ブログ版『ユーリの部屋』

2007年6月から11年半綴ったダイアリーのブログ化です

出番はいつでも

ダニエル・パイプス先生は、相変わらず精力的に、テレビ出演などのインタビューにも応じていらっしゃる(http://www.danielpipes.org/14495/isis-iraq-conflict)。
誰からも頼まれていないのに、ここ二年二ヶ月ほど(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120404)、日本語圏向けの自主的ボランティア広報係を務めている私も、先行き見通しの暗い中東情勢に暗澹たる気持ちになりつつも、アメリカの活発な議論展開から刺激と励ましを受け続けている。
ISISについては、中東と欧米のみならず、日本の一部のムスリム・シンパも物心両面の支援を送っているようだ。その一人を直接、職場で過去に知っていただけに、改めてぞっとした次第。だから、思想だの話し合いだの、曖昧な態度では断然、解決が遅れるのだ。
アメリカは広大な土地で、世界中から集まってきたチャレンジ精神旺盛な前向きな人達が、いろいろと企画を立てて、議論に政策提言に必死になっている。失敗も含めて、何かと率直さがあることは好ましい。
先日、4月29日に三本立てで、場所と名称を少しずつ変えて計30分、出演されたパイピシュ先生(http://www.danielpipes.org/14332/us-legacy-middle-east)(http://www.danielpipes.org/14333/middle-east-threats-american-retreat)(http://www.danielpipes.org/14334/daniel-pipes-at-the-new-york-meeting)。その司会をされた男性だが、最初から、(どこかで見覚えのある顔のようだ)と思っていたところ、一昨日の夜になって突如、(あ!もしかしたら、4月10日の記念会合で、私の右隣に座っていたおじさまじゃなかったかしらん?)と思い出した。何とも寝ぼけた話なのだが、名刺交換もなく、日本である方からいただいた助言のように「自分から話しかけないで、黙って食べていなさい」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140322)を忠実に守っていたので、気づくのが遅れたのだった。
ただ、その場では、何やら気に入らないことがあったのか、紙ナプキンにボールペンで下手なイラストのような落書きを描いていて、二番目の娘さんが会場を出入りしていた時にも(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140510)、「なんだ、娘か....」と不満そうにつぶやいていたため、(おじさまにとって、落胆の記念行事だったのかしらん?)と悪い方に勝手に考えてしまった私だった。
ところが、一昨日の夜、突然、憑きものが落ちたように閃いた。違う、もし人違いでなければ、という仮定の前提付なのだが、ご当人だとしたら、もしかして出演交渉をどのように持ちかけようか、考えていらしたのではないか、と。なんせ、一日で効率よく、三つのプログラム(FOX News, New York Meeting, Breitbart TV)を一人で司会していらしたのだ。着替えもせず、ネクタイがお二人とも同じまま、場所と名称だけ変えて出演、というところが、何ともアメリカ的大らかさで可愛らしいのだが、よく飽きもせず、三回とも中東について話し続けられるものだ。
半ば呆れながらも、「最近は、5分、3分、1分しか話させてもらえない」(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140612)と愚痴っていたパイプス先生を思うと、(先生、よかったですね!)と、ますます応援したくなる。ちゃんと「また出演してくださいね」などと、最終秒前に挨拶をかけられてもいる。
要するに、時機に適うかどうか、ということなのだ。いざという時のための準備として、時が良くても悪くても、水面下の普段の努力は並々ならぬものがある。
申し添えれば、私の右側のおじさまも左側のおじさまも、いささか強面のがっちりした壮年男性だったが、「この度は、英国からも遙か日本からもご来賓をいただいております」とアナウンスがあった時には、(ほら、手を挙げろ)とばかりに、盛り上げようとされていた。共和党支援者のおじさま達は、最初は戦争大好きな怖い人かと思っていたのだが、慣れてくると、男っ気があり、女子どもを守るのだという意識の高い、素敵な男性なんだと認識を新たにすることとなった(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20130605)。つまり、男女同権とか、フェミニズム賛成というリベラル男達は、一見、話がわかるようでいて、実は、とんでもなくいい加減で無責任で偽善的な人達なのだ。
ところで、このように私が日本語ブログで自由に感想やエピソードを書き綴っていることは、前もって伝えてあり、別段、禁止項目もなければ、催促もない。全く私の自発的行為だ。
ただ、翻訳を増やすのはいいのだが、言語圏によって、同じ英語オリジナル原稿が違ったニュアンスで受け留められることについて、どうお考えなのか、4月8日にお尋ねしてみた。すると、「それは構わない」と。
「では、過去の映像クリッピングYou Tubeなどで出回っていますが、そのことについてはどうお考えですか」と質問すると、「それも問題ない」と。
「しかし、昔の発言が今では誤っていたと判明したり、放送直後に失敗だった、間違いだったと思った場合は、出回った映像が迷惑じゃありませんか」と重ねて尋ねてみると、「間違えた時は、間違えた時だ」と、あっさりしたもの。訂正の機会が後であれば、その際、随時、ということのようだ。
あれこれ慎重な私を、迷惑がるどころか、かえって逆に観察されたようで、「しかし、日本人っておもしろいねぇ。最初から枠組みをきっちりつくって、その範囲内で、あれこれ細かく前もって考えるんだね」と(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140508)。均質度の高い民族性で、長い伝統を誇っている国に生まれ育ちましたから、自然とこうなってしまうんですよ。
でも、中東情勢の分析も、時差は日本の方が半日以上早いのに、パイプス分析を理解する自分は、早くても数日遅れてやっと、というのが、何とも悔しい。経験の蓄積に欠ける日本、ということでもあるし、日本人専門家の左翼体質の邪魔もあったであろう。理解できなければ自言語に訳せないはずなのだが、ここが一番悔しいところだ。
しかし、一方で、よろず慎重な日本側の方が、(だからあの時、日本がそう言っていたのに)と軍配を挙げたくなる点もままある。つまり、アメリカだから絶対に正しいとは言い切れないのだ。
ただ、今でも尚、「アメリカの例外主義」と、断固、発言されたパイプス先生を改めて映像で拝見して、何だかうらやましいような気もした。
いえ、日本だって、つい昨日も(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140621)「日本は先進国ですから」と、主催者兼講演者が自ら堂々とおっしゃっていて、何ら引け目に感じる必要もないのだが、ホロコーストを危機一髪で逃れてアメリカに渡り、一代でハーバード大学教授として無事に勤め上げ、冷戦を勝ち抜き、親子二代で大統領にも仕えたパイプス家を知るだけに、普段の心構えが違うのだろうと、揺さぶられるような思いがしたことは事実である。