ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

もっと音楽と読書を

まさかとは思いますが、念のため。暇だから本を読んだり音楽を聴いているのではありません。時々、そういう勘違いをする人がいるので...。
時間は捻出するもの。お金と同じです。そうやって、初めて身につくものも多いと思います。
指揮者のズビン・メーター氏が、ユダヤ人でもないのに、ギャラには関係なく、イスラエル・フィルの指揮を引き受けているのは、いつ何が起こってもおかしくないイスラエル国内で、人々がどれほど音楽を希求し、全身全霊で演奏しているかに深い感銘を受けたからだそうです。湾岸戦争直前でも、万全の体制を整えつつ演奏会を開き、いざ開戦となると、場所を移して小さなホールでも演奏会を続けたとのこと。演奏中にスカッド・ミサイルが飛んできたと警報が鳴った途端、かの故アイザック・スターン氏らも含めて皆、防毒マスクをつけたようです。そうまでして、音楽を続けたいという人々の思い....。そして、誰もが常に解釈をしている。考えている。だから演奏にも力がこもる、といった具合だそうです。
そういう話を知ると、だからこそ私も、いい音楽に触れていたい、と強く願うのです。
それと、何でもパソコンで調べるという風潮ですが、並行して、やはり本を読まなければなりません。これは強調してもし過ぎることはない。本というのは、暇つぶしや娯楽ではなく、読み応えのある新しい内容を含むものを指します。そして何より、専門分野以外の古典を読むこと。常に自分に刺激を与え続けなければ、どんどん退化していきます。専門分野を把握しているのは、当然のことなので、その知識の多寡を威張ってみても、意味がありません。
最近になってうれしいことは、音楽関係の本を読んでいて、曲名が出てくると、その旋律が頭の中で自然に流れるようになってきたことです。5歳から大学院1年まで、ずっと音楽学校に通ってピアノを習っていたので、ピアノ曲はある程度知っていたつもりでした。でも、自分が練習して弾ける曲目は、技能的にも物理的な時間からも非常に限られているため、弦楽器や管楽器などは知らない曲も多かったのです。ところが、この頃は、演奏家にまつわる本を読んでいると、それぞれの曲について、頭の中で音楽が流れ出す。そして、文脈が立ち上がってくる。目の前に作曲家や演奏家がいるような気がする。私にもそんな経験ができるようになるとは、予想もしていませんでした。

話は変わりますが、昨日、『ニューズウィーク』の2009年2月号を読んでいて、日本は世界貢献をしないというイメージが相当強いんだなあ、と愕然としました。私など、黙々とそういう仕事をしている人々と知り合うことが多かったためか、全体が見えていませんでした。だからこそ、日本語だけで本を読んでいては駄目なのだと思います。英語はもちろんのこと、私の場合ならば、マレー語は当然としても(これは結構、内容で気落ちする...)、ドイツ語やスペイン語は、もう20年以上も毎日勉強しているのだから、ぐいぐい読めて当たり前、というぐらいでいなければ、恥ずかしいのです。いや、申し訳ないと思って、がんばる。
というわけで、昨日もいろいろとCDを借りてきました。以下は、そのリストです。
・“Mario Brunello, cello, Andrea Lucchesini, piano”, G.Lekeu‘Sonata for cello and piano in F major'/F. SchubertSonata for Arpeggione and piano in A minor, D.821’2004.
・“Faure:Requiem”(入祭文とキリエ/奉納唱/サンクトクス/ああ、イエズスよ/アニュス・ディ/われを許し給え/楽園にて)「パヴァーヌOp.50ケクランフォーレの名によるコラールシュミット思い出の中にOp.72, No.2 フォーレの名によるスケルツォラヴェル亡き王女のためのパヴァーヌPhilips, 1993(ロンドン・聖ヨハネ教会で録音).
・“Messian: Organ Works. Simon Preston1.キリストの昇天―4つの交響的瞑想1934)(みずからの栄光を父なる神に求めるキリストの祈り/天国を希求する魂の清らかなアレルヤ/キリストの栄光をわがものとした魂の歓喜の高まり/父のみもとへ帰るキリストの祈り)2.栄光の御体―復活の7つの短い幻影1939)(栄光のからだの精妙さ/恩寵の泉/芳香をもつ天使/死と生との闘い/栄光のからだの力と敏捷さ/栄光のからだの歓喜と輝き/聖なる三位一体の神秘)3.主の降誕1935)(聖母とみどり児/羊飼たち/永遠の摂理/御言葉/神の御子たち/天使たち/イエスは苦しみを受けたもう/東方の三博士/神はわれわれのうちに)4.聖餐式1928)(ロンドン 1962/1970/1965年 録音).
・“Bernstein: Symphony No.1Jeremiah’”Israel Philharmonic Orchestra, Deutsche Grammophon, 1977/1981.(交響曲No.1エレミア預言/冒瀆/哀歌≪ミサ曲≫からの3つの瞑想曲―チェロと管弦楽のための―映画『波止場』からの交響組曲)クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)/ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
・『ゴーティエ・カピュソン&ガブリエラ・モンテーロ ラプソディ2008年 EMIセルゲイ・ラフマニノフ作曲 チェロ・ソナタ Op.19/ヴォカリーズOp.34-14/パガニーニの主題による狂詩曲Op.43より第18変奏セルゲイ・プロコフィエフ作曲 チェロ・ソナタ Op.119
・“Daishin Kashimoto Passionata2001年 Sonyイタマールゴラン(ピアノ)プーランク作曲「ヴァイオリンとピアノのためのソナタグリーグ作曲「ヴァイオリン・ソナタ No.3, Op.45フランク作曲「ヴァイオリン・ソナタ イ長調

昨夜は、もう1枚、注文したCDが届きました。二曲とも、神尾真由子さんのチャイコン優勝にまつわるテレビ番組の中で、彼女が10歳でN響デビューした時の演奏会や帰国後の凱旋演奏会から、部分的に流れていたものです。このように、何がきっかけで曲を知り、CDを購入したり、その曲が奏されるコンサートに行ってみたいと思うようになるかはわかりません。だから普段の地道な活動の継続が大事だというわけですね。
・“Lalo: Symphonie Espagnole/Saint-Saens: Violin Conceroto No.3Itzhak Perlman/Orchestra de Paris/Daniel Barenboim, Deutsche Grammophon, 1980/1983.
いずれも、明るく伸びやかな曲です。パールマン氏のみずみずしい音色にぴったりです。ただし、これらを弾きこなすのは相当の力量がいるということも、わかって聴いているつもりです。