ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

思い出の金子みすゞ詩集

名古屋にいた頃(1993年春から1994年春まで)、カンボジア難民の男子高校生の家庭教師のお話があり、週1回から2回、恵方カトリック教会に通っていました。今は吉祥寺教会の司祭でいらっしゃる後藤神父さまは、とても大らかで温かく情熱的な方で、1980年以来、インドシナ難民救援活動の一環として、ベトナムカンボジアの計14人の小中高生を里子として手元で育て、ある子は就職の道を、ある子は大学進学へと導き、社会に送り出されてきました。大半の子ども達は、今や立派に成人し、それぞれに家庭を築いています。
当時、神父さまから、プロテスタント教会では教わらなかったもっと広い世界観や人間観、他宗教との関わりについて教えを受けました。料理も手作りでふるまっていただき、毎回、いろいろな種類のおいしいお酒と一緒にごちそうになったものです。

その経緯と経験談は、自著である後藤文雄(著)『カンボジア発 ともに生きる世界−里子を育て支援を広げる神父の目から−女子パウロ2001年)に興味深く描かれています。ぜひ一度、手にとってお読みくださればと思います。キリスト教あるいはカトリック教会についての見方が、あるいは変わるかもしれません。
神父さまは、80歳目前の今も、カンボジアに年1回は行かれて、学校作りなどをされています。昨年6月には、ご出身地の新潟県長岡市から米百俵賞の表彰を受けられました。もともと大きなお寺のご出身ですが、今や長岡では、子ども達の育て親として名士なのです。
なお、カンボジア支援活動にご関心のある方、特に何か活動に加わりたいと思われる方は、NPO法人カンボジアと共に生きる会(AMATAK)にお問い合わせください(http://www.amatak.org/)。会長は後藤文雄神父さまです。

家庭教師を務めていた1994年2月22日、一冊の詩集を渡されました。『金子みすゞ童謡集−わたしと小鳥とすずとJULA出版局1984年出版/1993第12刷)です。この本は130万部も売れたそうですが、みすゞの写真が、第二次世界大戦終了直前に亡くなられた神父さまのご母堂にそっくりだとのことで、いっぺんに何冊も買い求めて、私達20代の独身女性にプレゼントされたのです。
最近、新聞切り抜きを整理していて、金子みすゞが記事になっているものを10件見つけました。今のような世相だと、こういう芯を底に秘めた温かい詩が、逆に心に染み入るのかもしれませんね。考えてみれば、神父さまは、時代の先を行かれる感性の持ち主だったといえるでしょう。1996年から小学校教科書にも載るようになった詩集をプレゼントしてくださったのですから。
もっとびっくりしたのは、1985年の東京大学の入試問題に、金子みすゞの詩から2編が選ばれていたことです(1998年6月14日付朝日新聞朝刊「ニッポン現場紀行」より)。
どんな問題が出題されたのか知りたいって?受験生の方、それは自分で調べるのですよ。一度出題されたら、もう同じ問題は出ないですし。野暮な話はやめて、ご自分で詩集を手にとって読んでみてはいかが。

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