ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

シンプルがベスト

フランスの風刺画出版物の件を書いている時、途中で「外出」と記した(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20150108)。
実は、主人の勤務先での毎年恒例の健康診断に出かけたのだった。
同じ検査なのに毎回少しずつ変化があるのが、楽しみでもあり、時の推移を感じさせる時でもある(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20080109)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090115)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20100106)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110107)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20110119)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120111)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130109)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130207)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140207)。
今回は、昼食時と重なり、社員がぞろぞろ食堂に歩いて行くのに遭遇した。もちろん、既に食堂内にいる人達も見かけた。一人で考え事をしながら黙々と食べている人、四人ぐらいのグループで、楽しそうに笑いながら食べている人達など、さまざまだった。
昨年までは二種類だったメニューは、今では三種類に。少しボリュームが足りないのでは、と思ったが、充分満腹するカロリーだそうだ。(ユーリ後注:以前は一階と二階の二部立て食堂だったので、一人分の給食費しか払っていないのに、まず二階で食べてから、一階に下りて不足分を補っていた社員がいたそうだ。(つまるところ「ただ食い」)予防のために、最近では社員証で確認の上、一人一食分と決まったらしい。)
初めて健康診断に来た頃には漂っていたエリート意識のような社風が、今ではどこか大衆的になってきたようにも感じられた。ここは、日本や世界の動向の影響もあり、如何ともし難いところ。経営そのものは、他社と比較してかなり幸運に恵まれ、順調ではある。
とにかくこの十数年、新年を迎え、主にここで健康診断を受け、結果記録をノートに貼り付けて、必要なことをした後は、一年を心配無用で過ごすことができた。
それもこれも、この食堂で活力を得て元気回復した人々が、毎日のように働いてくださったお陰である。世の中の動向を見極めて、改善や発明のアイデアを出し合い、開発方針を決め、研究してデータを取り、他との競合を見極めて検討の上、新たなものを作り出し、国内外に売り込み、人々の暮らしを潤して快適にし、その報酬として得たお金がそれぞれに分け与えられるおかげで、この私も十数年間、不自由なく生活させていただくことができたのだ。何よりも、毎日のように、大量の食事を安全に効率よく、栄養のバランスを考えておいしく提供し続ける、食堂で働く方達のおかげである。
小学校一年生の時、「働くおじさん、おばさん」として学んだことが、改めて実感を伴って迫ってくる。
当たり前のことが当たり前に動く社会のありがたさは、若い頃、途上国にしばらく住むと、よくわかる。
精密かつ独創的なものづくりを軽視する国や社会が、いびつな経済構造であることも既に明らかである。石油成金の中東を見よ。ソヴィエト崩壊後の資源輸出依存のロシアを見よ。混沌とした治安の悪いラテン・アメリカを見よ。中国を含めた共産圏のおぞましい人的破壊を見よ。衛生を含めた健康管理、充分で良質な教育の普及、社会の法秩序、時間管理、情報の流通なしに、ものづくりそのものが成り立たないからだ。
そして、その根底には、人間存在に関する健全な哲学や思想や精神のしっかりした基盤が必要である。人の暮らしの基本は、シンプルに。