ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

『ベートーヴェンの生涯』

2007年8月19日付「ユーリの部屋」で、保存しておいたテレビの録画記録が、全部再生不可になってしまったと書きました。

主人のいとこのお葬式から帰ってきた後、修理に来てくれたおじさんが、本当に済まなさそうに何度も謝るので、こちらも気の毒になってしまいました。主人に言わせると、これは技術者の設計ミスであり、現場で修理して回る担当者の責任ではないそうです。私の場合は、いわば‘趣味’のクラシック音楽を録画したものなので、損害はそれほど大きくはないとはいえ、お客さんの中には大事なデータが壊れてしまい、怒る人も多いだろうと想像されます。

そうは言っても、私もじわじわと落胆しているのも事実です。五嶋みどりさんの「絆」、五嶋節先生の民放出演、ギル・シャハム氏と江口玲氏の来日リサイタル、アラン・ギルバート指揮による庄司紗矢香さんのブラームスエレーヌ・グリモーのピアノとアシュケナージの指揮などなど、これまでコツコツ集めてきた貴重な映像が、全てダメになってしまったからです。

ギル・シャハム氏と江口玲氏の場合、さすがはお二人の熱烈なファンがとても良い方達で、早速、そのお一人が、私に録画のコピーを送ってもいい、と言ってくださいました。お気持ちはうれしかったのですが、著作権の問題も絡んできますし、一度そうすると他のも同じようにしたくなってしまうので、とりあえず様子見ということでお返事差し上げました。早く再々々放送を、それも全曲でお願いします、というところです。

なぜかと言えば、今朝、失われた録画データの一つが修復できたからです。とはいっても、機械が元通りになったのではありません。2006年11月10日、第1581回N響定期公演のロジャー・ノリントン指揮による庄司紗矢香さんのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61が、またもや放映されたのです。もちろん私は東京まで行けませんでしたが、当日はラジオの生放送で本番を聴き、テレビの「N響アワー」でも、一楽章だけないしは三楽章だけというのを見、その合間に放送された全楽章を録画し、と言うふうに、既におなじみになってしまったものです。

この時の演奏が話題になったのは二つの要因があります。ノリントン卿による指示で「ノン・ビブラート奏法」が実演されたことと、カデンツアが庄司さん自身によるものだったことです。演出にうまくのったというのか、話題作りに上手に加担したというのか、これで庄司紗矢香さんの知名度がさらにぐっと上がったことは間違いなしです。

時々、客席の向かって左手前方をちらちら見ながら自信たっぷりに愛嬌を振りまく紗矢香さんなのですが、一体、誰に向かってメッセージを送っているのでしょう?昔の恩師?それともご家族?気になるところですねぇ...。

今回の録画で、唯一興ざめだったのは、自民党の人事通知が二回テロップで表示されたことです。うっとうしい!!クラシック音楽を楽しんでいる時ぐらい、政治やら俗世間のことを忘れていたいのに...地震などの緊急ニュースならともかく、本当にセンスに欠ける制作者ですね!
アンコールには、バッハの無伴奏ソナタ第一番ト短調を披露していただきました。これは前回の失われた録画には入っていなかったので、プラスです。

読書好きの紗矢香さんのことは昨日も書きましたが、ずっと前の「ラジオ深夜便」で「小さい頃から、ロマン・ロランベートーヴェンの本をよく読みました」などとおっしゃっていたのを覚えています。昨日の「N響アワー」では、モーツアルトベートーヴェンチャイコフスキーの書簡が紹介されていましたが、やはり曲を本当に深く楽しむには、周辺の勉強も欠かせません。というわけで、私も手元に岩波文庫の『ベートーヴェンの生涯』(ロマン・ロラン著・片山敏彦訳)を持っていますが、早く読みたくてうずうずしています!