ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

日本人の元外交官

「日本は中東がわかっていない」と指摘されている。私を含め、一般の日本人にとっては、エネルギー資源の確保以外、地理的距離もあり、非一神教世界に属する者として、やむを得ないのではないだろうか。では、お尋ねするが、日本のことをどの程度理解されているのか、お示しいただきたい(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20180508)。
以下は、過去にも度々引用させていただいた(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=abu_mustafa)、中東で活躍された日本人の元外交官のブログからの抜粋である。

http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/5373100.html#comments

abu_mustafa
2018年5月23日 17:15


・トルコは現在局地的に勢力を維持している位だと思いますが、ご指摘通り今後のカギを握るのはやはりロシアとイランだろうと思います。


・何しろイランやその手先のヒズボッラーは、彼らがいなかったら、アサドは長く持たなかったと公言していますし、崩壊の淵まで行ったアサド軍を救ったのがロシアの介入であることも、周知の事実でしょう。


・いくら問題があるにせよ、長い内戦を生き抜き、大規模な兵士の離反(反乱)にもかかわらず、その基幹的な部隊が崩壊もせずに生き延びたアサド軍とそれを支える政治組織は、なかなかのもので、特に最近の戦況の好転に伴い自信を取り戻しているかと思われ、余り軽視するのは間違いかもしれません。


・今後、シリア情勢にイランとの関係でイスラエルがどの程度介入してくるかも、一つの不確定要素でしょう。

abu_mustafa
2018年5月24日 21:39


・ご指摘の通り、どうやら基本的な方向としては、アサド政権は今後とも居座るだろうと思われます。尤も、シリアの問題を民主主義の問題として、とらえられるかと言うとさほど簡単ではないという気がします。


・何しろアサド父のその前から、シリアはバース党の強権支配で、民主運動などは常に弾圧されてきたので、ダマスでもアラブの春の影響で、民主化を求める人がごく少数ですが雨の中無言のデモをしたことに感動したものです。


・それがアサドにより残酷に弾圧され、平和的抵抗が武力的な抵抗に代わっていきましたが、それでも当初は、シリア軍から離脱した元兵士たちが、いわゆる自由シリア軍を組織していました。


シリア特有の個人主義派閥主義で、統一性にかけている間に、危機感を強めた政府軍は弾圧を強めるとともに、これをイランがヒズボッラ―等も利用して全面支援して勢力を盛り返していきました。


・他方米国はオバマの中東からの離脱戦略に従い、反政府軍にほとんど支援もしないうちに、反政府軍お中では、アルカイダ系の過激派等の勢力が伸長し、更にはISが勢力を伸ばして、シリア内戦の構図が大きく変わったと思っています。


・今から言うのは死児の齢を数えるようなものですが、シリア問題の政治的解決の機会は、自由シリア軍が反政府勢力の中で、影響力を失った時点で消えたのではないかと思っています

http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/5373694.html#comments


abu_mustafa
2018年5月25日 20:41




・何もこの問題に限らず、エルサレム問題でもEUも日本もそこを一方的にイスラエルが併合することには反対で、その旨声明も何度も出しています。


・米大の移転のレセプションにも日本もEUのまともな国(と言うと語弊があるが)も欠席です。


・ただ、ゴラン高地は歴史上、パレスチナの一部だったことは一度もなく、その意味で国際法上更にイスラエルは弱い立場にあり、そのことは歴代イスラエル政府も十分承知していたという相違があるかと思います。


・トランプのイスラエル擁護政策について、米政治の専門家ではないので、責任をもって云々できませんが、一般的に言われているのは彼の大きな選挙地盤である福音派の主張に配慮したためと言われていますね。


・彼の出身がユダヤ人勢力の強いNYで、娘婿もユダヤというへんが影響しているのか否かは知りません

http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/5373291.html#comments


abu_mustafa
2018年5月25日 20:56


・ご指摘の通り、帝政ロシア時代から、ロシア各地には、多くのユダヤ人が住んでいましたが、彼らは西欧のユダヤ人が次第に「解放された」後も、かなりひどい差別を受け、帝政政府は何か不都合なことがあると、民衆の反ユダヤ主義を煽って、ユダヤ人を襲わせたりしていた(いわゆるポグロムが、この辺は昔日本でも人気のあった映画「屋根の上のバイオリン弾きだったかにもよく描写されていたと思います。


ユダヤ人たちは、反帝政ということで、共産革命でも大きな役割を果たし、ソ連イスラエルを最初に承認した国でしたが、冷戦下で、ソ連政権はシオニズムは国際共産主義と相反するイデオロギーとして、敵意を強めユダヤ人のイスラエルへの移住を禁止していたかと思います。


・長いことソ連ユダヤ人の人権問題は、米ソ間の深刻な問題でした。


ソ連が、帝政時代は小麦の輸出国であったものが共産主義で農業生産が落ち、国民を食わせられなくなって、皮肉なことに、米国等からの小麦輸入に頼ることとなると、米政府は小麦の輸出をユダヤ人の人権、特に移住の自由と結びつけ、ソ連に圧力をかけていました。


・その後、ソ連がつぶれて、多くのユダヤ人が晴れて自由にイスラエルに移住しましたが、ソ連時代の民主化運動家であった多くのものが、イスラエルでは右翼ナショナリストになっているのは皮肉なものです。

(部分抜粋転載終)

文末の「右翼ナショナリスト」だが、自称は「保守派」となっていることに留意。