ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

小さくても...

「もうそろそろ、自分が研究者だという自覚を持ちなさい」
と、今回も叱られました。

でも、大学院の時、教官から言われたんです。「お前は、実力以上に学歴を持ち過ぎたんだよな。高卒か大卒でやめておけば、こんなこと言われずに済んだのに」「研究していると言うと偉そうに聞こえるから、勉強していると言いなさい」。
「主婦なら主婦らしくすれば、問題なんて即座に解決するじゃないの。二足のわらじを履こうとするから、悩みが出てくるのです」と、真剣に言われたことがあります。
確かに、オランダ語アラビア語をやるべきだったのに、ドイツ語やスペイン語ばかりに夢中になり、聖書学の膨大な蓄積にただただ震えおののき、イスラエルに行って聖書世界に対するあまりの無知と誤謬に驚愕し、ハーヴァードで欧米の研究の厚みと高度さに敬服するばかり。つくづく人生選択を誤ったという思いをしています。知らなかったから、つい足を踏み入れてしまっただけで、現実を知ると、ただうなだれて黙すのみ...。
だから、研究者だなんて、おこがましくて言えません。調べごとをしていただけなんです。でも、勉強ぐらい自由にさせてくれてもいいじゃないですか。何も悪いことをしているわけじゃないのに、どうして、ここまで責めてくるんですか。本当に、放っておいてほしい。もうこれ以上、人の人生に対して、がちゃがちゃと邪魔しないでほしい。ただでさえ、二十代から三十代を棒に振っているのに。
だから、マレーシアと関わると人生が終わるという指摘は、確かに正しいんだと思います。
昔は、聖書ぐらい、東大駒場で教養でした。前田護郎先生がお泣きになりますよ。
図書館だけは規定内で好きなように使わせてほしい、口頭発表は日本語で報告義務だけ果たさせてほしい、結局はマレーシアに送るために英訳しなければならないのだから、初めから英語で書かせてほしい、それだけです。「私達が読むから」と言ってくださる方もいらっしゃるのに、まだお約束が果たせていないのです。アメリカの元外交官から夏にご連絡をいただいていて、まだ書けていない原稿もあります。

ところで、マレーシアの福音ルーテル教会の司教がグアテマラで亡くなりました。どうやら意図的ないしは不慮の事故のようです。昨日の‘Lily's Room’http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20081201)をどうぞご覧ください。いつも、各種声明には署名されていた方だったので、ニュースを知ってぎょっとしました。
昨日、マレーシアから『ヘラルド』が届きました。またまた恐ろしいニュースが続いています。

・『ヘラルド』裁判でムスリムが関与することを留める
・モスルで殺害された2人のクリスチャン姉妹の母が亡くなる
・「イラク人クリスチャンは国を去れ、さもなくば喉を掻き切る」と脅されている
などなど。

こういう事情を目の前にして、変な理屈をつけて分析なんてできません。筑波大学名誉教授の池田裕先生も、私におっしゃいました。「こういう書き方の方が、むしろ説得力があってよい」。ヘブライ大学で博士号を取得された旧約学の先生がおっしゃってくださるのに、どうして事情をご存じない方が、変なことを言って歪めてくるんでしょうか。

よいニュースとしては、ミサでタミル語の答唱詩篇を用いる準備ができたことです。Fr. Anthony Thomasのご尽力によるものですが、この司祭から本当に温かく丁重に接していただいた2000年11月の滞在を、今、しみじみと思い起しています。小さくてもあたたかい思い出を大切にしたい...。

(後記)福音ルーテル教会司教のご逝去については、‘Lily's Room’http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20081218)にも追悼文を2件引用いたしました。