ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

日本とドナルド・トランプ氏

http://newglobal-america.tea-nifty.com/shahalexander/2016/04/post-8175.html

2016年4月 6日


ドナルド・トランプ氏の衝撃的な放言によって(“In Japan and South Korea, bewilderment at Trump’s suggestion they build nukes”; Washington Post; March 28, 2016)、日本国民は国家安全保障について懸念を強めるようになり、独自核抑止力についても語り始めるようになっている。しかし我々がそのように性急に行動すべきかどうかは再考の余地がある。それは核兵器の開発と配備には数年を要するばかりか費用も膨大になる


・私はここで、日本と国際社会の人々は間違ってもトランプ氏を支持するような知性と気質に致命的な問題を抱える群衆をアメリカ人と見なしたことはないと強調しなければならない。


・しかし外交政策における彼の見解は自身が吹聴するようにきわめて予測不能なので、4年間の任期の内には急に変節しかねない。そうなった場合にはトランプ氏が日本をイランや北朝鮮のように扱いかねない。実際に彼の短気は全世界に知れわたっている。


・私はトランプ氏が任期中に在日米軍の全てを撤退させられるかどうかということに心底からの懐疑の念を述べたい。日本に駐留するアメリカの陸海空軍の規模は膨大であり、また在日米軍そのものが日本社会に深く根を下ろしていることは3・11津波および大地震での救済活動を見ればよくわかる。撤退の手続きには信じられないほど膨大な形式的行政事務が付いて回るが、それはトランプ氏が不動産業の経営者として過ごした人生を通じて目にしたこともないほどのものである。軍事基地が関わる土地所有権は、トランプ氏が自らの事業で対処してきたものよりはるかに複雑である。さらに言えば、日本の空域を地域の安全保障と民間航空事業のために管轄しているのは横田米空軍基地である。この権限を日本側に移行しようとするなら交渉に多大な労力を割かねばならない。二国間交渉が円滑に進展しなければ、多大な損失を被るのはアメリカの航空運輸産業である。トランプ氏が経営者としての能力を吹聴するのであれば、そのことを強く認識すべきである。


・全世界のアメリカの同盟国の中でもトランプ氏が最初に槍玉に挙げたのが日本である。対日関係の全面見直しがそこまで重要だと言うなら、トランプ氏の外交政策チームに日本情勢に精通した顧問が一人もいないのはどうしたことだろうか。さらに深刻なことに核安全保障に関するこの人物の知識はきわめて貧困である。


・トランプ氏は核の三本柱さえ知らなかった。そのうえ、中東でのイスラム系テロリストに対して戦術核兵器の使用を主張した。それはこの人物が核兵器の破壊力についてあきれ果てるほど無知なことを露呈している。今日の戦術核兵器は広島と長崎に投下されたものよりも強力である。また、戦術核兵器も使用によって戦争がエスカレートする危険もある。トランプ氏は米軍のドローン攻撃による巻添え被害がイラクアフガニスタンで厳しく批判されたことを知るべきである。


・私は日本のオピニオン・リーダー達がこの人物宛に抗議の公開書簡を出し、本文中に記された問題点をひとつ残らず問い詰めて我々の怒りの意志を表明すべきだと提言したい。トランプ氏は怒りの感情に対して敏感なので、大衆の激怒を巧みに悪用しているものと理解している。日本政府にはそうした挑発的な行動はできないだろうが、トラックIIのレベルであればそれもできることである。

(部分抜粋引用終)
拙訳(http://ja.danielpipes.org/article/16616)も併せてどうぞ。