思想的に通用しなくなった今
昨日から今日にかけて届いた三冊を以下に。
天皇陛下がもうすぐ代替わりされるとのことで、憲法改正問題も併せて、いろいろと新たに勉強しなければならないことが多い。学生時代に学んだことが、既に思想的に通用しなくなっているからでもある。
私と同世代で、生活や自己実現のためにフルタイムで働いている女性達は、どのように時間をやり繰りして勉強されているのだろうか?
神道文化会創立四十五周年記念出版として、京都産業大学教授の所功氏がインタビューした聞き書きをまとめたもの。しっかりした装丁で非売品。貴重なお写真が多々含まれている。永積寅彦氏は、昭和天皇の大喪の儀でも矍鑠とされていたが、ご子息の永積昭氏については、東南アジア史の大家でいらしたものの、定年前に逝去された。
現在、お世継ぎや眞子内親王殿下のご婚約相手を巡って、ようやく人々が問題の核心に気づきつつある。
戦後、GHQの指示により、十一宮家が皇族ではなくなった。当時は「新生日本の民主化を促進する動向」として、一部で歓迎されてもいた反面、女性皇族の結婚相手に相応しい格式を維持する家が、表面的に減少してしまった。直系皇族の親王においても、長男と次男の育て方や御本人の意識の相違が、実際にお世継ぎ誕生の有無によって位相に逆転が発生してしまうと、新たな問題を生み出す。一方、本書では傍系皇族が多過ぎたことの弊害も記されている。戦後、皇位継承から遠い順位にある皇族の「スペア」としての生き方の戸惑いが、昭和51年2月号の『文藝春秋』誌上の「皇族団欒」に表れていた(p.184)。
本書は、戦前戦時中の秩父宮と高松宮を中心とした皇族と軍人のあり方も含めて、かなり率直に切り込んだ記述が特徴的である。私の学生時代には、最近の日本会議や竹田恒泰氏等のように「万世一系」を主観的に情緒的に綴る書籍よりは、むしろ上記の本のような客観的な記述の方が目立ち、馴染みがあった。
八幡氏は、元官僚でいらした作家兼評論家だが、その著述は参考になる。フェイスブックでも一般読者に向けて発信されており、いい加減なコメントへの切り返しが興味深い。官僚を経て大学院教授(客員)を務めながら、日本(史)を巡る幾つかの重要なテーマを書き、新書やメディア出演を通して世に問うあり方は、一つのスタイルであろうか。
八幡和郎氏の過去ブログ引用は、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%C8%AC%C8%A8%CF%C2%CF%BA)。
・2018-05-27 秋月瑛二氏の江崎道朗氏批判
・2018-01-17 後に変わる解釈の可能性
・2018-01-02 隣国関係を学び直す必要性
・2017-12-16 おかしくなっている日本
・2017-12-11 エルサレムのこと
・2017-10-03 リベラルの意味
・2017-08-09 長崎原爆投下の日に
・2017-07-08 利用され続ける日本
・2017-05-25 憂慮すべき事柄が山積み
・2017-05-09 なぜ保守派なのか
・2016-01-15 大津市の選挙
自宅にある八幡氏の著書はこちらを。
『アメリカ歴代大統領の通信簿 44代全員を5段階評価で格付け』(祥伝社黄金文庫)(2016年7月11日)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20171211)
『男系・女系からみた皇位継承秘史』(歴史新書)洋泉社(2017年7月4日)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170708)
(リスト終)