現状から昭和時代を振り返る
昨日、主人が仏教系の幼稚園時代に使っていたワークブック数冊の入った箱を見つけて眺めていたのだが、昭和40年当時の4,5才の子どもにしては高度な作業をしていたのだと、新鮮な思いがした。
監修は玉川大学の教授で、子ども用の課題の右下に「指導」の欄があり、興味深い手引きが書かれている。
・小さいときから、きびしく、公衆道徳的なしつけをじゅうぶんにしておきましょう。
・育てるということが、どんなに偉大なことかを、今一度、子どもとともに考えてみましょう。
・わが国は「夢の超特急」という世界空前の乗り物を実現しました。この偉大な仕事は、国民全体で祝福してよいことです。
・社会が悪い、政治が悪い、人口が多いなど、すぐ他人のせいにしないで、親は親なりに、保育者は保育者なりに、しっかりとしたしつけをしましょう。
・頭ばかりが先走って、行動の伴わない子どもがふえています。
・責任をもって、仕事をすること、労働の神聖なことがわかるのがおとなです。
・国旗は国民として、たいせつに取り扱い、他国旗に対しても尊敬の念を払うように指導しましょう。(ユーリ注:日本を含めた16ヶ国の国旗中、「イスラエル」「中華民国(台湾)」「ドイツ(西)」「大韓民国(南鮮)」「ソビエト連邦」が印象的。ソ連以外の中華人民共和国を含めた共産圏も中東イスラーム諸国も南米もアフリカ諸国も含まれていない。)
・すぐ動物を見ればいじめるのは、日ごろの教育の足りなさでしょう。
・このごろの子ども、特に都会の子どもは、自然物を知りません。
・男女平等が、はき違えられて、何でも同じことをするのがはやっています。男、女は互いに尊敬し合い、助け合い、そして相互の役割を通じて、本当の人間としての平等性を育てましょう。
・清潔、清掃は教え込むべきことです。
・きまりの中には、どうしても目上から与えて守らせなければならないものと、自分たちで自発的に考えさせ、認めたならば絶対に守らせる約束のような性格のものがあります。
・どこに行っても、○○時間というのがあって、開会の時刻が遅れたことの言い訳にします。時間をたいせつにしないのは、文化国ではありません。
・子どものこづかい銭は、地区によっても、家庭の方針などでも、ずいぶんと差があります。むだづかいはやめさせましょう。お金で、子どもをつるのはよくありません。
・園とは別に、家庭では家庭なりの教育を考えましょう。
(部分抜粋引用終)
「生活指導の手引(年少用)」
1.園全体を落ち着いたふんい気にしてください。
2.静かな保育をしてみてください。
3.けじめのある保育をしてください。
4.いけないこと、いいことをはっきりと教えてやり、例外は作らないことです。
5.生活指導(訓練)にはユーモアがたいせつです。
(部分抜粋引用終)
「生活指導の手引(年長用)」
1.女子が、男子と全く同じことをするのが平等のように考えられていますが、それより、もっとそれぞれの立場で仕事をし、互いに人間として尊敬し合う態度を小さいときから養いましょう。
2.時間をたいせつにすることは、お金をたいせつにする以上だというのが、文化国家の将来をになう子どものしつけには大事なことです。
(部分抜粋引用終)
「指導者の方々に」
・最近はさまざまな文化の発展に伴って 五才児でも、文字を読んだり書いたりしたい、という意欲をもってきます(ママ)。
(部分抜粋引用終)
例えば、カバの絵を見て自由にお話を作り、平仮名で作文を書く課題もあった。なんと主人は、カバが口を開けている牙を白く塗らずに赤い口の中を茶系で塗ったので、いつの間にか牙を人参だと思い込み、カバが人参を食べて池にはまったという作文を書いていた。
全体として、平仮名を中心とした読み書きができ、数字の組み合わせや絵合わせができることなど、私が小学校一年生の時に課題だった内容や、知能テストで提出された問題が、既に幼稚園レベルで与えられているように感じた。
