名誉回復中のブッシュ前大統領
学生時代に、ドイツ語の勉強のため少し気になって眺めていた『シュピーゲル』誌。
当時、奇跡の経済復興を果たして国際的に注目されていた日本。特に同じ敗戦国として頑張っていたドイツにとっての一種のモデルないしは嫉みやっかみ風の日本記事に憤慨して、マンハイムに住むペンフレンドのビルギットに(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20071223)、その旨書き送ったことがある。「まぁね、雑誌なんてそんなものよ。特にシュピーゲルって、そういう茶化す記事を書くのが得意なのよ。そう怒りなさんな(Sei nicht so böse.)」という返事をもらったことを覚えている。
というわけで、久しぶりの『シュピーゲル』。パイプス訳文の中には、ハイパーリンクで『シュピーゲル』記事がつないであるものも一本ぐらい含まれている。(パイプス先生はドイツ語も読めるはずだが、ハイパーリンクは英訳を使用。そこを不思議に思ったので、良く覚えている。)
以下の記事、なかなかよい筋では、と思った次第。実は私も、似たような感想を抱いているところがある。だから、早めに前もってパイプス訳文をつくっておこうと考えているのだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140509)(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140531)。イデオロギー上の思想的基盤も、少しずつ読書で補強しながら。
(http://agora-web.jp/archives/1600454.html)
「政治 ブッシュ前米大統領の名誉回復 --- 長谷川 良」
独週刊誌シュピーゲル最新号(6月16日号)に非常に面白い記事が掲載されていた。テーマは米政界の動きだが、任期時代、不人気だったジョージ・W・ブッシュ前大統領(任期2001年1月〜09年1月)の名誉回復が進んできたというのだ。昨年の調査では、大統領時代の8年間の実績を評価する国民が47%にもなったという。2008年の調査ではその半分にも満たなかったことからみても、米国民の前大統領への評価が著しく改善してきたことが分かる。
ブッシュ氏(67)のカムバック現象を実証する例として、ブッシュ氏の弟、元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏の大統領選出馬が現実的テーマとなってきたことが挙げられている。(中略)
今では共和党からジェブ・ブッシュ氏と民主党のヒラリー・クリントン女史(前国務長官)の戦いを予想する声が高まってきているのだ。すなわち、ブッシュ家から3代目の大統領が誕生する可能性について、国民は現実的に受け止め出してきたわけだ。
シュピーゲル誌記者は、ブッシュ氏のカムバックについて、同氏の後継者大統領、オバマ現大統領の不甲斐なさとオバマ氏への国民の失望が反映していると分析する、大統領時代、アフガニスタンとイラクに約200万人の米兵士を戦地に送り、国家財政を破産に追い込んだブッシュ氏を酷評してきた米国民がここにきて「ブッシュ氏の時は何のために戦っているかがはっきりしていた」と考え直しているというのだ。
それに対し、アフガニスタンとイラクから米軍を撤退させ、就任早々と「米国は世界の警察官になる考えはない」と宣言し、シリア内戦でオバマ大統領が軍事介入を躊躇している時、ロシアのプーチン大統領が素早くロシア主導の対シリア路線を発表した。ウクライナ紛争でもプーチン氏の外交政策に翻弄されるなど、昔の「強い米国」を知っている国民は、オバマ政権の外交オンチに歯がゆい思いを抱いているだろう。そこで国民の間から「ブッシュ時代のほうが良かった」といったため息が飛び出してきても不思議でないわけだ。
ブッシュ氏はホワイトハウスを去った後、公の場に出ることを出来るだけ避け、もっぱら絵描きに没頭している。(中略)ブッシュ政権時代に厳しい批判を浴びせてきたヒラリー女史もブッシュ氏について、「タレントがあり、知性的だ」と評価する一方、その気さくな性格を称えているという。
退任後、評価を高めた米大統領は多くはいない。(中略)「歴代米大統領の中で最悪の大統領」とまで酷評されたブッシュ氏は退任後、オバマ政権を公の場で批判することを避ける一方、テキサスのアトリエで絵を描きながら自身の名誉回復を果たそうとしているのだ。(引用終)
弟氏の奥様がメキシコ系だったか、ということで、いささか不安が残るのだが、私の言いたいのは、ブッシュ家系だからよい、というのではなく、アリンスキー流の「過激派の法則」を地でいくかのようなオバマ政権の知性動向と政治手腕が、危うくて仕方がないからだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20140605)。
2012年の大統領選前、パイプス先生が口角泡を飛ばして、拳を振り上げんばかりに怖い顔をして「オバマが再選されたら、世の中はもっと争いが多くなる」と予告していたのに、電子版の毎日新聞英字版は、そのパイプス先生のおっかない顔写真を掲載して「これだから保守派の共和党は困る」「黒人のオバマ氏を白人富裕層の保守派が差別している」「弱者の味方を」という無責任な論調で煽っていたのだ(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20120904)。(メールで写真付の毎日新聞記事をお知らせしたところ、しばらくして写真だけは削除されたものの、気がついたら、記事そのものが消滅していた次第。だからインターネット記事は、面倒でも必要ならば印刷して保存すべきなのだ。)
朝日新聞も含めたこの毎日新聞の路線が、イデオロギー思想としてはどこに基盤を置いているか、ご存じでしょうか?
私が本業そっちのけで、いろいろとやっている作業は、実はその解明でもある。
PS:負けず嫌いのパイピシュ先生と、エルサレムのレヴィ君(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/archive?word=%A5%A8%A5%EB%A5%B5%A5%EC%A5%E0%A4%CE%A5%EC%A5%F4%A5%A3%B7%AF)とのやり取りから。
(https://twitter.com/ituna4011/status/479441488472862720)
1. Daniel Pipes @DanielPipes 13h
Has anyone else noticed? The Middle East's most important two new actors are ISIS and SISI; they are the forces of Islamism and its enemy.
Lily2@ituna4011 4h
@DanielPipes:And have you already noticed? ISIS was a name of the female deity in ancient Egypt.
Favorite 1
これは、古代エジプトのイシス神を想起してのこと。古代エジプト展(http://d.hatena.ne.jp/itunalily/20090728)を見に行った遠い日々を懐かしく思い出して。こういうことでは日本人は柔軟で、自然と屈託なく頭に入るのだ。
次に、これまた減らず口のエルサレムから。昨日アップされた訳文の日付が、原文は3月分で、アメリカに行く直前まで見直しをしていたが間に合わなかったものなのに、なんと当初ウェブ掲載された時には、「6月23日」に変更されていたのだった。
私:「ちょっと、まだ2014年6月23日という日付は来ていませんよ!」
レヴィ:「僕、前向きなのが好きなんだ」
私:「未来志向なの?私は現実志向ですが」
レヴィ:「実は、同時に両方なんだ。あるいは、そうしたいとは思っている」
なってないじゃないですか!もう、つべこべ言っていないで、正確にやりなさい!