ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

ISISの言いがかり

再び『メムリ』から。過去の引用リストは、こちらを。
http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%E1%A5%E0%A5%EA&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%E1%A5%E0%A5%EA)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=memri&of=50)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=memri&of=0

メムリ』(http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=BLOG715
From The MEMRI Blog Series No 7
Feb/15/2015



「安倍政権の対ISIS宣戦布告で日本人民と権益が攻撃対象になった
―Dabiq 誌第7号緒言に見るテロ集団イスラム国の言いがかり―」



ISIS(イスラム国)は、2015年2月12日に発行した英語版インターネット誌Dabiq第7号の緒言で、拘束した2人の日本人(湯川遥菜、後藤健二の両氏)処刑に触れた。日本の安倍首相が直ちに「テロリスト達に代償を払わせる」と述べ、報復を求めた件である(首相は、日本語では「テロリスト達を絶対に許さない。その罪を償わせるために、国際社会と連携する」と言った)。端的に言えば、野蛮な斬首は安倍政権のせいという責任転嫁論である。



その緒言の主張によると、手出しをすべきではない喧嘩に介入して、一方の肩を持つことをしたので、国民を死に至らしめた。その責任は日本政府にある。オサマ・ビンラーディンとアブ・ムサブ・ザルカウィの場合もそうであったが、ISISは日本がアメリカ主導の十字軍に加わる道を選んだのであるから、結果責任は日本にあるとし、安倍政権はその選択の代償を払うことになる、と主張する。この緒言は、安倍政権の積極的平和主義を積極的軍事加担と捉える。そして日本国内に相反する議論があるとし、その区分けをする。つまり、第二次世界大戦後とってきた平和主義者としての役割に徹する立場と、小泉純一郎首相(当時)が推進し安倍政権が引継いだ、純然たる自衛の域を越え、もっと積極的な軍事的役割を担う政策である。そして、安倍政権が後者の政策を推進するので、二人の日本人が死んだという歪んだ論を展開する。


この緒言は、オサマ・ビンラーディンのインタビュー(2001年10月)の内容を引用して、自業自得論を展開して、日本に警告する。そのインタビューでビンラーディンは、日本の対応は不可解とし、「誰が、この困難にして重大且つ苛烈な戦争に日本をひきずりこんだのか…日本は我々に対する戦争に耐えることはできないのだ」と述べ、「愚かな小泉首相が、アフガニスタン侵攻に兵站支援を行ない、後方支援のため部隊を派遣して過ちを倍加し、戦争に加担したのである」、「無礼な小泉が香田を捕虜にした人々の要求を傲慢にも拒否したため“日本人十字軍兵”香田証生は処刑され、日本はその代償を払ったのである」と言った。この緒言は、ビンラーディンの主張をなぞっている。


緒言は、10年余すぎて安倍首相は小泉の過ちを繰返して同じ結果を招いた、と主張する。愚かな反復で同じ憂き目に会うと訓戒を垂れるのである。日本は、反ISIS戦争に、2億ドルを供出する必要はなのに、安倍政権がシナイ半島でISISと戦う“偽善者”のシシ大統領率いエジプトに金をやって、これを見よがしに加担する。かくして偶像崇拝国日本は、再度十字軍連合に加わり、ISISの拘束する日本人2名の命を危険にさらすことになった。ISISは、金が必要なため或いは金欲しさのために、人質解放の形で2億ドルの額を設定したのではない。安倍の約束した金額にひっかけて、日本政府の傲慢さを侮辱するためであった、と緒言は主張する。


このカリフは、湯川遥菜を処刑した後、2005年のアンマンホテル爆破に一役かって捕まり、今は処刑の日を待つリシャウィ(Sajida Al-Rishawi)との一対一の交換を意図した。しかし、アメリカ十字軍に宥和し奉仕しようと躍起なヨルダン政府と日本政府は、いずれも誠実に交渉しなかった、と緒言は主張する。


この緒言によると、安倍首相の愚行のせいで、日本人は全員がISISの攻撃対象になってしまった。安倍首相が対ISIS戦争をやめるならば、この状況を変えることができる。つまり“自国民の命を救える”のである。しかし安倍首相には、そうする勇気がない。かくしてアッラーのお力により、日本の偶像崇拝者に対してハリーファの剣が抜かれた。


この緒言は、日本を対象にしてはいるが、ヨルダンのイスラム原理主義者アブ・ムハマッド・マクディシ(Abu Muhammad Al-Maqdisi)と、そろそろ決着をつけようとしていることをうかがわせる。捕虜交換の自称仲介者で、ISISの厳しい批判を含むインタビューを何度か認めている人物である。

(引用終)
これは、いわば日本関連の要約文のような論考。もっと詳しい充実したISIS論考については、こちらを(http://d.hatena.ne.jp/itunalily2/20150219)。
負けず嫌いで勝ち気なパイプス先生、冒頭で余計なイントロをつけていますが、どうぞご容赦を。