。http://www.memritv.org/clip/en/2489.htm



3本目は、エジプト国際法学会メンバーのオマル博士(Ahmad Hassan Omar)の呼びかけで、トルコその他の諸国は支援船団で兵器をガザへ運び難民をアッコへ戻せ、と主張している。2010年5月18日付Al-Jazeera。画像を見る場合は次を参照。http://www.memritv.org/clip/en/2478.htm


1)信仰で武装した人のガザ行き熱望は、殉教の機運を強める―イエメン人教授

ヌマン博士
「〝船団〟という言葉や、ビュレント・イルディリム司令官に関する話は、地中海がイスラム艦隊で一杯だった往時を想起せしめる。今日、再び、我々は艦隊の潮の香を嗅ぐことになった。この艦隊は火砲を装備せず、武器を運んでいるわけではないが、同じ潮の香を運び、信仰で武装した信念の人々を乗せているのである。
 

 昨日、通信社のニュースを見ていると、シオニスト達が船団を拘束し、ガザ突入を阻止しようとしているとの報道があった。船団には信仰と意志で武装した人達が乗船し、「ハイバル、ハイバル、おおユダヤ人共よ、ムハンマドの軍勢が戻って来るぞ」と高らかに詠唱している。デッキに立つひとりの女性は、「教えに殉じるか。ガザ突入を果すか。私達には、この二つの善きことがあります。どちらになるか、期待して待ってます」と語った(注.ハイバルは628年頃ムハンマドの軍勢がユダヤ人達を撃破したハイバルの戦いを指す)。


この湖の香は、世界のイスラム社会に対するメッセージである。イスラムが来る。ガザは、イスラム社会を始動させる尖兵なのである…。
彼等が恐れているのは、イスラム社会の覚醒である。問題は船団の入港や救援物資の到着ではない。船団そのもの、ガザそのものが、シオニストにとって(アラブの)支配者にとって恐怖なのだ。今回の行動は、軛につながれ迫害され弾圧されている社会を覚醒させるものである。この行動におびえているのは、シオニストだけではない。アラブ・イスラム社会を圧迫する支配者達が恐れおののいているのだ。


今、我々が話をしている今、暗黒の洋上にあって、たなごころをアッラーに向け懇願する英雄達。彼等は何を願っているのであろうか。預言者ムハンマドは言われた。アッラーのため己れの足を埃まみれにした者は、地獄の業火から救われる。雌ラクダの乳しぼりに要する時間ほどしか戦わなかった者も天国に場所を得る、と。この英雄達は、この任務即ちイスラム社会の覚醒任務を遂行するため、アッラーに選ばれたのである。名誉なことである。


昨日、船団の司令官が、「我々はシオニストを寄せつけない。我々はシオニストに対して抵抗を展開する」と言った。何を以て抵抗するのであろうか。爪で抵抗するのだ。彼等こそアッラーのために殉じることを願う人々である。彼等がガザ突入を願えば願う程、もうひとつの選択肢が望ましいものになる。
我々は二つの善きことが同時にかなえられるようアッラーに祈る。彼等がガザの海岸に無事上陸し、我々と共に殉教を許され、エルアクサモスクの壁に、征服者としてまつられるよう、我々はアッラーに祈る」。


2)インティファダ讃歌を歌い殉教を賛美する活動家達
リポーター:イスラエルの威嚇と予期せざる障害にも拘わらず、会合地点に集結した船団は、ガザ突入の準備を進め、参加者の心はいやがうえにも燃えあがっています。
参加者達:ハイバル、ハイバル、おおユダヤ人共よ、ムハンマドの軍勢は必ず戻る。
リポーター:パレスチナインティファダ讃歌を通して、参加者達はガザ到達の願いを表明しているのです。
参加者その一:船上の兄弟達は雄叫びをあげているのだ。やる気満々だ。まわりの海上にいる船と共に今や遅しと出航を待っているところだ。アッラーの思召で、我々はガザへ向かう。

参加者その二: ガザ到達も善、殉じることも善。我々は、どの善になるか待っているとこです。


3)支援船団を武器運搬と難民帰還に使え―エジプト人国際法専門家
インタビュー記者:イスラエル外務省のスポークスが、(フリーダム船団)キャンペーンは挑発であり、イスラエルの法律を侵害する行為である、と言いました。法的側面からみて、これをどう理解したらよいのでしょうか。
オマル博士:1973年にだされた国連総会決議3103は、外国人、人種主義者で構成される占領軍に対する戦闘員の基本的権利を認めている。この決議によって、世界の全国家は、食糧と武器供給の形でガザ回廊とウェストバンクを支援する権利、いや義務があるのです。更に、パレスチナ難民の帰還に関する決議194を履行する時もきています。この船団は食糧と武器を運搬するだけでなく、郷土帰還を望むパレスチナ難民を運ぶこともできます… イスラエルは、ガザ回郎を封鎖しているのであるから、援助のための合法的チャンネルについて語ることなどできない。私の意見では、トルコが…
記者:しかし、そのようなチャンネルは存在するのではありませんか。
オマル博士:イスラエルが力ずくで包囲しているのであるから…食糧、水、建設資材だけでなく、武器をガザに供給する必要があります。武器は是非供給しなければなりません。これは革命家の武器であるからです。そしてガザ回廊には援助がなければなりません。
難民がガザ回廊、アッコ地区へ帰還するのを助ける必要もある。国連分割決議によると、そこはパレスチナ・アラブ国家に属するからです…。
諸国には、この武器と食糧をガザに供給し、難民の帰還を可能にしてあげる義務がある。
難民の帰還に関する決議194には、トルコ、フランス及びアメリカで構成される委員会について、言及がある。トルコがこの委員会を復活できる筈である。そうすれば、安保理決議1559の第6条に従って、難民の帰還を促進できる。レバノンから少なくとも50万の難民をアッコへ帰還させるのです。
この支援キャンペーンは、食糧と水だけに限定してはなりません。(船には)帰還難民とパレスチナ革命家への武器も含めて然るべきでした…。私がすすめるのはトルコです。トルコの兄弟達に、輸送手段としてホバークラフトを使って貰いたい。
記者:しかし、この一連の提案は、この船団に対する国際社会の公的支援を必要とします。今回のキャンペーンは、このような支持を得ているのでしょうか。
オマル博士:国連決議3103は、これら諸国にガザ回廊への援助提供を義務づけています。ホバークラフトなら、車両と支援物資を全部輸送できます。ガザの砂浜に揚陸できます。
今後ガザへの援助キャンペーンは、全部ホバークラフトにすることができます。私は国際イスラム銀行に話をしました。ホバークラフトを購入し、ガザへの援助を希望する国に提供せよ、と提案しました。

(引用終)