ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

クリスマス雑感

世界的な不景気の中で、朝っぱらから大量解雇などのニュースをラジオで聞くと、(クリスマス・ケーキで浮かれている場合じゃない)と、ぼやきたくもなってきます。昨夕、電車に乗って隣町へ買い物に出かけると、クリスマス・ケーキの箱を抱えた人々が、何人も座っていました。ケーキによって家庭が円満になり、ほんわかと温かい時間が過ごせるのであれば、結構なことです。同時に、そのケーキの材料はどこから来たのか、ケーキおよび包装を作る人はどんな暮らしをしている人なのか、などにも思いを馳せたいものです。
緒方貞子先生が、「自分達だけ幸せになろうったって、そんなことできっこないんですから」と手を振り回しながらテレビで力説されていたのは、何年前のことでしたでしょうか。
近所の図書館では、しばらく前から子ども向け図書の紹介棚に、クリスマスの本当の意味を解き明かす絵本が何冊も並べられていました。福音館書店や女子パウロ会の出版も含まれていて、なかなか筋のいい演出だと感じました。一方、昨日、駅の本屋さんに並べてあったクリスマス本は、サンタクロースは実在するのかどうか、という傾向の絵本ばかりでした。サンタクロースが悪いというのではありませんが、それだけで終わってしまうならば、今一つ本質に迫っていないのではないか、と思います。
北欧の国へ手紙を送ると、クリスマスの頃、サンタさんからお返事が来るという仕組みがあるのを新聞で知り、大学生の時(18歳)、試してみたことがあります。本当に、プレゼントの大袋を抱えてそりに乗ったサンタさんの絵が描かれたカードが送られてきて、びっくりしました。空きビンや風船に手紙をつけて海に流したり空に飛ばしたりすると、拾った人からお返事が来るという話が昔からありますが、いずれにしても、コミュニケーションの一形態として、楽しいものだと思いました。
と同時に、この時期になると、樋口一葉の大つごもりの話やマッチ売りの少女の物語を思い出します。さまざまな境遇に置かれた人々のことを常に忘れないでいたいものですが、つい、エゴが前面に出てしまうところが、やっかいです。
昨日送られてきた矢内原忠雄氏のご著作の中に、こんなくだりがありました。戦時下で言論統制が厳しくなった頃、ある人が自己の信念のために公権力から圧迫を受け続け、とうとう職を辞したのだそうです。とはいえ、暮らしのために、やむを得ず、矢内原氏の本を売りに出さなければならなくなり、「先生、申し訳ありません」と葉書が来たとの由。矢内原氏は、「売りなさい、売りなさい、そして生きていくのです」と激励されていました。