ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

私はここにいた!

...と、毎度のことながら、世の中は一筋縄ではいかない面が多々あるのだが(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150810)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150811)、そこから目を背けたり甘い夢想に浸っているのではなく、そういうものだと覚悟を決めて腹をくくった方が賢明だという結論に落ち着く。

http://forbesjapan.com/translation/post_7567.html


イスラエルのハイテク産業が強い理由 ネタニヤフ首相インタビュー」
文=スティーブ・フォーブス(Forbes)/編集=金子 誠 翻訳記事
2015.08.12


イスラエル経済の奇跡が注目されている。人口800万の小国がハイテク分野の驚くべき業績で世界をリードしている。イスラエル南部のベエルシェバではハイテク分野のパワーハウスがいくつも誕生している。このエキサイティングな状況について、ベンヤミン・ネタニヤフ首相に聞いた


軍と大学と企業を集め、砂漠の真ん中で技術産業を育成


中東のシリコンバレーと呼ばれるイスラエル。この成長の源には何があるのか? 


アブラハムがベエルシャバを訪れたのが3800年前、今、われわれはこの地を再構築しています」とネタニヤフ氏は語る。


ネゲヴ砂漠の真ん中に位置するベエルシャバに、イスラエル軍の精鋭である特殊情報ユニットを置き、ネゲヴ・ベン=グリオン大学で学ばせる。大学近くに世界の企業をリードするサイバー産業パークを築く。その結果、軍の優秀な頭脳とサイバーセキュリティの専門家、ビジネスに通じた大学の秀才たちとの間で相互作用が生まれた。


「ここがハブなのです。爆発的変化が起こっています。これはとても喜ぶべきことです」とネタニヤフ氏。
相互作用の中で数々のスタートアップ企業が誕生した。彼らは将来到来する問題を予見し、世界の未来を決定する問題に取り組んでいる。どうやってインターネットを守るのか? どうやってサイバーセキュリティを守るのか? どうやって銀行口座を守るのか? どうやってプライバシーを守るのか? どうやって電力網を守るのか? どうやって交通システムを守るのか? どうやって航空機の安全を守るのか? 洪水からは?


セキュリティ分野で世界のトップに


ハイテク技術は警察にも強盗にもなりえます。わたしたちは良き側に立ち、他者を良き側へ導く助けをしたいと思っています」とネタニヤフ氏。
何事もインターネットからは逃げられない――すべてがクラウドに集まり、成長している。しかしネットは敵国やテロリストグループ、犯罪組織や個人のハッカーたちによる破壊工作や侵入にも開かれている。インターネットは急激に成長しているが、成長の継続には安全と安定性――サイバーセキュリティが必要だ。
イスラエルはサイバーセキュリティ分野で世界のトップスリーに入ることを目標としてきました。目標に到達しましたがさらに上を目指しています」とネタニヤフ氏。
サイバー空間が他の攻撃や防護と違うのは、ルールを決めるのが困難だということだ。通常の競争、戦争でさえ、たいていはルールは決まっているし、誰が攻撃し防御しているかはっきりしている。しかしサイバー世界ではそこが明確でない上に年々複雑化している。
「手をこまねいているのではなく前へ進もう。やりながら学ぼう、前進しながら防御を築こう。企業も、軍の特殊情報部も、合流している外国企業もそうしています。ここに来るサイバー企業には優遇税制を適用することも決定しました。彼らのビジネスに期待し、ここにエキサイティングな機会をもたらしてくれると考えているからです」
ベエルシャバには若い頭脳が集っている。彼らは枠組みにとらわれずに思考する。この種の才能――大学の研究者、軍、セキュリティ専門家、企業家――が、ひとつの場所に集中し、それが多くのスタートアップ企業とイノベーションを生みだし、かつては考えられなかった産業をつくり出した。


小国イスラエルが成長できた理由


ではどうやってイスラエルのような小さな国が、ハイテク分野で巨人となれたのか?
「生き残るために国の大きさに比して大きな軍隊が必要でした。軍でもっとも重要なのは頭脳です。軍情報部には格別の投資をしています。軍情報部の発展、特にITでのそれは、ビジネスフレンドリーな環境を作り上げるまでは実現できていませんでしたが今では成果を上げてくれています」
イスラエルでは、トップの頭脳に軍隊経験やネット経験をさせる。もっとも重要なことは、ビジネス環境、企業家環境を構築し、ベンチャーキャピタルのアイデアを紹介したことだ。知的能力がビジネスの能力と一体となった瞬間、イスラエルのハイテク経済は離陸を果たした。
「わたしは首相として、自分の時間のほとんどを捧げてきました。今は、特にサイバーセキュリティでの巨大な成長分野に集中しています。私が信じるに、これから50年の成長エンジンとなるものだからです。問題は過ぎ去ったわけではなく問題解決の必要性は増しています。それを解決していくつもりです」とネタニヤフ氏。
イスラエルはハイテク分野だけでなくテクノロジーと農業、水資源管理の分野でも実績を上げている。ネタニヤフ氏はテクノロジーの開発だけでなく、新しい市場の開発が必要だという。
ハイテク技術による制御で農業の生産性を上げ、水資源の87パーセントをリサイクルするイスラエル。これまで天然資源を持たなかったが、近年天然ガスが発見され、法律整備が終われば輸出を開始するという。イスラエルの今後から目が離せない。

(転載終)

実は私、今年4月下旬には、このインタビューに出てくる場所にいた。アブラハム云々については、過去ブログ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140614)でも記している。だから、うらやましいどころか、パワーを間近に肌で感じたことになる(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150511)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150528)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150530)。
ここでもやはり、パイプス効果なのだった。白黒だけで決着がつけられない複雑さと不思議な牽引力が、彼にはある。
そのようにして、彼の言論活動を理解すべきだと私は考えている。
左派の中東研究者の誤りは、不備ばかりに目を向けてプラスの前進を怠っていることだ。だから、「弱者に目を注ぐべき」などという逆行した路線を、若い人々にも誘導してしまう。その結果が、今の国防問題にせよ、国際競争力の低下にせよ、恐ろしいエネルギー・ロスと時間の無駄を招いているのだ。

2015年9月11日追記:2015年9月9日付『ハアレツ』紙の報道によると、ネゲブにある原子力研究センターが米国と協力して、放射線監視用の手の平サイズの超小型ヘリコプターの開発に成功したとの由。時速50キロ余りで20分間の飛行が可能で、敵国施設の偵察にも適用可能とのこと。
(数年来、受信しているメーリングリストからの引用)