ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

いよいよ年の瀬

今朝の散歩時には、小雪が舞っていました。近所の低い山々も、ほんのり薄綿に覆われているかのようです。
パソコンの立ち上げを待つ間などの細切れ時間に『神谷美恵子日記』を読み進めています。『生きがいについて』などの著作を、例によってノートをとりながら読んだのは、10年ほど前のこと。やっぱり優秀な女性は違うなあ、と圧倒されていたのに、今、この編集された日記断片を読んでみると、結構なお歳になっても、まだ内面に揺れ動きがあることが、実に新鮮でした。あの当時は、専門職の女性が家庭と両立して仕事を続けることが、今以上に大変だっただろうと思います。ところどころでH夫人とやらが登場してきて、どうも育児や家事全般について、神谷美恵子氏に説教を垂れていたらしいのです。驚いたことに、神谷美恵子氏は、人から何かを言われて割合に尾を引くタイプでもあったらしく、H夫人と会う度に、その後の数日間は憂鬱な思いでいらしたようです。
では、愛情不足を反省しながら懸命に育てられたお二人のご子息は今何をされているのでしょうか。ご長男は東大で生物学の教授をされ、ご次男は音楽家としてご活躍のかたわら、ストロー奏者としても名を馳せていらっしゃるそうです。個人的には、ご次男の方に興味を惹かれました。お顔立ちも芸術センスも、どうも美恵子氏に似ていらっしゃるのではないか、と思われます。こうしてみると、遥かかなたの遠いご存在だと思っていた神谷美恵子氏が、俄然、一時期は同じ空気を一緒に吸った同士のように感じられるのが不思議です。特に、関西在住なので、地名になじみがあることも大きいでしょう。(あ、あそこで息子さんの買い物をされたのか)などと、親しみがわくからです。

また、佐藤優氏の本を2冊読み、興味を持った箇所に付箋をつけてからレポート用紙にまとめておきました。普段、こういう方面の本を読むことがないため、新鮮でおもしろかったです。一番参考になったのが、神学関係の記述でした。(へえ、同志社神学部図書室の近くには、そんな‘いかがわしい部屋’があったなんて)と思いましたし、(そういうことをやっていたから、今、ああいう牧師がいるんだな)などと気づいたりしました。一度、神学図書室の書庫に入ってみたいのですが...。歴代教授陣がどのような文献で勉強されていたのか、楽しみです。

日本のムスリム社会に関する数冊は、率直な感想として、初めて知ることが案外少なく、簡単に読めてしまうところが特徴的だと思いました。キリスト教関連の本とは、学部生の頃からずっと格闘しているのに、イスラーム関連文献の方が、読む時間が圧倒的に短くて済むのです。これは、いったいどうしたことでしょうか。いつも、同じ話がぐるぐる出てきて、(こちらが知らないと思って...)と感じさせられることが多いのです。また、私に言わせれば、饒舌に多くを語っているようで、肝心な点が意図的にか無意識的にかごっそり抜けているところも、常に気になります。そして、穏やかに語っているようでありながら、キリスト教の話が出てくると、突然、文のトーンに熱あるいはトゲが入るような感じも、独特だと思いました。

プロの演奏家をめざす子ども達は、コンクールの課題曲を数曲練習し、ある程度まとまってくると、コンクール直前であっても、他の曲も加えて並行練習するのだそうです。つまり、コンクールが終わったらすぐに、次の曲がほぼ完成している状態にもっていく訓練です。ここが違うんですね。私のように、いつまでも反省会をして余韻に浸っていないのです。ある少女など、ピアノの演奏会が終わったら、舞台袖でもう次の演奏会の計画を先生と相談しているような状態だったと読みました。いわゆるソリスト・コースなのですが、そうはいっても、ここからヒントを得て、今の私にも何かに応用が可能かもしれません。