ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

厄払いの巻

子どもの頃、電車の中で中年女性が憂いに満ちた表情をして座っているのを見かける度に、(何か人生の深い悩みでもあるのだろうか)と思い、(自分は真面目一筋に生きて、厄介事を避け、健全に暮らしていきたい)と固く誓ったものだった。
そのために、人生の支柱となるべき思想を読書によって探し求め、モデルとなるような生き方を探っていた。
その誓いは基本的に守られているとは思うが、いくら自分がそのように心掛けていても、家族縁戚の言動(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20170114)まではコントロールできない。いくら自分には関係がないとはいえ、血族や姻戚でつながりがあると、人生上、関わらざるを得ないことがある。特に私はそのような世間の暗部に疎いために、概して理解が遅く、一旦知ると、頭が茫洋として何が何だかわからなくなるのだ。
繰り返しているように、恐らくは、最初の子で最初の孫だったこともあり、小さな頃から私の性質を観察した上で、父や祖母が防波堤のように守ってくれていたのだろうと今にして思うところである。「つんぼ桟敷」という言葉が不適切ならば、蚊帳の外に長らく置かれていたために、よろず理解にかなり時間がかかる。
主人はもっと早くから理解している。「ユーリが悪いんじゃないよ。でも、こちらにはどうしようもないじゃないか。相手が変わらないんだったら、こちらはこちらでやっていくしかない」と割り切っている。
私は今も幼少時からお世話になったという長幼の序の感覚でいたので、話がずれていたのかもしれないが、私より目上であっても、大変失礼な話だが、いかにもいかにも考えが足りない人達だという印象が否めない。
それに、いつでも言い訳ばかりして何かとこちらのせいにしたがるが、そもそも罪意識と当事者としての反省能力が決定的に不足していると私は思う。例えば、都合が悪くなると私の聞き違えだとか、誰か他の人と間違えているんじゃないかとか、気づくのが遅過ぎるとか、仕返し(!)だとか、長女のくせに何もしない、お見舞が足りなかった、云々。これではお話にならない。
ここ二十年、日本社会が左傾化して国力が低下、低迷してきたと繰り返し綴ってきたが、実は、文化的左翼思想というものは、一見、楽なのである。しかも毎度、新鮮な装いで度々登場するので、若く思慮が浅い時には、つい流されてしまいやすい。間違えて自分は頭がいいと自認していたのであろう妹や弟の事例は、まさにそれに合致すると私は考えている。
だからこそ、この意味不明で非常識な案件については、私に起因することではないが故、この辺りで整理をつけ、これまでのように、主人と二人で、堅実に、着実に、真面目に歩み続ける他ない。ひいては、それが一番の孝行であり、社会の健全化につながるだろうとも信じる。
「ご縁をつけたくない人」だと思われたとしても仕方がない。だが、もし私が知りつつも隠していたら、私も晴れて同類だ。それに、ここまで入り組んでいるのに、「うちは最も安定している」「私はうまく行き過ぎて将来が怖い」という言葉はないだろう。恐らく、私の知らない所で、長い間の錯綜した利害関係や駆け引きがあったはずだ。
主人の病気はとても重い現実だが、新薬開発の希望は捨てていないし、これ以上、病気を増やさないように、いつまでも自立して暮らしていけるように、日々を心掛けてきた。むしろ、そのように二人で頑張ってきたからこそ、このような身勝手極まりない縁戚から守られていたのかもしれない。
また、主人の母はいつでも「代われるものなら、私が身代わりになってやりたい」と主人の身を案じている。定年退職するまで、自分も頑張ると言ってくれている(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20161109)。そのようにして、私の配慮や努力の足りない部分を大きく補っていただいているのだろうと感謝している。
また、病気を抱えながらも、今日のような雪の日も一人で早起きして出張に出かけていく姿を見送りつつ、田舎の祖父母が、大切に主人を育ててくださったことの恩恵を感じている。戦後の農地改革で土地を手放し、財産を失った祖父母だったが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080218)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20081214)、だからこそ、金銭ではない財産を授けてくださったのだ。
人が生き抜いていくには、真に必要なものはそれだと、私は信じている。

https://twitter.com/ituna4011


『養生訓・和俗童子訓』(岩波文庫) 貝原 益軒(https://www.amazon.co.jp/dp/4003301013/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_u6kFybXBGV0YM …)が一昨日中古で届いた。今でも充分に通用する教訓が含まれているのだろう。通して読みたくなり、入手した。

(転載終)