バカバカしい余談を一つ
むじな@台湾よろず批評ブログ(http://blog.goo.ne.jp/mujinatw/)
「マレーシア・カトリック教会の妄言 アッラーはイスラームの神であってキリスト教は使うべきではない」2008年1月2日付
英語系通信社では報じられていたが、最近マレーシアのカトリック教会機関紙「ヘラルド」紙が、「マレー語で神をアッラーとする表記であるが、アッラーというのはイスラーム教の神であって、カトリックで使うべきではない」とする意見を表明したという。
参照:
http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20071221 Lily's Room December-21-2007 Religious problems in Malaysia
http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20071222 Lily's Room December-22-2007 Catholic Herald...after that
http://www.iht.com/articles/ap/2007/12/21/asia/AS-REL-Malaysia-Catholic-God.php Malaysian Catholic weekly told to drop use of 'Allah' in order to renew publishing permit The Associated PressPublished: December 21, 2007
これだからカトリック教会って嫌いなんだよな(マリア崇敬の教義はひかれるところもあるが)。
そもそも、マレー語で「アッラー」というのは、イスラームだけでなく、ユダヤ教、キリスト教に共通した唯一神を指すアラビア語の表現から来たものであって、アラビア語ではキリスト教の聖書でも教理集でも、神を「アッラー」と表記している。
もちろん、これが米国みたいに中東に無知で偏見をもったアホどもがいうなら、「どあほ!」で済むのだが、ムスリムが多数派で、マレー語に多くのアラビア語語源表現が入っていて、さらにアラブ世界と密接な関係があるマレーシアで、「アッラーというのはイスラームに限定された神の呼称ではなくて、アラビア語における表現」ということが、理解されていないアホがいるとは、びっくりした。
そういえば、バカが9割以上を占める白痴国家米国では、プロテスタントの牧師が説教で「アッラーはエホバよりも劣った神だ」などと述べたことがあるようだが、今回のマレーシアカトリック教会の立場もこれと通底するもので、それこそグノーシスと同じ(といっても、私はグノーシス思想そのものは好きだが)二神論であって、キリスト教の一神論原理とはまったく反する、それこそ異端説であり、煉獄に苦しむべき人間だということになる。
私はキリスト教徒ながら、中東に行き、マロン派やシリア正教などとも交流しているし、アラビア語聖書も読んでいるので、こんな愚かな勘違いは起こさない。
しかし、世の中にはまだまだ無知蒙昧なのがいるものだとあきれた。それもマレーシアにいるとは思わなかった。
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たまたま検索で見つけたのですが、こういう勘違いコメントが日本語でも出てくるところが、インターネットの一部弊害でもあります。この方はどういう背景を持つのか知りませんけれども、アラビア語はできるような話なのに、実は英語を読めないらしいのです。だからとんでもない解釈をして一人で怒っていらっしゃるようです。私のブログが二回も引用された以上は、責任を感じ、あえてコメントさせていただきました。ああ、時間がもったいない…。
以下に投稿コメントを複写しましたが、ブログ作成者によるスクリーニングがあるため、自動的に掲載されるものではなく、今のところ、コメントはゼロです。
itunalily 「誤解されているのはどちら?」
すみません。私のブログが引用されているので、コメントさせていただきます。普通はこういう話を相手にしないのですが。
誤解されているのは、あなた様の方です。英語ニュースをしっかりと読んでいただければすぐに判明することですが、マレーシアのカトリック教会は、マレーシア政府当局(内務省)から、“Allah”をマレー語版で用いるなら、発行許可を出さないと言われたのです。それで、困ったカトリック教会がニュース記事として告知したのです。
もしも、英語が充分理解できないのでしたら、この経緯については、私の日本語版ブログ「ユーリの部屋」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily)をどうぞお読みください。この問題については、過去に、英語と日本語で論文も出していますので、よろしかったらどうぞ。
昨年のクリスマス前から私が長々と綴ってきた『ヘラルド』問題は、ロイターが簡単に日本語訳して報じているようです。ただ、日本語でのコメントを見ると、皆さん、自分の利害と直接関わらないからでしょうけれども、他人事のようにお気楽で…。長年関わっている者として、私はもっとプロフェッショナルに取り組みたいものです。
今日のまとめとして、カトリックの『ヘラルド』に掲載された拙稿(原文は英語)を、自分で日本語訳して、以下に引用させていただきます。
『ヘラルド:カトリック週刊』2008年1月6日付(Vol.15, No.01)p.11
「編集長様
2007年12月16日付『ヘラルド』の第一面にあった「印刷許可を待機中」の小さな記事に、非常に衝撃を受け、懸念を抱きました。内務省によって、2008年の印刷許可がまだ発行されていないというのです。
『ヘラルド』の内容は、決して反政府的ではありません。ただ、見解や思想の多様性を反映しているだけです。
私が『ヘラルド』の購読を決めたのは、単に、世界情勢やムスリム・クリスチャン関係について、私の住む日本の新聞よりも、より多くのことが学べるからです。私はカトリックではなく、プロテスタントですが、この『ヘラルド』の編集長による努力を高く評価しています。
マレーシアで、過去におけるマレー語やインドネシア語やイバン語や中国語の聖書の発禁問題や、マレーシア語版キリスト教出版物に関する問題の繰り返しは、既に日本人のマレーシア研究者に広く知られています。これらの問題に対する当局の態度は、非論理的で受け入れがたいもののように思われます。
当局が速やかに『ヘラルド』の印刷許可の更新を発行するよう、心から望みます。」
なお、掲載された原文の写しは、新しく立ち上げたばかりの第二弾英語版ブログ“Lily’s Room (Part 2)” (http://pub.ne.jp/itunalily)の2008年1月7日付をご覧ください。
(追伸)今し方、「世界キリスト教情報」のホームページ(http://cjcskj.exblog.jp)で、以下のダイジェスト版ニュースを見ました。
[SKJ]■世界キリスト教情報■第886信 2008年1月7日(月)
◎マレーシア、カトリック新聞の「アラー」使用を禁止
【CJC=東京】イスラム教徒が国民の多数派を占めるマレーシアで、当局がカトリック系週刊紙『ヘラルド』に対し、イスラム教の神「アラー」という言葉の使用禁止を命じた。ロイター通信が報じた。
マレーシア政府は先に、制限事項を撤廃するなど出版規制を改定したが、イスラム教徒以外が「アラー」という言葉を使用することは禁じていた。『ヘラルド』紙のローレンス・アンドリュー編集長は発行許可の更新の際に制限は付けられなかった、と言う。しかし、アブドゥラ・ジン首相府相(宗教問題担当)は1月4日、イスラム教徒以外が「アラー」という言葉を使用することは、許可更新後も引き続き禁止であり編集長の発言は誤解に過ぎない、と語った マレーシアの人口はおよそ2600万人。このうち、マレー系のイスラム教徒が全体の約6割を占めている。□
(c)世界キリスト教情報 連絡先E-mail:cjc-skj@mail.goo.ne.jp
(以上)