労働の神聖なこと、国旗の大切さ、真の男女平等の意味、時間厳守などの訓示も興味深い。文化国家を目指して、将来を担う子どもの育児方針の基本がしっかりと提示されている。一方、最近では私も含めて、もう一度幼稚園からやり直しだと思われる現象が目につくのは、どうしたことだろうか。
(http://yoshiko-sakurai.jp/2016/05/26/6376)
「憲法前文の精神に浸る人々の幻想」
『週刊新潮』 2016年5月26日号
日本ルネッサンス 第705回
・5月13日、米国防総省が「中国の軍事動向」に関する年次報告書を発表。報告書は、中国は共産党創設100周年の2021年までに「適度に豊かな社会」を目指し、中華人民共和国創立100周年の49年までに「近代的社会主義国となり、繁栄する強国、民主主義的、文化的で高度に進んだ和を基調とする国を作る」ことを目指していると報告。
・習近平政権は毛沢東時代に逆戻りしたかのような凄まじい言論弾圧。
・年次報告はまた中国の海軍力増強に関して強い警戒感も示した。中国はソ連崩壊後、2度にわたって軍改革を断行、江沢民政権は93年、湾岸戦争でアメリカのハイテク兵器を駆使した戦い振りに驚嘆して、ハイテク化に乗り出した。
・中国は尖閣諸島問題で対日摩擦を引き起こすとしても、アメリカを決定的に怒らせないレベルにとどめつつ、自国の利益を拡大していく戦術だとの分析。
・中国人は制海権を手にするために、大日本帝国海軍を研究。
・勝利するか否かに決定的な意味を持つのは軍人の質。
・明治維新まで日本には海軍さえなかった。それが明治27年には、物量で劣っていたにも拘わらず、清朝の艦隊に圧勝した。10年後の日露戦争では、さらに大規模海軍を有していたロシアにも勝利。
・習主席の唱える「中国の夢」は史上最大規模を誇る清朝時代の版図を取り戻すことだ。そのために清朝を打ち破った大日本帝国海軍の強さを学びとろうとする中国人を軽く見てはならないだろう。
・中国は昨年11月3日に「強軍目標」を発表し、「軍事闘争準備や新型作戦力建設を強化し、国防・軍隊改革を加速させる」「海洋権益を守り、海洋強国を構築する」「深海、極地、宇宙、サイバーなど新領域の国際ルール制定に積極的に関与する」と明らかにした。
・日本をはじめとする自由諸国にとって、それは受け入れ難い帝国主義的要求。それでも中国は主張を押し通すために死力を尽くす。
・中国ともうまくやれるかもしれないと言うアメリカのドナルド・トランプ氏や、祖父は中国人だった、中国と相互利益のために協力するなどと述べるフィリピンの次期大統領、ロドリゴ・ドゥテルテ氏らの存在。
・「AERA」(5月16日号)が11都府県の700人に行った対面調査結果である。「自衛のためなら戦争を認めるか」「自衛のためでも認めないか」との問いに、女性はどの世代も全て、認めないと回答していた。それでは「他国や武装組織の日本攻撃にはどうすべきか」と問うと、「日本には攻めてこないと思う」「外交の力で攻撃されないようにすればよい」「日本は戦争しないで米軍に戦ってもらえばいい」などの答えが並んだのだ。
・中国が日本を念頭に軍事的脅威を高めているとの米国防総省の分析や、南シナ海における中国の蛮行に目をつぶるのだろうか。アメリカ人の税金で日本を守るのは真っ平だと主張するトランプ氏と、氏を支える幾千万人の米国人に向かって「米軍に守ってもらえばよい」と本気で言えるのか。
・「日本には攻めてこない」などと言う人は諸国民の公正と信義に縋るという憲法前文の精神に染まっているのであろう。いまどきこんな考えにどっぷり浸っていれば、トランプ氏やドゥテルテ氏同様、中国には歓迎されるであろうが、それは思考停止以外の何ものでもない。
(部分抜粋引用終)
この結果は、「アエラ」による対面調査だからなのだろうか。何とも情けないが、百歩譲って仮に平和呆け回答を現状肯定だとしても、回答者は、この先の日本の防衛をどのようにすべきだと思っているのだろうか。